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先生は17歳!?
作:takuto



第38話期末テスト


期末テスト
それは夏休みと言う大きなエデンへと向かう道への高く険しい壁
高校生の夏休みという夢を打ち壊す悪魔とか言うのが高校生らしいイメージなのだろうか?
こうやって毎日のように先生である俺までガヤガヤしているこの扇山高校も
今は期末テスト期間の真っ最中であり、全ての部活は活動を中止し
テスト勉強一本と言う流れが校内に充満しきっている状態だ。
周りを見渡せばノートを交換していたり、問題を二人で考えて解いたりなど
テスト勉強をしていない人なんかいないのでは?と思うくらいの勉強の嵐であった。
それもそうであろう。この期末テストは夏休みを賭ける大事な戦いなのだから……
我が校扇山高校は中間テストは教師に罰があると言う決まりがあるように
期末テストにも決まりがある。それは下位100名の夏休み強制勉強合宿と
上位50名に贈られるごほうびシステムだ。
これにより、下位もそして上位者も普通の学校では見ることの出来ない
死に物狂いのテスト勉強が繰り広げられると言うことだ。
まあ先生と言う立場にいる俺にとっては嬉しいことこの上ない状況だと思ったのだが……


「う〜ん、う〜ん……わかんないよぉ!助けてぇ、カズちゃん!」


そういって俺に助けを求めるのは、我が幼馴染、宮本飛鳥。
今は進路指導室でワンツーマンのテスト勉強をしている最中である。
テスト勉強期間中のある日
いきなり泣きながら、教務室の俺の席に飛び込んでくるものだから何があったかと思えば…


「カズちゃん……わっ、私の夏休みがぁ……期末テストでぇ……」


と小さな体を震わせながら、俺に助けを求めて来たのだった。
最初どうするか迷ったのだが、幼馴染のよしみと言うこともあり
飛鳥の勉強の手伝いを引き受ける事となった。
そして今日はテスト前日
数日ではあるが、俺の指導もあってか大分形になってきたとは思うが


「うぅぅ……この問題難しすぎるよぉ」


なぜか数学だけは思うように点数が上がらない飛鳥。
公式は全て頭に入れて、一通りの解き方も丁寧に教えたのだが……
ちょっとした応用問題になると今のように混乱して、問題が解けなくなってしまうらしい。
それ以外の教科はなんとかなりそうなところまで来たのだが……
時計の時間を見ると今の時間は18時24分
もうすぐ最終下校の時間が迫っていた。


「飛鳥。すまないがもう時間だ。あとは家で頑張って―――」
「もうダメだよぉ〜。私の夏休みがぁ……カズちゃん見捨てるの?」


そう言って涙目で俺を脅しに掛かる飛鳥。
昔からなにか困った時にはよく飛鳥が使う最終手段、必殺奥義である。
いつもののこととは言え、なぜか異様に良心が痛んでしまう俺。
それに飛鳥の勉強を受け持った以上、悪い成績、補習になるようなことは
先生として、なにより伝馬和弥として許されることではないという思いも促し


「だったら、中間の時と同じで俺の家で事前勉強会するか」


と自ら提案する俺。


「本当?やったよぉ!ありがとうカズちゃん!」


本当に嬉しそうな顔でこの提案に喜ぶ飛鳥。
結局のところまたではあるが、テスト前の勉強会が俺の家で開かれることとなった。
しかし……


「あっ!蓮ちゃん?カズちゃんの家での勉強会OK出たよぉ。だからみんなに連絡しといて」
「……おい。なんで蓮に勉強会のことを」
「だって勉強するなら皆でしたほうがはかどるよぉ。だから奏ちゃんも沙希ちゃんも泉ちゃんも呼んでおいたから大丈夫だよぉ!」


なにを基準に大丈夫なんですか……飛鳥さん
嵌められた感が否めないが、こうして一日限りの勉強会は幕を開けたのだった。


「えっと〜。これはAの式をBに代入して……あっ、あれ?答えが出ないよぉ」
「焦らないで飛鳥。冷静さを持って、やり方は間違ってないわよ」
「ここの計算ミスですね飛鳥さん。気をつけてくださいね。いくら勉強してもケアレスミスしていれば、点数はゼロなんですから」
「うん!頑張るよぉ!」

