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先生は17歳!?
作:takuto



第41話憂鬱な彼


月曜日の数学の授業
もう夏休みまでカウントダウンに入っており、最大の山場――期末テストも終わって
生徒達を阻むものは何もなく、わりかし暇な時期
この時期は、どこの学校でもだいたいの生徒達は授業などには身が入らなくなり
授業中には眠っている生徒が続出!!なんてのが定番なのだが……
この扇山高校2年C組はなぜかみんなが目を開けて、授業を受けていた。
いや、ノートなどは開いているが誰一人書く作業をしていない。
ただ生徒達はある一人の人間を心配そうに眺めている。
その人物とは……


「……………」


いつもとは違い、ちょっと暗い顔をしているこのクラスの担任兼数学先生、伝馬和弥であった
真面目な彼にはめずらしく黒板に「自習」と一言書き
椅子に座り、じっと黙ったまま窓のガラス越しから外を眺めている。
そして、突然おもむろに立ち上がり


「すまんが、水城」
「あっ、はい!」


突然の和弥の言葉にびっくりして、声が裏返る奏。


「俺、ちょっと疲れたみたいだから授業が終わったら水城の合図で終わってくれ」


そう言葉を言い残し、和弥は教室の外へと出て行った。
それからすぐに教室が騒がしくなる。


「おい!伝馬どうしたんだよ今日は?いつもと雰囲気違うぞ」
「何かあったのかな……伝馬くん真面目だから風邪ひいてても授業したたのに」
「あれは絶対なんかあったな。やばいって今日の伝馬」


クラス中が伝馬和弥の普段とは違う、異常な事態についての話題で持ちきりだ。
委員長である奏が注意呼びかけるものの、このざわめきは止まる雰囲気は……ない。
結局、隣のクラスで授業をしている先生に怒られるという定番すぎる、ベタな展開で
数学の授業は和弥不在のまま終了した。



「やっぱりおかしいよぉ!今日のカズちゃん!」
「そうね……さっき見たけど、心のなしか元気なさげな感じだったしね……」
「それに今も昼食はいらないって言ってどっかに行ってしまいましたし」
「話しかけてもボーッとしていて、上の空だったぞ」
「う〜ん。今回ばかりは私も心配だな」


昼食時間
いつもの5人衆は今日の和弥の異常事態について話し合っていた。
ちなみに和弥は奏の言ったとおり昼食を断り、今この場にはいない。


「理由は分からないけどぉ……なんでもいいからぁ、いつものカズちゃんに戻って欲しいよ」


そんな言葉が飛鳥の口からもれる。
それはここにいる5人全員が思っていることであった。


「それじゃ!なんとか私達で和弥の元気を取り戻しましょうか!」


その蓮の言葉にみんなが一斉に頷く。


「とは言え、どうやって伝馬氏を元気にするんだ?」
「たしかに根本的なことよね……みんなだったらどうするの?」


朝倉のごもっともな事について、みんなに意見を求める蓮。
すると飛鳥が……


「はいっ!!私にいい作戦があるんだよぉ!」
「本当で?それって効果あるの?」
「間違いなしだよぉ!!絶対大丈夫!!」


疑いの眼差しを掛ける蓮に対して、自信満々な顔で答える飛鳥。
よほど自信があるらしい……


「そこまで言うなら飛鳥に任せてみればいいのではないか?」
「そうですね……私、思いつきませんし」
「私もさんせ〜い♪」


朝倉、奏、芹澤の三人は飛鳥に任せると言う意見に賛成のようだ。
そして、蓮も……


「そこまで言うならね……じゃあ飛鳥に任せてみましょうか」


こうしてこの作戦は和弥の幼馴染である飛鳥に任せると言う
結論に達したのだった。


飛鳥は教務室前で和弥が出てくるのを今か、今かと待ち構えている。
午後の授業終わり休憩……次が授業の和弥はかならずここから出てくる……
そして、待ち始めてから2分ほど経過した頃
和弥が教務室の扉を開けて、姿を現した。
やはり顔はいつもの不幸で疲れている顔なんかと違い、何か思い悩んでいるような
あまり見ることのない複雑な面持ちだ。
飛鳥は姿を確認して、一つ大きな深呼吸をする。


