先生は17歳!?(40/100)縦書き表示RDF


ネット小説ランキング(月1回)&アルファポリス(週1回)に登録しています。
投票よろしくお願いします!!
先生は17歳!?
作:takuto



第39話一日だけの関係 前編


日曜の朝10時前
俺はこの町の中心部に位置する駅の前にある噴水の場所で
一人緊張した面持ちで突っ立っていた。
休みの日になると、この駅前はよく若者の待ち合わせ場所として使われてるらしく
今、駅の周辺を見渡せば何処から湧いて出てきたのかと思うくらいの
人混みでごった返している。
普段ならこんな日曜日は昼までゴロゴロと家で惰眠を貪り、ゆっくりしているであろう俺なの
だが、なぜ今日はこんな朝から駅前で突っ立てるのか、それにはある理由がある。

この前の期末テスト後の結果発表
1位になり、どんな要望でも願いが叶うと言う最優秀生徒権限を手にいれたのは
副会長であり、女装癖の綾乃薫さんが手に入れた。
そして、その権限を手に入れた綾乃さんが使った願いとは


「伝馬先生……今度の日曜、一日だけ恋人になってくれませんか?」


と言う一般人では考えられない変わった願いであった。
そして俺はその願いを叶えるため待ち合わせ場所である、駅前で一人突っ立って
綾乃さんが来るのを待っている俺であった。
一日だけとは言え、女装している男と恋人とは……そんな思いが湧いて来るが
願いは絶対と言われてしまっているので、仕方がない。
駅前に置かれている時計の方に視線を向ける……9時54分
もうすぐで待ち合わせの時間だな。そんなことを考えていると……


「おい!あの子見てみろよ!かわいくないか?」
「えっ?……あっ、本当だ。っていうかあれ芸能人かなんかじゃないのか?」
「ヤバイって!めちゃ美人だし。声掛けちゃおうか?」


いきなり周りがザワザワと騒がしくなる。
駅前にいる人たち、特に男性陣の喋り声が多く、嫌でも俺の耳に話し声が聞こえてくる。
何かと思い、顔を上げてみるとある一点の方向にみんなの視線が集中しているのが分かった。
その方向に俺も視線を向ける。と、そこには……


「……あっ!」


俺の姿を見つけたのか、ちょっと恥ずかしそうな顔で
みんなの視線を一心に浴びている人物は俺の元へ小走りで近づいてくる。
格好は白いノースリーブのワンピースに水色のカーディガンのようなものを羽織っており
夏らしい爽やかな感じの服装をしていた。
まさしく、あれは俺の待ち合わせ相手、綾乃薫さんであった。


「ごめんなさい!早く来るつもりあったんですが、準備に戸惑ってしまって……」


そういって律儀に謝ってくる。
時間は9時54分。待ち合わせ時間は10時だったから5分前行動よりも早い時間だ。


「問題ないって!君が謝る必要なんてないよ。単純に俺が早く来すぎただけだから」


そう言って俺は遅れてきた訳でないのに落ち込んでいる様子の綾乃さんに言葉をかける。


「……やっぱり優しい人ですね。思っていた以上に……」
「えっ?何か言った?」


綾乃さんが小さな声で何か言っていたようだったが、うまく聞き取れない。


「何でもないです。それより行きましょうか」
「あっ、うん。じゃあ行こうか!」


こうして俺と綾乃さんの一日限定の恋人デートが始まった。


「そう言えば、綾乃さんこれから何処行くか聞いてないんだけど?」


俺は今回のデートにあたって知らされていたことは待ち合わせ場所と時間だけであり
どういうデートをするのかなどは全く知らされていなかった。
そのため事前に聞いておかなければ、そう思ったのだが……
なぜか俺の方に睨むような視線を飛ばしてくる綾乃さん。
何か気分の損ねるようなことをしてしまったのか?そう思い、考えていると


「和弥くん……今日だけは私のことは薫って呼ぶって言ったじゃないですか!」


少し怒り気味な感じで注意されてしまう。
そうだった。今回のデートで綾乃……いや、薫からデートの際に何個かの恋人らしく
振舞うための条件と言うものを挙げられていたのをすっかり忘れていたようだ。
その条件の一つ、呼び合うときは下の名前で言うという条件を……


「あの、すまん!忘れてたみたいだ。許してくれ!えっ〜と、薫」
「う〜ん……まだ慣れてないみたいですね。とにかくお願いしますね!和弥くん」


なんとか笑顔を取り戻し、いつもの薫に戻ったようだ。
やれやれ……デートなどは慣れていない俺ではあるが、なかなか骨のおれるデートなりそうだ
それにいつもとは違い、物静かなイメージのある薫も今日はテンションが高く
ウキウキしている感じが俺にまで伝わってくる。


「それでこれからの予定はどうなってるんだ?」
「えっと、夏物の服を買いたいんで服屋に行きます。そっ、それでいきなりですけど
和弥くんに私の服選んでもらいたいな〜とか思ってるんですけれど……」


