第6話波乱のレクリエーション大会
最初から分かってはいたさ。
2話目から張られていた伏線。いずれくるとは思っていた。
そむくことの出来ない現実。
俺はそれをすべて受け入れて戦いの場へ立たなければいけない!
そうだ!今こそ立ち上がるんだ!伝馬和弥!
いざ!戦場へ……
今日の行事予定
クラス対抗レクリエーション大会 バスケ
なお2-C担任の伝馬先生は生徒として参加。必須事項
「みんな〜元気ですか〜?」
「ウォォォォォオオオオ!!!」
と入りからどこのプロレスラーかと思うくらいのテンションで出だしの
あいさつを務める生徒会長蓮。
そう……今日は待ちに待ってないレクリエーション大会。
案外忘れ去られてスルーされるなんて展開も予想できたが
そうは問屋が卸さないらしく開催してしまったレクリエーション大会。
なぜ俺がこんなにこの事態に嘆いているかというと
朝、職員用連絡板に記載されていた「伝馬先生は生徒として参加」
というありえない書き込みが原因である。
俺はダメな主人公のセオリーを踏んでおり、運動はあまり得意ではない。
特に球技に関しては小学校時代ボールで遊ぶではなくボールに遊ばれてると
有名になるくらいへたくそだ。
それにうちのクラスのメンバー表を見ればなぜかバスケの所のスタメンに
「伝馬和弥」と記入してある始末。
もう準備は整えられた……やるしかないようだ。
まあそれにこの大会には
「みんな〜頑張ってね!それとこの大会は優勝クラスには豪華な賞品が先生から
贈られるらしいのでそれに向けて頑張ってね!」
そう……賞品。それは勝者のみが許される快楽。
いくら俺といえども賞品を出されればやる気が出る。頬を叩き気合いれる。
まずは2-D-1だ。
「よっし!頑張るぞ!」
声を出し気合をいれコートへ否戦場へと向かった……
「もう、眠いよ……パト○ッシュ……」
俺の体力はもう変なことを口走るくらい限界であり
体を仰向けにさせて倒れていた。
1回戦、チームはなんとか勝利を収めるものの
俺の体力は風前の灯。
それに試合では
シュートしても入らず、パスしてもカットされ、ドリブルしてもカットされて
もう途中から泣きたくなってきた。
「どうしたのぉ?カズちゃん」
「伝馬先生。ずいぶんお疲れですね。大丈夫ですか?」
と飛鳥と水城に話しかけられ体を立たせる。
「カズちゃん。すっごく疲れた顔してるよぉ。これ……スポーツ飲料飲んで」
「伝馬先生。汗もすごいですよ。タオルどうぞ」
「ああ、二人ともすまんな」
二人にドリンクとタオルをもらい、少しは体の疲れが取れる。
「カズちゃん〜。カズちゃんのチーム勝ってる?」
「ああ、なんとかな。お前こそどうなんだよ」
「私達のチームはもう準決勝なんだよぉ。ねぇ〜奏ちゃん」
「はい、飛鳥さんと同じチームでやらしてもらっているんですが
飛鳥さんの優れた運動神経にはびっくりしました」
「えっ〜!そんなことないよぉ!それなら奏ちゃんもすごかったよ!」
と俺おいてけぼりで二人なかよく話をしている。
飛鳥は昔から運動バカだったので球技が得意なのは知っていたが
やはりというか水城もかなりチームに貢献しているようだ。
「……で一試合どれくらい点入れたんだ?10点くらいか?」
このレクリエーションのバスケは7分という短さで行われるので
女子ともなればひとりで二桁得点はMVPなみの活躍であろう。
「そんなんじゃないよぉ〜たしか……26点くらいかなぁ〜」
「……はぁ?」
あまりにも変なことを言ったので変な声が出てしまった。
一試合26点って……約30秒に1本入れるペースだ。
スリーを考えないようにして
「嘘言うんじゃない。そんなことできるわけないだろう!」
「ほっ、ホントだもん!嘘じゃないよぉ〜」
と飛鳥はかたくなに意見を変えようとはしない。
「伝馬先生。信じられないかもしれませんが、飛鳥さんは
本当で26得点上げました。電光石火の活躍でしたよ」
とフォローをいれる水城。
あの水城が嘘をいうはずはないので飛鳥のしたことは現実らしい。
「お前ってすごい奴だったんだな……」
「すっごいでしょ〜!!でも、奏ちゃんも私のアシストしながらも
スリーポイント4本も決めたんだよ〜すごいよぉ」
「そんな!私は……たまたまですから……」
ここに超人が二人います。
なんか俺やる気なくしてきたよ……
と思いつつも二試合目の開始のベルがなり試合は再開された。
「グッフフフフフッ!!」
すいません。もうやめたいです……
今度の相手は2-E-2であり、もっとも会いたくない人物。
飛鳥親衛隊会長須藤太郎の在籍するクラスである。
そして、今俺の目の前には須藤がいる。
「このときを……このときを待っていたぞぉぉぉ!!伝馬和弥!
ついにお前に正義の鉄槌を与えるときをなぁぁぁ!!」
めちゃくちゃ気合が入っておられる須藤さん。
一瞬は校内行事だからそんなときまで狙わないだろうと思ったのだが
そうではないらしく、バスケという競技の中で殺しにかかるらしい。
バスケボールが凶器に見える……
「つうか先生達も見ているだ。そんなやばいことをすれば……」
「退学なんて恐れてないっと前言ったであろうがぁぁぁぁ!!
