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先生は17歳!?
作:takuto



第61話完璧委員長の奮闘、驚愕


「……ということなんです」


彼女、水城奏は申し訳なさそうに頭を下げながら
調理室の一件を俺達に分かりやすく説明した。
彼女の話を簡単にまとめると、俺達の予想通り奏は料理を、弁当を作ろうとしていたらしく
しかも自分のためではなく、人にあげるものとして作っていたらしい。
そのため少しでも練習をと思い、家庭科の先生に頼み込み、放課後わざわざ調理室の鍵を
借りて料理に練習に明け暮れていた……というのがこの出来事の真相だ。


「でも、それが……予想以上にうまくいかなくて」


元々引っ込み思案な奏がさらに体を小さくさせ、俺達に視線を向けて話す。
まぁ、そうであろう。俺は改めて調理室を見渡し、視線中に広がる惨劇を目のあたりにする。
この状況では確かに「予想以上にうまくいかない」と言う言葉も納得せざるを得ない。


「元々料理が苦手なのに、辛いものしかまとも作れない私なので、このままじゃいつになったらお弁当が完成するかわかりません。だから、皆さんに手伝ってもらおうと……」


その言葉に俺を含め5人は首を縦に振り、納得した表情を浮かべる。
確かに懸命な判断ではあるが、それ以上に俺が気になるのは……


「それはいいけどぉ……」
「奏、誰にそのお弁当上げるの?」


飛鳥と蓮が俺の思っていた疑問を言葉にして出す。
そう、俺も気になっていた点……料理が苦手な奏があそこまで頑張って
その弁当を渡す相手。それを俺は純粋に気になっていた。

恥ずかしくて、自分から聞くことはできなかったが……

相変わらずヘタレな俺である。この口ぶりからして、飛鳥などの友達関係、女性同士で
弁当交換などのため作っているのではなく、どちらかと言うとこの雰囲気は
青春真っ盛りな高校生らしく憧れの男子に………


「えっと。明日、私のお父さんの誕生日でして、お父さんに手作りのお弁当をあげようと」

―――ガタン!

「どうしたのよ?和弥。いきなりバランス崩して……」


……ではなく、お父さんにですかっ!!
脳内に再生されていた、漫画の王道的な木の下で健気にお弁当を持ちながら待つ
女生徒のシーンが音を立てて崩れ去っていく。
俺は多少、肩透かしを食らったような気分になるが、よく考えればこの今揃っている
女性メンバー五人は浮いた話を生徒間からもあまり聞かない。
モテそうというか、中にはファンクラブがるほど綺麗どころ5人が揃っているような気が
自分はするのだが、本人達はあまりこういうことには興味がないのかもしれない。
そう俺は頭の中で考えをまとめると、ホッと一息付き、なんだか安心した
なんともいえない思いが俺を包み込んでいた。


「それはいい考えなのではないか?」
「そうだね♪形に残るものとかもいいかもしれないけれど、娘が作った手作り弁当なんて
下手したら奏ちゃんのお父さん泣いちゃうかもよ?」


奏の言葉に真っ先に朝倉、芹澤が反応し、賛成の意を唱える。
俺もその意見には奏の持つ健気さというか、可愛らしい部分の気持ちが出ており
親を大事にしているという気持ちが否応にでも俺に伝わって来た。
そのため俺も賛成の意を奏に伝えるため、声を出そうとしたその瞬間……


「その意見には俺も―――」
「それだったらぁ、こんな風に話し込んでいないでぇ早速準備に取り掛からないとぉ!」
「そっ、そうですね!飛鳥さん。こんな所で油売ってる場合ではありませんよね!」


俺の声を遮るように飛鳥を筆頭に女性陣(?)5人が一斉に円を囲むように
集まり、話をし始める。モチロン……俺、抜きで


「ちょっ、ちょっと!俺の話を―――」
「でも皆、もう下校時刻はもうすぐよ。時間や食材のことを考えてもここでの調理は
難しいと思うのだけど……」
「そうだな。ここから一番近い家……伝馬氏の家を使えばいいんじゃないか?普段から
伝馬氏は料理をするようだから、料理の道具はあらかた揃っているだろう」


