第14話テスト後のご褒美二人の記憶
さて、俺は今何をしているのだろうか?
いきなり冒頭から頭のネジが抜けているようなことだが許してくれ。
でも、そうやって現実逃避を図りたくなるくらい、俺はこの状況に混乱している。
そう思っているのは俺だけではないらしく、周りの人達も俺の方に
怪訝そうな視線、羨望の視線、嫉妬の視線など四方八方からさまざまの視線を俺にぶつけてくる。
それもそうだろう……
今、俺の両手には美少女と呼んで相応しい少女二人と腕を組んでいるのだから……
あれっ?これってなんてギャルゲー?
なんて意味不明な混乱の仕方をしながら、俺は自分が提示した条件を後悔する。
突拍子もない二人とは思っていたが
まさかお願いがデートなんて……考えてもなかった。
というか先生と生徒のデートいうのは常識的に考えればやばいことでは……
今、自分の教師生命の危機に直面している!?という考えが頭に浮かぶが
「俺の年齢は17歳だから大丈夫」と念仏のように唱え続けて無理やり納得させる。
と悶々頭の中で一人苦悩している俺であったが、二人の楽しいそうな表情を見ていると
そんなことはどうでもいいか!っと思うようになり、思考をストップする。
すると冷静になってきたのかある一つの疑問が浮上する。
それを聞くため朝倉のほうに顔を向け、話しかける。
「すまんが朝倉。一つ聞きたいことがあるのだが」
「どうしたんだ?伝馬氏」
俺のほうに顔を向ける朝倉。
今日の朝倉は休日だからなのか、いつもとは違うかわいいイメージをもたせる服装をしており
こっち振り向く瞬間「かっ、かわいい……」と思ってしまったのは心の中に閉まっておく。
とにかく聞きたいことの本題を朝倉に伝える。
「さっき疑問に思ったんだが、なぜデートなんだ?たしかに金持ちのお前らじゃあ
いるものなんて何もないだろうが……」
俺自身、校内100周、奴隷1週間くらいは覚悟していた身なので
デートという解答は予想外ではあった。
まあ……予想外の精神的ダメージを受けることにはなったがな……
そう言うといきなり朝倉が慌て始めた。
「ええっ!!?今頃その質問かっ!?ええっとな……そのつまり……私は……」
朝倉らしかなる動揺した態度で、いつもの堂々とした態度は微塵も感じられなかった。
するとその姿に見てられなかったのか横から助けが
「そんなに恥ずかしがることじゃないよ♪ただ町の散策に出たかっただけだよ♪
ほらっ!私達一応お嬢様だからあんまり庶民的なところ来たことないし……
だからカズくんに案内してもらおうと思って。ねぇ沙希♪」
「そっ、そうなのだよ伝馬氏。なれない場所だからな。案内人がいたほうがいいからな」
さっきまでパニくっていた朝倉であるが、芹澤の助けによりなんとか冷静さを立て戻す。
「お〜い……なら二人ともデートとか言わなくてもいいじゃないか!」
俺は少し肩を落としながら言う。
デートというのは建前であり、本当は市内探索をしたかったようだ。
それを言うのが恥ずかしかったがために俺はあの3人組のいじめを昨日まで
受けていたかと思うとかるく鬱になる。
「お前らな〜今度からはもう少し言い回しに気をつけろ。変な風に勘違いする奴がいて
俺が苦労するから……」
「あっ!それって飛鳥ちゃんたちのこと言ってるのかな〜?」
ニヤニヤした顔を俺に向けて言う芹澤。
「まあ……そうなんだが……でもあいつらもただ俺がデートに行くってだけで
ここまで執拗な嫌がらせをしなくてもいいと思うだが……
たしかに先生と生徒がデートというのはヤバイと思うが」
俺は思っていた疑問を二人に投げかけてみた。
すると二人は大きな溜息をつき
俺のほうに哀れんだ視線を向けてきた。
「さすが鈍感キングだね♪でもそこまで鈍感だとある意味罪かも♪」
「飛鳥たちの苦労する姿が目に浮かぶな……」
とものすごく馬鹿にされている気分になったが、二人の言っている意味が
良く理解が出来ないためスルーすることに……
まあそんなバカ話をしつつ、俺たちは大きなデパートもある町の中心街へと進んでいった。
「で、二人ともどこか行きたい場所でもあるのか?」
俺はデパートの中に入ってから、ようやく本人たちの希望を聞いてなかったことが判明。
