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先生は17歳!?
作:takuto



第56話やる気の源


「元気ですか〜!!」
「ウォォォォォオオオオ!!!」


扇山高校体育館内
春季のレクリエーション大会とまったく同じ、一言も違うことない
生徒会長蓮のあいさつにより、テンションMAXでそのあいさつに応える生徒一同。
そんな異様な雰囲気を俺、伝馬和弥は先生の集まる体育館の隅でボーッと眺めながら
独り言のようにボソリと呟いた。


「高校生って言ってもまだ子供だな。あんなにはしゃぎ回っちゃって……
皆元気だな〜若いって素晴らしいな……」
「……まあ、そう言っている伝馬先生もまだ17歳なんですけどね」
「伝馬くん……精神年齢大丈夫?」


俺が三十代を迎えたおじさんのような台詞にすばやく冷徹にツッコミを入れる伊織&橘先生
お笑い芸人も真っ青な的確かつストレートな言葉に俺は次の言葉を放つことはできない。
でも仕方がない、ああ仕方がないのだ。今の俺の気持ちは完全に生徒達と違って
逆ベクトルの方向にテンションが向かっており、こんなネガティブ満載の台詞だって
勝手に出てきてしまう。
理由は簡単……先生なのにレクリエーション大会に参加すること、それ一点のみである。
何度も言ってるが、俺は運動はあまり得意ではない。技術もさることながら
根っから部屋に閉じこもって数式ばっか見てきた人間なため、運動というもの事態が
苦手だ、慣れていないといってもいいだろう。
昔はそんな人間ではなく、外で元気一杯で遊ぶ絵に描いたようなわんぱく小僧だったような
気がするのだが……今となっては授業の準備、大学へのレポート以外は
家でゴロゴロとしながらゲーム、ガンプラ三昧の毎日であり……
あっ、あれ?この生活っていわゆる今有名の……


「ひとつのニートって奴だよ……かーくん」
「俺、ニートなのかな?いや、ニートは確か働けるのに働かない人間のことだったから
これはどちらかというとひきこもりって言った方が……って葉月先生!
なに人の思考読み取ってるんですか!!」
「……すごいノリツッコミだね、かーくん」


視線を声の聞こえる方に向けるとそこには葉月先生、それも先生達は俺を除く全員が
審判に回るとは言え、建前上ジャージにみんなが着替えている中
一人、いつもどおり私服の上に白衣を羽織った姿の葉月先生がそこにいた。
明らかにやる気ないのがありありと分かる服装である。


「………ジ―――」
「えっと、いきなり睨み付けられても……どうしたんですか?」


会ってまだ1分も経っていないというのにジッと俺の方に視線を……
それも睨むような視線を向けてくる葉月先生。
正直……目が怖い、マジで
その後葉月先生は舐めまわすかのような雰囲気で俺に睨むような視線を数秒間向けた後
ゆっくりと口を開き


「かーくん。あの置いておいたジャージ……なんで着てくれなかったの?」


と言い放った。
えっ?置いていたジャージ?
俺は頭の中で今日ここまでの出来事を思い出す。
起床、朝食、朝の一人での学校への道のり、人っ子一人いない教務室、掲示板
机に置かれた一枚の紙、白いふく―――


「………あっ、あぁぁぁ!!」


思い出したくない記憶が蘇ってきた。完全に消したはずの忌まわしい記憶が……


「思い出した?……紙にも書いてたけど何であの服装―――」
「着れるわけないでしょう!!あんな服!つうかあれはジャージじゃない!!
それになんでサイズが俺ピッタリになってるんですか!?」
「かーくんの情報は橘先生から収集済み……スリーサイズから体の部分の健康状態まで完璧」


そう言って、ブイサインを俺に向かってかます葉月先生
なんというか、俺の全身が丸裸にされたような感じで妙に恥ずかしい。


「やっぱりダメでしたか、ちょっと無理があったかもしれませんね。私的にはそれを来た
伝馬先生の姿、ぜひ見たかったのですが……」
「本人の自主性に任せたら無理決まってるでしょう?まあ服装のチョイスは葉月先生さすが!と言わざる終えないけれど……」


やっぱり伊織先生、橘先生もグルですか……
分かってはいたが、多少のショックを隠せない。完全なる俺の味方は
この三人の中ではいないようだ。


「それより話をレクリエーション大会へ戻しますが、伝馬先生は生徒として
競技に参加すんですよね?」
「あっ、はい。2-Cの中に混じって参加する予定ですが……」


どうにもテンションが上がらず、どうしても声が沈んでしまう。
たしかに参加するのは決定事項とは言え、今だ乗り気ではない。
それに乗り気になれないもう一つの要因があって……


