先生は17歳!?(84/100)縦書き表示RDF


書いて欲しいストーリ募集してます。
ちょっとした思いつきネタでも良いのでよろしくお願いします!!
先生は17歳!?
作:takuto



Another Episode6 英語で言うとA Home Visit


A Home Visit……
日本語にすれば、家庭訪問
家庭訪問の本来の意味といえば、学校の教師などが児童・生徒の家庭環境を理解し
家庭との連絡、教育の効果を高めるためにその家庭を訪問すること
これが一般的な解釈による、この意味の捉え方である。
近年、家庭訪問と言えば都会、田舎関係なく学校行事から消え行くもの
全国的に減少しつつあるものと言われているのだが
この扇山高校では少し勝手が違ったりする。
俺、伝馬和弥が勤務するこの学校は、校長が掲げる「家庭との連帯感」の名の下に
毎年行なわれる伝統的な行事……重要なものであり
クラス担任の俺にとっては、大きな役目であったりするのだ。


………まぁ、初っ端から堅い話ですまない
いろいろと出だしからベラベラと説明した訳だが
結局の所、何が言いたかったかと言うと、現在俺はある人物の家
簡潔に言うと我が受け持ちクラスの委員長、水城奏の家にいる訳で……


「はい、伝馬先生。熱いので気をつけて飲んでくださいね」
「……あっ、すいません」
「えっ、えっと!お茶請けにクッキーでも……今日、私が作ったもので……
あっ、味は大丈夫です!お母さんと一緒に作りましたから!」
「あぁ、ありがたくいただくよ」


水城奏宅
今、俺は目の前にいる奏のお母さん、奏ママから紅茶を差し出され
横にいる奏からは、良い香りのするクッキーが視線の中に映る。
一見、方向性は違うが美人である二人に囲まれて
中々美味しいムード……そういう風に見えなくもないシチュエーション
けれど、俺はその予想と反して楽しそうな顔などは一切しておらず
誰が見ても焦りと不安に欠かれた疲れた表情を浮かべていた。
その原因は、言わずもがな奏ママの隣……異様な雰囲気を醸し出すその人物が関係していて
俺はゆっくりと視線をそこへと向けると


「伝馬、和弥……ゆるさん」


言葉では言い表す事のできないプレッシャーを俺に向けて
ガンガンとぶつけて来る男性、奏パパの姿が見えた。
あからさまな敵意剥き出しの視線。隠す気などまったくナッシングな所が
妙な清々しささえ感じられるほどの明らか過ぎる行動であった。
予想外すぎるほどのフレンドリーな奏ママ、敵意丸出しな奏パパ
そんな異色過ぎる2人に囲まれながら、俺は一つあることを悟った。


――――この家庭訪問、タダでは終わらないな


………と


事の始まりは校長の一言
朝の職員会議の時発した、あの言葉から物事は動き始めた。


「そう言えば、伝馬先生。先ほど思い出しましたが、水城奏の家庭訪問……
まだ終わってなかったようですが、予定は決まっているのでしょうか?」


唐突に思い出したかのように述べられた校長の言葉
俺は最初、何のことか頭を悩ませるも一瞬の思考のうちに
一つの事柄が頭の中に思い浮かんでくる。
家庭訪問……この学校で毎年春に行なわれる伝統的な行事で
この春俺も身を持って体験した行事であり、とっくの前に終了した物であったのだが
一人だけ事情があり、まだ訪問していない家が一件あったのだった。
それが我がクラスの委員長、水城奏なのであった。
家が音楽一家とあってか父母とも海外へと飛んでおり
両親不在のため、保留していたことを今頃になって俺は思い出す。


「忘れていました、すいません!早速、予定を立てて今週中にでも」
「お願いしますね。伝馬先生」
「はい、了解しました!」


そんな朝のやり取り
この後からは早いものであった。
日どり、ご両親の都合、本人の都合を考慮し
数日後……水城奏の家庭訪問が決まった。
この時は、俺の考えの中には嬉しさや先生として家を訪ねることの緊張感は
ありはするものの、嫌な思いなどは全くといってなかった。
……所詮は家庭訪問、どうあれ不幸な目には合わないと
そう思って向かったはずなのに、それなのに