俺は負けじと円陣を組んでいる5人組に向けて話しかけるが、当然のごとく……無視。
………っていうか!さっき、俺の耳がおかしくなければ料理を俺の家でするとかなんとか


「おい、ちょっと待て!そんな勝手に俺の家をだな―――」
「それだったら、途中で近くの新鮮な食材が揃ってるお店知ってるから、そこで私と奏ちゃん2人でカズくんの家に行く前に食材買って来るよ♪」
「……良し!じゃあ今から奏と泉は買い物言ってきて頂戴。それ以外の私と飛鳥、沙希は
だけれど先に和弥の家に行って、調味料や料理機器などで足りないものの確認&料理の準備
ってことで良いかしら?」


その蓮の言葉に5人が一寸の狂いもなく、首を縦に振り、同意する。
そして、蓮を含む5人全員の視線はただ一点……俺、伝馬和弥の方に向けられ


「和弥。まぁ、こういうことだから家借りるけど……いいわよね?」


つい、さっきまで何を話しかけられても無視され、言うなれば絶○先生の臼○君レベルの
存在感しかなかった俺がようやく、ようやく家主である自分に向けて言葉が掛けられた。
しかし、しかしながら!俺に向けられる5人の「もう計画まで立てちゃったのに、ここで
断る気ですか!?」という言葉なき威圧感がバシバシと俺に向けて放たれており
ここで断ることは、断ることは……人として、なんていうか男として……


「うっ、うん。了承」


できなかったのだ……


その日の夜、伝馬和弥宅
もう外は電灯などの光がなければ、歩くことすらおぼつかないそんな暗闇に包まれている中
俺の家中……台所、キッチンと一般的に言われる場所に、一行は集合した。
テーブルの上を見ると、かなりの量の食材が鎮座しており、うまく使えば一週間は
持たすことが出来る。そう俺に思わせるほどの量の食材が置かれていた。


「さぁ、何から作ろうか?」


蓮は皆がエプロンを装着し終わるのを見計らって話し始める。
皆という言葉通りになぜか俺までエプロンを装着済みだ。


「何から作るっても……テーマとかないのか?」


やっとのことで輪に入れさせてもらった俺はまだ事情を把握し切れてないため
根本的な審問を皆にぶつける。


「テーマですか?そんな大それたものではありませんが、お父さんは和食が好きですから
日本食が中心なお弁当を……それに明日からお父さんは海外の公演に行ってしまうので……」


恥ずかしそうに、だけれどいつもよりもはっきりとした口調で俺に向けて奏は言う。
そう、そうだった。忘れていた事柄ではあるが、奏での家……水城家は音楽一家である。
それも特に父親は世界的なピアニストであり、世界中を飛び回っていること……
だからこそ俺は気づいた。奏のプレゼントがお弁当という自分にとって
困難なものを選んだのかという理由を。奏自身は決して口にはしないが、父親を心配し
あまり味わうことのできない日本食を食べて欲しいと言う娘の優しい気持ちに
俺は間接的ながら感じていた。


「とりあえず、最低でもまともに食べれるお弁当は作りたいと思います!」


そう言葉を口にし、奏はもう一度エプロンの紐を締めなおす。
こうなったら乗りかかった船だ。俺も自分が出来る限りのサポートするため
気合を入れなおす。それ以外4人も必要な道具を厨房に並べて気合十分である。


「それじゃあ、まずは和食の定番肉じゃがを作ります!」


いつもより大きめな声を出し、宣言するように言う奏。
肉じゃが……牛肉または豚肉を使用し、玉ねぎ、ジャガイモ、糸こんにゃくなどを
醤油、砂糖、みりんなどで甘煮にしたもの。今ではおふくろの味の代名詞として
家庭料理の定番となっている料理である。
和食の定番と言うか家庭料理の定番なのだが、栄養価の高さ、栄養バランスもよく
特に奏のお父さんくらい年齢には、好まれやすい料理であろう。
とにかく、一品目は肉じゃがである。
皆がおのおので行動を開始し、食材を取りに行くもの、調理器具を水で洗いに行くもの
さまざまな方向へ動き始める。

こうして夕食時も過ぎ、真夜中へ時が傾く中、静かにかつ勢い良くお弁当作りが……


「みっ、皆さんちょっと聞いてください。私、肉じゃかの作り方知りませんでした……」


お弁当作りが大きな不安という爆弾を抱えたまま、開始された……


結論から言おう……この誕生日、お弁当作りは困難を極めた。
放課後の調理室で分かっていたことではあるが、予想以上の奏での料理スキルのなさと
突拍子もない行動に俺たちは全員で俺を含め6人という、中々の大所帯なはずなのに
作業は思うように進まなかった。そのなかでも特に俺たちを驚かせたのは
過去のお弁当対決で判明した、今だ俺のトラウマになっている
奏の極度の辛党に対して、肉じゃがの味付けの際のことだが……


「奏……肉じゃがの味付けは何でするかは知っているか?」


ふと、思いついたことを俺は奏に聞いてみた。
何かあるわけでもない、どれだけの知識を奏が持っているか知りたかったのだ。


「味付けですか……えっと、醤油と砂糖、みりんに……」


定番的な調味料を奏は口にし、うんうんと首を縦に振りながら
さすがに奏でもそれくらいの常識はあるかと思いかけていた、その時!


「やっぱり唐辛子は入れたいですよね!それ以外にもホットペッパーソースや
ハラペーニョソース……意外性を付いてナンプラーなんかもいい―――」
「そんな訳あるかぁぁぁ!!」


俺は気づいたら勢い良くツッコミを奏に入れてしまっていた。

完全なる無意識化の内に……

洋風肉じゃがとか言って、コンソメで薄味を付けたり
酒の変わりにワインを使ったりは聞いたことはあるが、ホットペッパーソースなんて……
この少し、いやかなり変わった奏の趣向により、何回も作業が中断になったとは
言わざる終えなかった。
しかし、それからと言うもの奏が危険行為……もとい危険物(辛いもの類)を
投下しようとする時は、誰かが止めるそれも5人の中で複数人で止めると言う
作戦を立てた結果、それが案外上手くいった。
5人と言う人数で奏の行動を360度見ているため、危ない事態に陥っても
なんとか土壇場で防ぐことが出来るようになった。
ただし、気づいている方もいるとは思うが作業のスピードは元々遅かったのに対し
さらに急激にペースは遅くなった。ドン亀ペースと言っても過言ではない。
半分以上の神経は奏に向けなくてはならないため、俺達も料理に集中できてないのが
さらにスピードを落とす原因の一端にもなっていた。
そのため、夜はどんどんと更けていき、気づいた頃には時は日にちを跨ぎ
深夜という時間帯に突入し、いつの間にか空は白み始めている時間帯になっていった。


「すいません。こんな時間まで付き合わせてしまって……和弥さんは眠くないんですか?」


横で包丁を振るっている奏が申し訳なさそうに俺に言葉を掛けて来る。


「あぁ、俺は大学時代とか不眠不休で3日くらい徹夜したこともあるし、平気だよ。それより
どちらかというと俺は、奏の方が心配だがな」
「私は大丈夫です。なんとしてもお弁当完成させなくちゃいけませんし……手伝ってくれた
友達のためにも裏切るわけにはいきませんしね」


そういって視線を後ろへと向ける。
そこには飛鳥、蓮、朝倉、芹澤の4人が寄り添ってくっ付き合いながら寝息を立てていた。
もう時間は朝になる寸前のような時間帯である。子供っぽく夜の九時くらいには眠くなって
しまうような飛鳥はモチロンのこと、それ以外の人達もこの時間まで起きるのは相当つらく
起きているのは現在、俺と奏だけである。
とは言え、皆が頑張っただけあって弁当はかなり形になっており
もう少しで完成……そんな所まで段階に入ってきていた。


「ご両親と、とても仲が良いみたいだな……奏」


俺は唐突にそんなことを奏に向けて口走っていた。こんな時間になって多少自分の脳が
うまく機能していなかったのかもしれない。思っていたことが言葉として出ていた。


「そう……見えますか?和弥さんには」
「あぁ、俺の勝手な解釈だが、お弁当それも和食にしたのは公演に行くお父さんのためを
思って、大好きな日本食を食べれないお父さんのためを思って作って上げたのかなと俺は
思ったんでな……」