「ふぅ……よし!飛鳥いっきま〜す!!」


その掛け声とともに、飛鳥は和弥へと突撃する。


「カズちゃん!!今日なんだか元気ないね!」
「……そうか?ちょっと疲れてるのかもな」


そう和弥は答えるものの、何かおかしいのはあきらかだ。
やっぱり元気ないよぉ……よし!この作戦を使うしかない!!
そう飛鳥は自分に言い聞かして、作戦を開始した。


「そう言えばぁ、今週はらき○た見た?面白かったよねぇ〜。でも私はハ○テのごとく
も面白かったかな〜って思ったんだけれど……」


飛鳥の作戦。それはいわゆる飛鳥と和弥の共通の趣味である
アニメと言うものを話題にして盛り上がるというものであった。
いつもこういう風に一緒に盛り上がっている経験がある飛鳥だからこそ
これなら嫌でも元気が出る!!と言うかテンションが上がる!!そう思っていたのだが……


「…………」


全く聞いている感じが見られない。完全に上の空だ……
あれ?おかしいなぁ……いつもならこの話題で1時間くらい余裕なのに。
飛鳥の頭の中が混乱し始める。予想だにしていない事態だ。


「そういえばあるアニメが愛知県ではすごいことに……」
「………」
「そっ、それに!もうすぐしたらカズちゃんの好きなカン○ムの新シリーズが……」
「………」
「わっ、私はハル○とかが楽しみなんだけどぉ。やっぱり話は消失がメインかなとか……」
「………」


完全無視だよぉ〜!!本当どうしちゃったのぉ!カズちゃん……
色々と話題を変えて、話をして見るものの、ピクリどころか、一切興味を示してくれない。
結局、飛鳥の結果は無残なくらいの惨敗であった。
その後も蓮、奏、朝倉などがあの手、この手の方法で攻めてみるも
戦果はほとんどゼロであった。


「ほんとう……どうしようかしらね」
「今日の伝馬氏はある意味一番手ごわいかも知れんな」
「私のぉ……わたしぉ作戦が聞かないなんてぇ……」
「はい、はい。飛鳥さん泣かないでくださいよ」


放課後
何の成果もないまま、ただ疲れだけが溜まっていく一同はちょうど誰もいなかった
教室2−Cで休みを取ることにした。
蓮と朝倉は疲れ切っているようで、誰の机など関係なく座って体を休め
飛鳥はよほどさっきの作戦に自信があったのか、少し涙目で奏はその飛鳥を面倒を見ていた。
周りの雰囲気が暗い感じに包まれていく。ダメなオーラが流れてくる……
そんな中でここまで動きを見せなかった芹澤が……


「えっ〜と、私にちょっとした案があるんだけれど……」


と立ち上がりながら言う。
視線が芹澤へと集まっていく。


「おっ、泉がか!?どんなのなんだ?」
「もうこうなったら何でもいいから試すのみね。それでその案って?」
「何なんでしょうか……」



教室も隅っこでいじけている飛鳥以外は芹澤の意見を聞こうと体を寄せる。
そして芹澤は皆の方に体を向けて、ハッキリとした口調で


「それは色仕掛けだよ♪」


と言った。全員が嫌な予感が走る……


「衣装も用意したんだよ♪今は夏だからちょっと露出が多めだけれど……」


そう言って、どこからともなく衣装が出てくる。
ほとんどが中々の露出の激しい衣装ばかりだ。


「聞いていてすまないが、私は遠慮したいんだが……」
「わっ、私もちょっとそれは……」
「私は無理よね!こんな露出の激しいのは」


後ずさりをしながら芹澤と距離を取ろうとする朝倉と奏と蓮。


「奏ちゃん、沙希……これもカズくんのためだよ。おとなしくしなさい♪
あと、蓮ちゃん。大丈夫♪蓮ちゃんの専用服もあるから♪」


そう言って、距離をつめてくる芹澤。
顔は笑顔だが、追い詰められてる3人には恐怖心しか生まれない。


「あと……逃げちゃダメ♪飛鳥ちゃん」
「あぅ!!ばっ、ばれちゃった……」


ゆっくりと教室から出ようとしていた飛鳥も芹澤は見逃してなかった。


「泉ちゃん!これだけは許してよぉ」
「ちょ、ちょっと!さすがにこれ着るのには抵抗あるわよ!」
「私、恥ずかしくて無理ですよ!」
「沙希、早まるんじゃない!これはさすがに……」