「…………初めて、初めて奏が連れて来た男。男友達すらいなかったはずなのにぃ」


めっちゃ睨まれています、現在進行形で……奏パパに
家に入れさせてもらってから留まることなく睨みをきかせるため
俺の背中には冷や汗が、震えが止まらない状態が続いている。
横を向ければ対象的なくらいフレンドリーな奏ママの笑顔が……
あまりの陰と陽の激しさに居心地の悪さMAXの俺。
それに加え本来、家庭訪問といえば先生である俺の真向かいにご両親、生徒が座るのが
一般的なスタンスだと思うのだが、なぜか隣に奏が座っており
真向かいには奏パパ、ママコンビが……
あっ、あれ?良く見るとこの座り方って、どこかで見たことのある


「あら、この雰囲気はまるでお父さん、僕に娘さんをください的なシチュエーション」
「なっ!母さん何を縁起でもないことをっ!奏を嫁にだなんて……結婚、出産……
馬鹿を言うんじゃない!だよな?奏」
「えっ、でも学校を卒業するまでは……」
「何ィィ!?まで?までとさっき言ったか!嘘だ、嘘だと言ってくれ!
お父さんは認めないぞぉぉ!!」


奏パパの叫び声が部屋中に響き渡る。
俺はそれを眺めながら、尊敬の眼差しで見つめていたピアニストである奏パパが
実はただの親バカであることを知り、人知れず悲しみに暮れていたのだった。
こんな調子で、家庭訪問は幕を開けた。


本来、家庭訪問と言えば家の場所の確認、親との顔合わせが基本であり
家の中までお邪魔し、長く居座ることではないのだが
今回は懇談も兼ねており、軽くではあるが両親に向けて
言葉を送ることが決まりになっていたりする。
基本は学校生活の一点であり、俺は奏パパが落ち着くのを見計らい
水城奏に関する学校生活について話を始めた。


「早速ですが、奏……水城さんの学校生活の面の話です―――」
「うちの娘は嫁にやらん!」


……さすがは親バカである
話の何の脈絡も無く、王道すぎる名言を真っ先に口にするとは
……っていうか嫁にやらんとか言われても、これは家庭訪問なのですが


「どういう訳か知らないがね、キミ達の関係は何か?これかっ、小指立てるアレなのかぁ!」
「こっ、これや、あれと言われましても奏……いや、水城さんとは先生と生徒……」
「先生と生徒ぉ?もしかして先生と生徒というシチュエーションで、アレやコレやナニや
したのかぁぁ!したんだろぉおぉお!!」
「いっ、意味が分かりませんって!」


いきなり襟首を掴まれて、奏パパに揺すられる俺
息も絶え絶えなりながらも、なんとか言葉を伝えようとするが
相変わらずプレッシャーは衰えない。
つうか奏パパ眼孔開いてますって!!


「それに先ほどから聞いていれば、奏って呼び捨てにして!言っておくがな君とはな
年期が違うのだよ、奏と過ごした時間が!小さい頃から私が愛情を育んで立派になった奏を
ポッと出の人間になんぞぉ……グハッ!」


奏パパが前によろける。そして、そのままテーブルの上に倒れるように横になった。
俺は唖然とした表情の中、目線を前へと向けると
握り拳を奏パパの腹部に入れている、奏ママの姿が


「ごめんなさいね。主人ったらいつも奏のことになるとヒートアップしちゃって……
普段は真面目な方なんだけれど、なんせ親バカなもので」


笑いながら、そっと元ある位置へと腕を戻す奏ママ
確かめたわけではないが、さっきのパンチ相当な威力があるのでは……
それに、こんなコントのような世界が広がってるにも関わらず
何?この奏の落ち着きようは!
これが水城家の日常ではごく当たり前のことなのかと、疑ってしまう俺がいた。


「話の腰折っちゃって、伝馬先生続きをどうぞ!」


その言葉に我を忘れかけていた自分が戻り、話を元へと戻す


「えっと、水城さんの学校生活ですが、普段は我がクラスで委員長という大きな役割を
果たされおり、クラスでの信頼も厚いです。それに生徒会の活動にも積極的で、部活動の
合唱部も一時期は悩み、苦しんだ部分もありましたがそれを乗り越えて、本人も納得の行く
くらいの成績、日々の頑張りを見せていると思います。彼女は扇山高校にとって言い過ぎだと
思われるかもしれませんが、なくてはならない存在……クラスメイト、生徒会、先生など
恥ずかしながら僕にとっても頼もしく見える存在です」