そう言って、また参考書と睨めっこ状態になる。
今、飛鳥は蓮と奏というテスト上位コンビの指導を受け、勉強に励んでいた。
その姿を眺める俺。さすがはテスト上位者と言ったところか
先生である俺ですら、ほぉと感嘆するほどの上手い教え方で勉強嫌いの飛鳥に
次々と問題を解いていかせる。
この分なら俺の力などは不要であろう。
けれどもこうやって頑張って勉強している奴がいるにもかかわらず
サボっている酔狂な輩がいるのも事実であり……


「おお、飛鳥は頑張り屋さんだな。感心するぞ」
「そうだね〜♪すごく真面目で尊敬しちゃうよ♪」


そう言って、教科書や参考書を開いてはいるが、全く持って勉強やる気なしなのが
丸見えな二人の人物……朝倉と芹澤は人事ように呟いた。


「お前らな……少しは勉強しようとか思わないのか?」


そんな二人の様子を見て、俺はあきれたように二人に声を掛けて見るが
返ってくる答えはいつも決まって


「いつも言ってるだろう?勉強なんてやらなくてもいいんだ。将来に役に立つことを
いわゆる技術を学ぶべきであろう。こんな数式など覚えても意味がない」
「私は単純に勉強嫌いなだけなんだけどね♪」


と朝倉は屁理屈としか感じれない、いい訳じみた自分の考えを偉そうに喋り
芹澤に言ってはただ単純に嫌いというストレートな解答しか返ってこない。
それに中間テストの時とは違い、俺に変なプレッシャーかかる事態もないため
あの時みたいに条件を出すことも出来はしない。
まぁ、今回は自主性に任せる……そんな時もあって良いだろう。
そう俺は頭の中で自己完結し、時計を見る。
普段、俺が夕飯を食べる時間を過ぎており、特に飛鳥は疲れの色が見えてきていた。


「みんな、もうこんな時間だ。夕飯食べてないから飯にしよう」


そう俺はみんなに向かっていい、キリが良かったのか飛鳥の勉強もひと段落着いたようで
少し遅い時間帯ではあるが、休憩もかねて夕食を皆で食べることとなった。


「でもさぁ、私は上位なんかなれないから分からないけれどぉ……
上位の人が貰えるご褒美って何もらえるんだろう?」


夕食をみんなが食べ終わり、お茶でも飲んでゆっくりとしてる頃
唐突に飛鳥が俺たちに質問を投げかけてくる。


「私が上位に入った時は食堂のタダ券だったな」
「私はなんかいろいろなお菓子が詰められてた袋を貰いました」


さすがは上位組みの蓮と奏。ちゃんとご褒美を貰っているとは……
しかし、ご褒美という割にはショボイ物ばかりだな。


「じゃあ、一位の人はぁ?一位の人は何貰ってるのかな?」
「それは……私もなったことないから分からないわ」
「同じく私もです」


この質問にはさすがの蓮、奏の秀才コンビも答えることはできない。
無論、朝倉&芹澤などは論外である。
こればっかりはお手上げ状態そう思っていると、俺の頭の片隅に何かひっかかるような感じが
あれ?そう言えば、今日の朝から伊織先生が………


「あっ!俺知ってるぞ!一位のご褒美!」


そうだった。無性に一位の商品が気になったため、伊織先生に聞いていたことを
すっかり忘れてしまっていた。


「えっ?何なのぉ!教えてよぉカズちゃん」
「私もそれは是非聞いておきたいわね」
「たしかに気になります……」
「早く教えろ!伝馬氏。気になるではないか」
「一位だもんね〜……よほど豪華なご褒美なのかな♪」


5人ともこれでもかってくらい俺の体の近くに来て、内容を聞こうとする。
俺はそんな5人の雰囲気に圧倒されながらも、小さな声で答えた。


「ええっと、確か俺には意味の分からないもので名前しか覚えてないんだが
最優秀生徒権限というのが貰えるらしい。意味は良く分からんがな……」


この瞬間、飛鳥以外の4人の目の色が変わった。
様々な方向に体を向け、ブツブツと一人で何か考えている素振りをしている。
何秒と言う時間が過ぎたのだろうか……
バッと同時に4人が立ち上がり