上目遣いで俺の方を見る薫。
そんな潤んだ瞳でこっちを見ないでくれ……絶対断れないじゃないか。


「わかった。わかったから、俺も薫の服選ぶのに協力するよ」
「ありがとうございます!和弥くん」


本当に嬉しそうな顔で笑う薫。
こっちまで笑顔になってしまうような朗らかな気持ちになってしまう笑顔であった。


「方向はこっちです。少し歩きますけど、そこまで遠い距離ではないんで……
行きましょう和弥くん」


そう言って、薫はすっと右手をこちらに掲げる。


「えっと……お手か?」
「違いますよ!そうじゃなくて、手を!手をつなぐんです。
恋人っぽく見せるための条件の一つですよ」


そんなことまで条件にしていたとは……正直言って恥ずかしい事この上ないのだが
また、薫の睨むような視線が俺に降り注ぐ。
まぁ、仕方が無いな……そう言い聞かして、俺はおずおずと左手を伸ばし
薫の白くてやわらかそうな手のひらに自分の手のひらを重ねた。
すると、きゅと薫が軽く握り返してくる。


「………」
「………」


二人とも沈黙……俺の顔は一瞬で熱くなり、心拍も露骨に早くなっていく。
薫のほうを見ると薫も真っ赤な顔して下を向いていた。
俺の手のひらかそれとも薫の手のひらなのか良く分からないが、握っているその手から
妙な熱さも感じられる。


「その……行こうか?薫」
「そっ、そうですね……行きましょうか」


そう二人で顔を真っ赤にしながら、薫が言っている服屋へと歩いていく。
もうこのときには頭の中には薫が男なんて事は遥か彼方へと飛んでいってしまっていた。


それからその服屋へと向かっている間、俺たちはさながらういういしさがにじみ出ている
初デートの中学生カップルのごとく、沈黙した時間が過ぎていった。
とは言え、時間が過ぎていくうちに慣れていくもので
服屋に着く頃には普通に会話ができるほどになっていた。
服屋の中に入ると予想はしていたが、女性物の服しか置いておらず
客も自分が見渡す限り、女性しか見えない……完全に俺一人浮いている。



「う〜ん……これも、これも……あっ!これもいいかも。和弥くんどれがいいですか?」


その中で薫は服を選んでいるようだが、気に入った服が多いのか決めあぐねている様子で
俺は一応であるが、薫から選んでくれと頼まれているので真剣に一着、一着
自分の感性で意見を述べていく。
そして、結局のところ4着まで絞った所で試着室で着てみることにした。


「……どうですか?和弥くん。似合ってるでしょうか……」


人に見られるのが恥ずかしいのか、少し顔を赤くして俺に意見の求めてくる。
今薫が着ているのは、薄めのピンクを基調としたかわいらしいワンピース
清楚でかわいらしい感じを上手く引き出している。


「うん!とても似合っているよ。薫」


俺は心の底から、思っていることを率直に薫に伝える。


「そうですか!和弥くんがそういうならこれにします」
「そうか?ならいいだが……すまんがその服の値段教えてくれないか?」
「えっ?値段ですか……えっと、7000円ですね」


7000円か。もっと高い値段を予想していたのだが、まあこれなら大丈夫だな


「薫。俺が買ってあげるよ!そのワンピース」
「……えっ?」


薫は驚いたような顔で俺のほうを見る。


「本当にいいんですか?」


確認するように聞いてくる。そこまで俺がケチだと思われているのだろうか。


「ああ、いいよ。すごく似合っていたしな。今日の記念だ」
「あっ、ありがとうございます。本当に……すごく……嬉しいです」


満面の笑顔を俺に向ける。
そのきれいな笑顔に気恥ずかしい感じの思いが湧いてくる。
そんな心の動揺を薫に悟られないように隠しながら、会計のためレジへと体を向ける。
するとレジの店員がなぜか俺たちの方へ微笑ましいと言うのか、生暖かい視線を向けてくる。
なにかおかしいところがあるのか?そう考えていると店員が


「仲のいいカップルですね。店の中でも試着室に入る時以外はずっ〜と手を繋いだままで……
見ているこっちが恥ずかしくなりますよ」


そう言われて、手の方向に視線を向ける。
その店員が言われたとおりちゃんと、それもがっちりと俺は薫と手を握っている。
それも自分達が気づかないくらい長い間ずっと……
すると突然急に異様な恥ずかしさが襲ってくる。
顔がゆでだこの様に真っ赤になっていくのが、自分でもわかるほど体が熱い。
薫のほうに顔を向ければ、薫も俺と同じく顔を真っ赤にして俯いていた。
二人とも声も出さずに、黙ったままの状態の時間が過ぎていく。
聞こえるのは、店員の笑い声のみ。

しかし、なぜなのだろうか……

こんな状態になっていても握っている両手は離れることはなく、繋がったままであった。

どちらか片方がぎゅっと強く、その手を離さないように……

この人の繋がりを離さないようにと思いながら……


あま――――――いって感じで次回に続きます。書いていて、実際はこんなういういしいカップルなんているのだろうか……そんな気落ちになりながら、書いていました。なんとか上手い感じで次で終わらせたいですね。感想、評価お待ちしております。どんなことでも、ちょっとしたことでもいいのでよろしくお願いします!






ランキング参加中です!! 投票よろしくお願いします!!







ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう