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もうシリアスはえらい……
先生は17歳!?
作:takuto



第8話水城の苦悩と俺の過去後編


あの水城との1件から水城と俺は会話することがなくなった。
俺から話しかけたとしても

 
「すいません。急いでるんで……」


と交わされるばかりでろくに話をすることができない。
それに俺が始めて学校に来たとき見せたあのきれいな笑顔は
完全に消え、まるで死んでいるような目をしていた。
その姿を俺は授業などで見せ付けられ、心の奥からズンッと圧し掛かる
言いようのない痛みと悲しみを感じていた。


どうにかしなければいけない

 
真っ先にその思いが俺の中に浮かんだ。
よい解決方法が浮かんだりしたわけではないが、とにかくなんとかしなければならない
という思いに掻き立てられていた。
たしかに心の中ではこんな俺では奏を救うことができないかもしれない。
そう思ってしまう気持ちもあった。
しかし、今、同じような思いで苦しんでいる少女がいる。
それを俺は黙って見逃すことなんてできるわけがなかった。
先生としてなどの建前ではなく、ただ一人の人として
彼女を助けたい、いや助けなければならない……そう俺は思った。

 
彼女に同じ痛みと苦しみを背負わせないためにも……

 
放課後、俺は奏に会うべく屋上へ向かった。
するとやはり屋上には奏が一人にポツンと佇んでおり、やはり暗い顔をしていた。
しばらく俺は外を眺め続ける奏の姿を見続けていた。
とても可憐で美しくでも少しでも触れれば消えてしまうような、そんな印象を感じさせる。
しばらくすると奏は俺の姿の気づいたのかこっちのほうに顔を向ける。

 
「伝馬先生。また私に説得ですか?何度もいいますが私はもう――」

「そんなことはどうでもいい。単純に俺自身がお前に用事があった」

 
奏の会話を無視し、俺は話を続ける。

 
「今回、俺がお前に会いに来たのはそんなことじゃない。
おまえにどうしても話したいことがあったから……」

「……それは……どういうことですか?」

 
俺が何がしたいのかわからないのか変な顔をする奏。

 
「とにかく奏は話を聞いてくれればいい。
まあちょっとした小話を聞くと思って聞いてくれればいい」

「……わかりました」

 
微妙な顔をしていたが無理やりに納得する奏。
その言葉聞いて、俺はホッとしつつ話を始める。

 
「奏。お前に似ている人間の話だ」

「私に……ですか?」

「ああっ……ある本を読むのが大好きだった少年の話だ。
その少年は、小さいころから外で遊ぶよりも家で遊ぶ方が好きな人間で
特に家においてある大量の本を読むのが一番の楽しい遊びだった。
家は共働きだったため、止める人間などおらず、ただ黙々とその少年は
家にある本を片っ端に読む進める毎日だった」

「だが、時がたつにつれ、その少年は独学で本に書かれている数式、論理について
独自の考え方を持つようになった。最初は小学生でも分かるようなものから始め
とにかく自分が出来るところまで必死でその意味を解き明かして言っていた。
学校の勉強なんかが、その少年には簡単すぎる事柄になるまでに……
そうすると周りの人間もテストというものにより少しづつ少年の才能に気づき始めていった。少年は無知がゆえにただ周りの人間が喜ぶ、驚く顔が見たくて必死に頑張っていたんだ」

 
「……あたしと……似ている……」

 
小さな声で奏は言った。

 
「少年は周りの期待通りに結果を残していき、天才とまで呼ばれるようになっていった。
海外にまで行き、自分が出来る限界まで己の力を使っていった……
しかし、ふと少年はあるきっかけで立ち止まった。すると、見えなかった、見たくなった
嫌な思い、期待が少年を襲ったんだ」
「それは周りの人間の妬み、過度の期待……少年には大きすぎる問題が襲った
耐え切れないほど思い、視線がその少年を潰したんだ」

 
話し終え、すっか茜空に染まった風景を見て時間が立ったことを感じる俺。

 
「そっ……その少年は……今どうしているんですか?」

 
いきなり奏から質問され、奏の方向を向くと不安気な顔をしている奏がいた。

 
「……分からない。でも、その少年には好きって思いはもう……ないかもな」

「そんなっ………」

 
ショックを受けたのかボーゼンとしている奏。

 
「そう……だから、奏にはこの痛みや悲しみを背負ってほしくないんだ……
こんな傷を受けてほしくないんだっ!!」

 
俺が思っている伝えたいことを奏にぶつけた。

 
「てん……ま……先生……」

 
奏は涙を目に浮かべながら俺のほうを見ていた。

 
「てん…まっ……せんっ…せい…わっ、わたし…歌嫌いになりたく…ないっ!
歌やめっ…たくないっ……でっ、でも……どう…やって…「好き」って……気持ち
戻せばっ……いいか……わかないのっ!人前でっ……歌うのが…怖いの……」

 
奏は子供のように大きな声で自分の奥にある思いを大粒の涙とともに外へ出した。
その姿がいつもと違い、とても小さく見えて俺は奏を抱きしめた。

 
「てっ…んま……先生?」

 
いきなりの俺の行動にびっくりしたのか奏は少し間の抜けた声を出す。
俺はそんなことお構いなしに少し強く、優しく奏を抱きしめる。

 
「奏……他のやつの事なんてな気にするな!そんなこと気にせずに
お前の好きにやればいいんだ!」

「でっ、でも――――」

「でもじゃない!才能とか周囲の期待とかどうでもいいんだよ。歌いたいときに
歌って見せればいいんだ……お前は何も考えず大好きな歌を……
「好き」っていうお前の思いに胸を張れ!怖いからって逃げてばっかりじゃ
さっきの大馬鹿野郎みたいになっちまうぞ」

「……伝馬……先生……」

 

抱きしめつつ、俺の思いを奏に伝えていく。
この子ならこの壁を乗り越えてくる。そう信じて……

 
「やりたいようにやるんだ!奏。それでも周りや周囲がうるさいんだったら
周りの人間……親でもいい、伊織先生でもいい、誰でもいいから知り合いに頼れ。一人で
抱え込もうとするな。それでも誰にも話せないんなら俺の所に来い!
俺が、この伝馬和弥がお前を助けてやる。絶対に……わかったな?奏」

 
「……はいっ、はいっ!」

 
そう返事をし、俺に満面の笑顔を向ける奏は
まるで「天使」の微笑みのように感じる俺であった。

 

そしてその次の週、奏は急遽ではあるがコンテストに参加を決定し
俺は飛鳥と蓮を引きつれ会場へ
最初、奏を見た所緊張しているそぶりを見せていて俺も不安な気持ちがあったが
いざ、ステージに立つと一変高校生離れした声で観客を魅了した。
それに俺はその声以上に楽しそうに歌を歌っている奏の姿を見ることができ
安心するとともに喜ばしい気持ちになった。
一人の少女を救うことができ本当でよかったと思う。


コンテストが終わり、ゆっくりしていると私の周りに飛鳥さん、蓮さん
そして和弥さんが来てくれた。
この前から校外は先生と付けず、さん付けで呼ぶことにした。
私なりのけじめの付け方だ。

 
「記念写真〜とろうよぉ〜カズちゃん!シャッターお願いっ!」

「私も入るわ。和弥!きれいにとってよね!」

 
と和弥さんにカメラを任せ、勝手なことを言い始める二人


「ほらっ。奏ちゃんも写真取るからこっちだよ〜」

 
と私を呼ぶ飛鳥さん

 
「わっ、私もですか!?」

「そうだよ〜なかよし3人組で一緒に〜」

「そうよ!奏!こっち来て!」

 
私の両腕をつかみ連れて行く飛鳥さんと蓮さん。

 
「私は……本当にいい友人をもったみたいですね」

 
そんなことをつぶやく奏。

 
「そんなのあたりまえでしょ」

「奏ちゃんと蓮ちゃんと私は親友だもんねぇ!」

 
二人の言葉がとてもうれしい気持ちにさせた。

私には親友といえる友ができたのだ。それに……

 
「お〜い。いいか〜?撮るぞ〜」

 
和弥さんの声が聞こえる。みんなカメラのほうに向かいポーズをとる

 
「それに……和弥さん。とても素敵なかっこいい方ですね」

 
とボソッと独り言を言う私。

 
「えっ!!」

「うそっ!?」

 
その独り言に反応する二人。

その中で私は思い人に向かってカメラ越しながら満面の笑みを浮かべた。



なんとか書けました。
シリアスは難しいです。
短編公開しました!
お疲れさまっ!私のマネージャー♪です!
よろしければこちらも見てみてください
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