先生らしく、だけれど自分なりの言葉で奏ママに伝えていく。
奏は生徒の中でも良く見知った存在、伝えられるだけの俺の意見を
確実に、できるだけ分かりやすく話していく。
……理不尽かもしれないが、自分が先生だと改めて感じられる貴重な時だったりする


「……ありがとうね。分かやすいし、この子のこと良く考えているのが分かる
そんな意見だったわ。じゃあ、一つ質問いいかしら?」
「はい、どんなことでも」


緊張の瞬間だ
多分、先生の立場でもっとも緊張する場面
どのように答えるかで、これからの俺の評価を左右しかねない
人によってはそれくらいウエイトのある事柄
俺は固唾を呑んで、質問を待ち……数秒後、ゆっくりと奏ママは口を開き


「伝馬先生にとって奏は、どんな存在なのか教えてくれないかな?」
「………えっ?」


自分の考えを遥かに上回る、と言うか予想外の質問が俺に飛んできた。
あっ、あれ?さっきまで良い感じでシリアス展開だったのに
何時の間に、コメディな雰囲気に?
もしかして奏ママまで、奏パパと同じノリなんじゃ……


「もう、お母さんまで何て質問を和弥さんに言ってるんですか!全然学校生活に
関係ないじゃないですか!」


今まで静かにしていた奏もここぞとばかりに、口開き喋り始める。
さすがだよ、奏。この子だけは俺と同じで家庭訪問しようとしてくれてるよ!
……でっ、でもなんでそんな嬉しそうな顔をして注意をしているのかな?
それに2人でアイコンタクトして……あっ!奏、奏ママに向かってグッジョブ!って
何か可笑しくないか!?


「それで、伝馬先生どうなんですか?」
「お母さん、和弥さんに近寄りすぎ!言いたくても和弥さんが驚いて言えないでしょ!」


いつの間にか奏も仲間に入って、答えることが確定されているし……
2人の視線が俺へと集中し、奏パパとは違った
表現しがたい女性特有のプレッシャーが俺に襲い掛かる。
もう言わなくてはならない雰囲気、思考内にはこうなっては仕方が無いという
諦めに近い感情も浮かんできて、俺は数秒の沈黙の後


「えっと、水城さん……普段は奏って呼んでいるんですが、奏は自分がこういう17歳で
先生をやるなんていう異色の人間なので、正直な話奏の存在は大きいです。情けない話ですが
自分はまだ何事も完璧にはできないので僕の支えになってくれる、奏は頼もしくて
とても大切な存在です。生徒という立場でも、友達と言う立場でも」


思っていたことを、率直に奏ママに向けて伝えた。
ちょっと臭い台詞ではあるが、ありのままの気持ちを言葉にして
すると、無表情であった奏ママの顔がゆっくりと笑顔に
いや、ニヤついた表情に変わっていき


「ふぅん。そうか、そうか!大切な存在ねぇ〜これは思ったよりも脈ありそうよ、奏」
「えっ!?そうかな……本当に?嘘じゃないよね?」
「本当よ。間違いなく、奏にもチャンスはあるわ」
「そうなんだ、よかったぁ」


俺の意味の分からない会話が母娘で繰り広げられていく。
奏ママは嬉しそうに顔をニヤつかせながら、奏は普段とは比べ物にならないくらい
顔を真っ赤にして、だけれど嬉しそうに顔を綻ばせて
2人仲良く会話を繰り広げていた。
とても仲睦まじい風景、親子の中が良いのが今日始めて会った
俺でさえ分かるほど意思の疎通がちゃんと行き届いている家族
その姿は本当に羨ましくもあり……


「じゃあ今度は作戦B決行ね!私に任せときなさい。ちゃんと、奏の彼氏作りのサポート
絶対に成功させて見せるから!」
「お母さん……ありがとう!」


なぜか恐怖心を感じる俺なのであった







なんとか更新完了
一週間に約一回ペースですが、頑張って更新していきたいですね。
今回のストーリーは家族の話をして欲しいと言ってくれた緋炎様の意見を参考にし、書かせてもらいました
全員の家族を出せるストーリーを書きたかったのですが、中々難しく今回は水城家の話で
あとがきにて感謝の言葉を述べさせていただきます
感想、評価お待ちしております!!ちょっとしたことでも二部、外伝への活力となりますので、どうぞよろしくお願いします!!






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