俺は自分の考えていたことをそのまま、ストレートに奏に伝える。


「そのとおりですよ、和弥さん。でも、変な風吹き回しですね。和弥さん……
あまり、家族の話題振らないほうなのに」


笑いながら、奏は俺の方に視線を向ける。確かにそうだった。
俺は基本的に家族の話題はあまりしない……話すこともないし、小さい頃から早い段階で
親離れを経験してるせいか、家族と言う概念が俺の中では薄いせいもあるかもしれない。
でも、この奏の話を聞いた頃から俺は……


「俺は……羨ましかったのかもしれない。奏のような家族を大事にするような
そんな温かい気持ちが」


そんな誕生日プレンゼントを渡すのに一生懸命になっている奏の姿が
俺には眩しくて、輝いていて仕方がなかったのかもしれない。
そんな事を俺が考えている中、奏は持っていた包丁をまな板の上に置き
視線を俺に、俺の瞳へと真っ直ぐ向け、ゆっくりと口を開いた。


「でも、和弥さん。その温かい気持ちを取り戻してくれたのは、他の誰でもないあなた……
私の目の前にいる和弥さんなんですよ」


力強く、言葉を区切るように奏は俺に向けて話し始める。
視線は俺の瞳から一切外さずに……


「おっ、俺が……俺はなにもした覚えが―――」
「覚えていませんか?和弥さんが担任として来たばかりの私が合唱を止めようとしていた
時に私に言ってくれた、自分の言葉を……」


その時のことは未だに俺も昨日事のように覚えている。
悩んでいた……自分と同じような悩みを抱えていた奏を俺は他人事のように
感じられなかった。同じ過ちを、同じ道を歩ませたくなくて必死に己の思いを伝えたあの日
あの時、俺は何をこの子に……


「あの時和弥さんは自分が悩んでいる時は、周りの人間に頼ることを……一人で悩みを
抱えないことを教えてくれました」


あの時の、過去の出来事を思い出すように奏はゆっくりと語り始める。


「私は少し前まで親を恨んでいました。こんな声、才能を与えた親を……これさえなければ
誰にも期待、妬み、反感をかうことなく、普通の生活が送れたはずだと。こんな状況に
なっても、私の気持ちなど気づかず仕事を優先している親の考え方を。私は全てにおいて
親が、お父さんとお母さんが悪いものだと勝手に決め付けていました」


俺は何も言葉を発することができない。あまりにも、似たところが多すぎる境遇に
同じ感情を持ったことがある自分に、奏に向けて送る言葉なんて……なかった


「そして、私は歌うことを止めようとしました。でも、その時あなたに出会ったんです!
私の気持ちを理解し、大好きなものを捨てずにすんだ。あなた、伝馬和弥さんのおかげで」


潤んだような視線をこちらに向け、もう視線は外すことなんてできない。


「あの後、両親に電話したんです。そしたら、その日に飛行機に乗って
帰ってきてくれたんです。相談したら、心配して私の元に、仕事を投げ出してまで……
やっぱり私の両親は私にとって大切な宝物様な存在、その時になって私はやっと
気づいたです。だから、和弥さん。あなたは私の……命の恩人です!」


気づかなかった。俺はただ、自分と似たような存在である奏に同じ道を歩んで欲しくなかった
だけなのに、それが一人の少女の笑顔を救っていたことなど、気づいていなかった。
偶然に出会い、自分と同じように悩んでいた少女を俺は見捨てることはできなかった。
自分と同じ立場、存在なら自分と同じ寂しさ、孤独を抱えているはずだと
俺は知っていたから……
だから俺は、自分を救ってくれたあの人の言った言葉を……助けてくれた……あの人……

………あれ?誰だ、それは?