「ごめんねカズくん♪もう家に帰るから。また明日♪」
「ちょ、ちょっと待て!そういうことだ。私も家に帰る。じゃあまた明日だ!伝馬氏」
「あんたたち絶対同じ事考えてるでしょ!ごめんけどもう帰らなきゃ。グッバイ!和弥」
「すいません私も……飛鳥さんのことをお願いします」


そう言って、疾風のごとく4人は俺の前から去っていった。
残ったのは俺と……飛鳥のみ。


「かっ、カズちゃん……まだテスト勉強終わってない……」
「わかった。俺でよければ手伝おう」


こうして俺は飛鳥と一緒に深夜まで勉強に明け暮れることとなった。


そして時は流れてテストは終わり、テストの結果発表の日を迎えた。


「あわわわ……カズちゃん。だっ、大丈夫かな?」


異様に慌てたしぐさで俺のスーツの裾を引っ張って心配げにテスト結果発表を待つ飛鳥。


「大丈夫だ。あんなに頑張ったんだ。間違いなく補習なんてないよ」


俺はそういって飛鳥を落ち着かせる。
その言葉で安心したのか、さっきとは違い冷静さを取り戻す飛鳥。


「そうだよねぇ!大丈夫だよぉ。最後までカズちゃんが勉強に付き合ってくれたんだし」
「そうだぞ!飛鳥は大丈夫だ!でも……俺はそんなことよりも」


そう言って、灼熱のように燃えている4人の方向に視線を向ける。
4人は他の生徒とは違い、テスト返しとは思えないほどの気合と熱さに満ち溢れている。
周りに生徒が近づくことも出来ないほどだ。
なぜこんなに飛鳥を抜いた4人がテスト返しごときに熱くなっているのか……
その理由はテスト受けた後の次の日に判明したのだが、成績一位の物がもらえる
最優秀生徒権限というのは一回限りであるが、どんなこと要望でも叶ってしまう
独立社会もビックリな権限のことらしい。
それを知っていた4人はいわゆるその胸の奥に秘めた


(和弥とデート、和弥とデート、和弥とデート………)
(やっぱり和弥さんとデートですかね……いや、和弥さんを私の家に招待!なんかも)
(デート……違う!買い物、買い物付き合ってもらうかな?カズに……)
(何しようかな?う〜んと……カズくん一日奴隷♪とか?)


願望を果たすつもりなのであろう。
なぜか俺が不幸な目に合いそうな……そんな予感がヒシヒシと感じられる。
すると、順位の紙を持った先生が近づいてくる。
そして一斉に丸まっていた紙が先生の手によって開かれた!!
歓喜に酔いしれるもの、絶望に打ちひしがれるもの……さながら受験の合格発表のような
雰囲気が全体の空気を占めている。


「あっ!あったよぉ!ボーダ越えてる……よかったぁ。補習じゃなかったぉ」


少し涙目な感じで自分の順位を発見して、補習を免れることに成功した飛鳥。
俺は飛鳥の髪を優しい感じで撫でてやり、祝福をする。
そしてもう一つの……俺にとって重要な一位の人間を確認する。
すると一位のところには……


「……綾乃あやの……かおる?」


一位の所には蓮でも奏でも朝倉でも芹澤でもない名前が書いてあった。
もしかして……今回はめずらしく俺助かった!?と少し浮かれた思いになっていると……


「あっ……あの、伝馬先生?私に何か御用でしょうか?」


そういって上品にそれでいて清楚な感じのする声が俺の耳に響き渡ってくる。
それに……この声はどこかで……
声のする方向へ体を向ける。するとそこにはあの時ラブレター事件の時
俺に告白した女性壁の生徒副会長がそこにいた。
そういえば、さっき俺が一位の名前を言った瞬間、すぐに反応したよな……
そういえばうる覚えだが、たしか副会長の名前って……


「いきなりすまないが、君の名前って……綾乃薫……だっけ?」
「あっ、はい!私の名前は綾乃薫です。名乗ってなかったかもしれませんね」


今回の期末テストの一位は生徒副会長綾乃薫さん
俺に告白をした経験のある、れっきとした男性の方が最優秀生徒権限を手に入れたのだった。


なんとか38話完成しました。この話は次へと続きます。今頃になってですが、唯一その思いを和弥に伝えている女装癖の生徒副会長メインの話となります。
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