4人は隅に追いやられながらも、必死に抵抗する。
しかし……


「ドンマイ♪」


容赦ない芹澤の一言がその4人へと襲い掛かった。


保健室
俺はこの前のデートのことと、綾乃薫のことを橘先生へと聞きにきていた。
そのため、俺はそのことで頭がいっぱいなっており
自分の生活はもちろんのこと、仕事である学校の授業まで上手くできない状況であった。
そして、さっき詳しい事情を橘先生から聞き、やっとことで頭の整理がついた。


「と言うことだから……薫ちゃんのことは心配ないわ。安心して」
「はい、わかってはいるんですけれど……性別はどうあれ告白された人だから
いろいろと悩んでしまって……」


頭の中に浮かぶのは結婚式の最後……
俺から離れていく姿は、とても憂いを帯びていて頭から離れない。
薫の望むことを俺は実行し、本当にこれでよかったのかだろうかと
考え込んでしまう俺がいる。


「……ああ!!もうっ!そんな顔しないの伝馬くん!」


そう言って、下に視線を向けていた俺の顔を橘先生が自分の顔の方向へと向かせる。


「薫ちゃんはね、そんな伝馬くんが困っている顔なんて見たくないと思うの。
あの子なら間違いなく自分のせいにしちゃうから……わかるでしょう?」
「……はい」
「だからね、伝馬くんは笑顔でいなさい。もし、薫ちゃんに何かしてあげたいと思うのなら
いつも笑顔でいなさい……」


橘先生の真剣な眼差しから色々な思いが伝わってくる。
そうだ……何うだうだしてるんだ俺。いつも俺らしくないぞ!
そんな思いが自分中から湧いてくる。


「そうですね。そうします……俺、いつでも笑顔でいます」
「……うん。よろしい」


橘先生は俺のほうに笑顔を見せて、離れていく。


「そういえば、さっき泉ちゃんから伝言貰ったわよ。2−Cの教室に来てくださいって」
「えっ?芹澤からですか……」
「うん。内容は聞いてないけれど、伝馬くんを元気するとか、何とか言ってたけど」


その言葉を聞いて、あることに気づく。
そういえば、今日なんかやたらにあの5人が絡んできたな……あの時はいっぱい、いっぱいでよくわからなかったが、あれってもしかして俺を元気付けるために。
なんか心配掛けてしまったみたいだなあいつらに……
ちょっと恥ずかしいが嬉しい気持ちになってくる。


「すいませんでした。いろいろと……用事があるんでいってきます」


そういい残して、俺は保健室を出て、2−Cの教室へと向かった。


そして、2−Cの教室に着く。
やっぱり、一言謝っておかないとな……
そんな思いを持ちながら、扉を開く。すると……


「はぁ、はぁ……」


そこにはすごい光景が待ち構えていた。
荒い息遣いで飛鳥を捕まえて、服を脱がそうとしている芹澤。
それを半泣きになりながら、それを阻止する飛鳥。
朝倉と奏にいたっては上半身は下着一枚で教室の隅っこでブルブルと震えている。
蓮は一人無事であったが、顔には信じられないほどの汗が……
この光景って……
すると、扉を開く音で気づいたのか、俺の方を驚いた顔で見る芹澤。


「……えっ!?あれ?もうそんなに時間が……ちょっと待って。勘違いしないでこれは……」


何か芹澤が言っているが、俺の耳には届いてこない。
とにかく俺は無意識のうちに


「ごっ、ごゆっくりぃぃぃ!!!」


と叫んで、逃げるだけであった。
すいません……こんな状況で笑顔は無理です。


副会長編の後日談です。元々書く予定はなかったたんですが、予想外の薫に対しての感想、メールが多いため、薫は出ませんがここまで和弥は悩んでいたんだよってことを書いてみました。本当に薫にはびっくりさせられました……
感想、評価お待ちしています!ちょっとしたことでもいいのでお願いします!!
で、私事なのですが、少し前から夏休みということで更新が早くできるようになって嬉しいなとか思ってたのですが、ちょっと更新が遅くなるかもしれません。理由は単純にサボりすぎた水泳の補習なんですがね……そんなにかからないと思いますがけど。
そういうことなので自分ごとですいませんが、よろしくお願いします。






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