「どの競技に参加するんですか?伝馬先生は」
「そういえば私も知らないわね、伝馬くんがどの種目に出るか。どの種目に出るの?」
「………ドッジボールです」


俺はゆっくりと重い口調で伊織先生、橘先生に伝える。
そう、もう一つの乗り気にならない要因……それは自分が出る競技の種目である。
俺はどのスポーツも大体の競技が苦手ではあるが、その中でも球技
球を使う競技は水泳の次に苦手なスポーツである。
それにドッジボールなら最初から外野にいれば楽出来るじゃん!!と一瞬思ったが
メンバー表には内野の選手に自分の名前が記入されていた。
これがトドメになったとも言えよう。俺のやる気は0という壁を突きぬけ
マイナスへと負の領域に進行した。


「そっ、そんな顔しないでくださいよ、伝馬先生。私、応援してますから!」
「そうよ!そんな辛気臭い顔しちゃって……ほら、頑張って!」
「かーくん……ガンバ」


その様子を見かねたのか、俺に向けてエールの言葉を送ってくれる女性教師3人トリオ
いつもは俺をいじめて遊んでいる3人なのだが、今回ばかりはあまりの俺の低い
テンションに驚いたのか、かなり気にして俺にかまってくれている。
やはりそこら辺は自称ではあるがお姉ちゃんと言っている所以なのだろうか……
とは言え、ここまで一応ではあるが扇山の美人三大教師にエールを貰っているのだ
多少のやる気の無さのなど感じながらも頑張らなくてはならない
そんな風に思い始めていたとき……


「あっ、そういえばかーくん。今回の優勝賞品は………」


その葉月先生から放たれた言葉に、俺は今まで見たことないくらいに目を見開いていた。


開会式終了後
俺を含め2-C全員の生徒達は俺の指示により、体育館の隅に集められた。
いきなりの指示だったためか、大半の生徒は何のことか分からず多少混乱気味
俺は一言「静かに」と生徒達に向けて言葉を放ち、ざわつきが収まったところで
ゆっくりと口を開き、話を始めた。


「……よし、作戦会議を始めるぞ」


いつもとは違い、かなり真面目な口調で話を始める。


「えっ!?どっ、どうしたのぉ!カズちゃん、いきなり作戦会議なんてぇ……
まさか昨日なんか変なものでも食べたぁ?」


飛鳥……いきなりとは言え、幼馴染に向かって変なもの食べた宣言はないと思うのだが……
他の生徒達も「伝馬くん……ついに頭が……」とか「伝馬。風邪引いてるのなら、遠慮せずに
言えよ?俺たちが担いででも保健室連れてってやるからさっ!」などの俺を病人のように
向ける視線が矢のように振り注いでくる。


「ちょっと待て!たかが作戦会議開くって俺が言っただけで、なぜ病人扱いされなければ
ならないんだ!!心外だぞ!!」


俺は未だ自分に向けて哀れむような視線を向ける生徒達に向けて反論の弁を返す。
すると、座っていた生徒中から見知った顔……朝倉と芹澤が立ち上がり
俺に視線を向け


「あたりまえだ!この前のHRホームルーム中にどうやって運動不足解消するか
質問を受けた時だって、俺はWi○スポーツで運動してるから大丈夫!なんてダメ人間にも
ほどがある発言をしたばかりじゃないか!!」
「それに私がカズくんに授業中に野球のクライマックスシリーズの話を振ったら、俺は野球
というかスポーツは見ない!でもメ○ャーやお○振りなんかは見てるぜ!ってどこの
アニオタ?って思わせる発言してたじゃん♪」


例を挙げて、俺の反論に対し意見を述べる。
っていうかそんな発言俺言ってたっけ?そう思うのだが、生徒達はその時のことを
思い出すように首を縦に振りながら、ウンウンと頷いている。
完全に疑惑の目で2-Cの生徒全員は俺に視線を向けており
話せる雰囲気などまるっきし感じない。
このままでは時間が……そう思った瞬間、2-Cの良心
我が救世主である人物がゆっくりと立ち上がった。


「まぁ、朝倉と芹澤さんの2人ともひとまずは座ってください。皆さんも落ち着いて。
時間も在りませんし、今のところは先生のことは気にせず話を聞きましょう」


そう言うと、さっきまでざわついていた生徒達はピタっと静かになり
視線を全員こちらに向けてくれている。
さすがは我がクラスの委員長、水城奏。俺なんかよりも段違いで指揮する能力があり
まるで獰猛な牛を手なずける闘牛士のようだ。
……でもさっきの発言、今のところはってことは俺のことは信用してないってこと?
まっ、まあ多少の疑問は残るがやっとのことで話が出来る。
俺は軽く深呼吸をし、気持ちを落ち着かせて話を始める

本心を知られないように焦らず、平常心で……

自分の目的を2-C生徒達全員、特に見知った人間である

飛鳥、奏、芹澤、朝倉に知られないようにいつも通りの口調で……

バレたら一環の終わり、先生としての信頼は底辺に落ちる

何しろ俺のやる気は個人の感情、欲……いわゆる優勝賞品である

和菓子だけのために動いているのだから……


次へと続きます。つうかまだ競技にすら入ってないよ……次からは和弥もめずらしくやる気満々で行く予定なのでめずらしくかっこいいシーンが書けるかもしれません。感想、評価お待ちしています。ちょっとしたことでもいいのでお願いします!!






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