頭の中が急に混乱し始める。冷静に動いていた思考が乱れ始め、記憶に矛盾が生じる。
フラッシュバック、走馬灯のように記憶が小学……大学時代へと流れて行く。
飛鳥と蓮と遊んだ日々、病室に見える少女は誰だ?アメリカに飛び、知らない気の強そうな
少女が見える。三人の少し歳の離れた女性達、親しげに話しかけるムカつくほどの美男子
そして……俺に微笑む……あの……笑顔……は……?
そこで目の前が暗闇へと落ちていった。


「……っさん……っずやさん、和弥さん!」
「……えっ?」


気が付くと目の前にかなり自分に近づいているのであろう奏の顔が一面に見える。
俺はボーっとした頭ながらも自分が倒れてしまったことを頭で理解していた。


「大丈夫ですか?」
「……あぁ、大丈夫。やっぱり少し眠くて寝てしまったみたいだ」


俺は頭を横に振り、目を覚ましに掛かる。
時間を見ると、もう朝の時間帯だ。少し眠ってしまったようだ。
もう完成しかけの状態とは言え、急いで作らないとヤバイ状況だ。


「ごめんな、寝ちまったようだ。後、少しだ。頑張ろう!」
「……へぇ?あぁ、そうですね!頑張りましょう!」


いきなりさっきまで倒れていた人間が唐突に動き始めたため
意表を疲れた感じに奏がなるが、すぐに立ち上がり、俺の横に並び、包丁を持つ。

すっかり日も昇り、寝ていた4人が目を覚まし始めた頃

奏特製のお弁当は無事……完成した


皆がかたずけをし、おのおの家に帰った後
俺は一人ソファーから空を眺めていた。
考えていることは、ただ一つ……昨日、不意に蘇ってきた記憶の断片
そこに写りこんできた、人物に対してだった。
走馬灯のように流れていった記憶の中には飛鳥、蓮と言った
昔の覚えている記憶が流れる中、見たことのない病院の少女、気の強そうな少女
三人の女性、見たことのないほどの美男子が覚えている記憶している断片の
間、間に入り込んできていた。記憶にはない、見たことない人物……
だけれど忘れてはいけない、懐かしささえ感じる雰囲気がそこにはあった。
特に最後のあの……


「……っ!……なんだよ、この頭の痛さは」


そこまで考えると頭に痛みが走る。感じたことのない痛み……まるで記憶を掘り返すことを
拒んでいるような、そんな感覚が俺を包み込む。


「……もう、寝よう。今日は疲れた」


俺はこの痛みは寝不足のせいだと仮定し、睡眠へと思考を切り替える。
俺は考えることを投げ出し、意識を夢の世界へと投げ出した。
でもその時、俺は周りでは大きな変化が起き始めていることに
この時の俺は一切、1ミクロンすら思わなかったことであろう。


水城奏宅


「なっ、何……これ?」


奏は父が収集している、クラシック関係のニュースの記事を纏めているアルバムを眺め
手が震えていた。いや、体中がガクガクと寒さとは違う何かに怯える様にして震えていた。
たまたまだった。なんとかギリギリ間に合って我が父にお弁当を渡した後
気分が乗って、父の部屋でも掃除をしよう。そう思った奏がたまたま見つけた
長年クラシック関係のニュースを纏めたアルバム……それを何の気もなしに眺めていた奏は
見つけてしまった、見つけてしまったのだ。
見なければ良かった。そんな感情が生まれては来るもののどうすることもできない。
目を背くことのできない、自分にとって重要な、重要すぎる記事であった。
その記事には……

『ピアノコンクール優勝者、伝馬和弥氏に起きた悲劇』

そう……書かれていた。


この時、ゆっくりと動き続けていた運命の歯車が、大きく……加速し始めた





なんとか奏編終わりました。もう少し短めに纏めるつもりが書きたいことかいてたら、こんな長さに……で、見ている方はだいたい分かってる方も多いと思いますが、そろそろクライマックスへ向かっています。本当に申し訳ないのですが、コメディーなのにシリアスな場面が多くなります。それはどうしても仕方が無いことなのでよろしくお願いします!あまりシリアスは得意ではありませんが、頑張って書いていこうと思っています!感想、評価お待ちしています!ちょっとしたことでも良いのでよろしくお願いします!






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