絶対にお前を倒す!!」
説得を試みるもあえなく撃沈。
ついでに後ろから聞こえる飛鳥の俺を応援する声も相乗効果を計り
須藤の目は暗殺者の目となっていた。
間違いなく殺される……
いっそ逃げるか?いや逃げたら先生として人としてただのヘタレに……
どうするんだよ!?俺
「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ
逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ……」
あるロボットアニメの主人公のごとく、つぶやき続ける俺。
極限状態まで追い詰められて頭がやばい方向に……
するといきなり頭の中から一つの案が……
うん……これなら、これならいける!
伝馬和弥行きま―――す!!
頭のねじは抜けたまま、俺はコートに向かった。
「ピィ―――」
開始の笛が鳴るのと同時に須藤はボールをドリブルさせ
俺のほうに向かってくる。
「死ねぇぇぇぇ!伝馬和弥!!」
予想通り俺に特攻をかける須藤。
俺も作戦どおりにある場所へ移動する。
「くらえぇぇぇ!!伝馬か……」
さっきまでの威勢はどこへやら。氷のように固まって動かない須藤。
「どうしたんだ?須藤。俺に攻撃するんじゃないのか?」
「ひっ、卑怯なりぃ!伝馬和弥!飛鳥ちゃんを使うなど……」
「投げないのか?須藤。どうなんだぁ?えぇ!?」
完全に悪役になっている俺。
説明すると俺は今飛鳥が立っている位置の前に立っている。
そうすればボールを投げたときに俺が避けてしまえばボールは高確率で
飛鳥の元に……それを恐れて須藤は投げれないのだ。
外道と思うなら思ってくれ。俺も生きるのに必死なんだ……
「くっそぉぉぉ!!俺の……完敗だ……」
須藤はそんなセリフを残し去っていった。
試合はその後つつがなく進行し我ら2-C-1が勝利を飾った。
その後も勝利を続け、決勝戦まで勝ちあがった。
対戦相手は2-A-1である。
……ってたしか2-Aといえば……
「うれしい〜!和弥とバスケできるなんて〜」
予想どおり生徒会長蓮率いるチームであった。
もう神は俺が嫌いなんだろう
こうやって苦労する方に勝手に進んでいく。これは偶然じゃない必然なように思えてきた。
「「「蓮ちゃん〜頑張れ――!!」」」
「ありがとう!みんな!私頑張るから!」
男子や女子から声援を受け、それに答える蓮。
さすがは生徒会長って所か。
「さすがだな、蓮。人気者じゃないか」
「まあね〜。よくは知らないけどファンクラブも存在するみたいだし……」
「ファ、ファンクラブ……」
その人たちは蓮を男だと分からず応援してるのか、男と分かった上で応援してるか
後者だとかなりやばいと思うのだが……
「なに〜?もしかして和弥。嫉妬しちゃった〜?大丈夫よ!
もし私がアイドルになったって、私の1番はいつでも和弥なんだからっ!」
と言い抱きついてくる蓮。
その瞬間周りの空気が変わった。一部から殺気に近い視線も送られる。
そんな不穏な空気を漂わせつつ試合は開始された。
結果から申し上げよう。
結果惨敗。おもしろいぐらいの負け試合だった。
Aはもともと運動神経がいいのがそろっているがそれ以上に蓮の活躍はすごかった。
まるで風のように駆け抜けるさまは舞を踊るような感じにも思えた。
結果2位で賞品こそもらえなかったもの、なかなかの頑張ったのではないと思う。
まあ賞品は正直ほしかったがこの際仕方がない。
女子のほうは飛鳥&水城の活躍により優勝。さすが……
閉会式に入り、賞品の贈呈が行われる。
賞品は5つあってその中から選ぶシステムになっており
代表の飛鳥は食堂タダ券という微妙なものを手に入れていた。
2-Aの男子のほうは幻の焼きそばパンであった。
最後にMVPの表彰で蓮が選ばれた。
そして賞品を選び、物を確認する。するとそこには……
命令権と書かれた紙が1枚。
蓮もよく意味がわからず準備した先生に聞くと
「ひとつだけどんなことでも言うことを聞かせることができる。
(しかし金銭的なことや公共的によろしくないことはNG)」
らしい。それを聞いた蓮は目を輝かせて
「えっと〜……じゃあ……和弥が私にキスするっ!
キャ!言っちゃった!恥ずかしいよ〜」
と、とんでもない事を言う蓮。
蓮ファンクラブと思われる集団ににらまれる俺。
飛鳥に「変態っ!」と言われ変な目で見られる俺。
水城に「やっぱりホモですか?」とマジで聞かれる俺。
もう……俺はその場で立ち尽くすしかなかった。
この後に起こるであろう事態を頭で考えてシュミレーションして見るが
一応天才と言われる俺の頭脳でも最悪の事態は回避できない。
と言う結果に嘆きたくなるも
ある程度の自分の不幸に諦めを感じている自分の考え方に驚きつつ
最終的には目を閉じ現実逃避に走る俺。
神様、マジで平穏を俺にください。
そう願いながら現実から意識を遠のける俺であった。
つうかキスは公共的にOKなのか!?
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