何も考えず、デパートへつれてきてしまったのだが……
「そうだな……新しい洋服が欲しいから、そういう関係の店を案内してくれ伝馬氏」
となんとかデパートで事足りることで一安心……
「えっ!!朝倉が服を!!」
「なんだ?伝馬氏。私が服を買うのはいけないのか?」
「そういうわけではないのだが……」
朝倉は学校生活から察するにおしゃれには気にしていないほうだと思っていた。
学校でも休日でも化粧や髪型変えたりなどするわけでもなかったし
徹夜で読書して次の日の学校では目にが出来ているなど
美容に気をつけているわけでもなさそうだったので
そういう女らしい一面を朝倉も持っているとは……
「すまなかった。あやまるよ朝倉」
「うっ……わかったならいい。さあ案内してくれ伝馬氏」
少しむくれた顔をしていた朝倉だが、俺が謝ったことにより機嫌はなおったようだ。
俺は二人を洋服のある2階へと案内することにした。
「この服はどうだ?似合っているか?」
「カズくん♪ど〜う?あまりの綺麗さに欲情しちゃったかな?」
シンプルでありながらも明るさを感じさせる服を着ている朝倉。
派手ではないがセクシーさを感じさせる服を着ている芹澤。
その二人の服を見つめる俺。
「……ああ、いいんじゃないか二人とも。良く似合っているよ」
「ほっ、ホントか!お世辞とかではないだろうな?」
「えっ〜と、でもちょっと露出が少なすぎるかも♪」
「朝倉。大丈夫だって!似合ってるから。それより芹澤……
俺が先生ってこと忘れてるだろう。露出の激しい服はダメに決まってるだろう!」
「え〜!!」と芹澤の不満声が聞こえるが無視。
俺たちは服屋で二人の服を一緒に選んでいた。
最初は外で待っておく予定であった俺であるが、朝倉と芹澤に
どういう服が似合うか選んで欲しいといわれて中へ。
それほど服の選ぶセンスがあるほうではないが、二人のお願いは聞かなくてはならないルール
なので俺が二人の服を選ぶことに……
さすがは美少女。元がよければなんでも似合うというか、俺が選んだ服を完璧に着こなす二人。
店員や周りの買い物客すらも目が奪われるほどの美しさであった。
「すまないな。伝馬氏。服を選んでもらって……」
「それぐらいはいいって。でも俺なんかよりも芹澤に選んでもらったほうがよかったんじゃな
いか?それに芹澤だって自分で選んだほうがいいんじゃないか?」
俺は思ってることを言ってみる。
芹澤は俺からすればただのエロ女にしか感じれないが、扇山高校では女子が知らないものが
いないくらいのファンションセンスを持った人物であると飛鳥が言っていた。
俺みたいな素人よりも芹澤みたいなプロがやるべきでは?と俺は思った。
「いや、私は伝馬氏あなたに選んでもらいたい。私はそう思ったからこそ伝馬氏に
頼んだのだよ。いいものを買うとかそういうことではないのだよ……
それにカズ好みの服を着たかったしな……」
「ん?なんか言ったか?」
「いっ、いや!なんでもないぞ!さあ次は昼ごはんにするか。さあ行くぞ!伝馬氏」
「おっ、おい!そんなに引っ張るんじゃない!!」
俺は、朝倉に手を引かれながら文句を言いつつ付いて行く。
その後ろにはめずらしく微笑を浮かべる芹澤の姿がいた。
その後俺たちは二人にアーン攻撃を食らったり、芹澤が女性下着コーナに俺を
連れて行くなど疲れることが多々あったが、俺自身も楽しんでしまうほど
充実した時間を過ごせた。
「今日はありがとう伝馬氏」
「楽しかったよ♪特に下着コーナでの赤面顔は♪」
「お礼を言われることではない。お前たちの願いを聞いたまでだ。
俺自身もかなり楽しんでたし……今日はこれで……さよなら
また明日学校でな」
そう俺はあいさつをし、二人に背を向けた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
後ろから朝倉の声が聞こえた。
いきなり呼ばれたため驚きつつ、後ろを見てみると
感慨深そうな顔をしている朝倉がいた。
「どうしたんだ?朝倉」
俺は朝倉に問いかける。
「……お前は昔のこと……良く覚えているほうか?」
「……いや……かなり忘れっぽい性格でな。数式などの勉強面の記憶はバッチリなんだが
それに昔の俺のことは………」
そこで俺の頭の中にあれが蘇ってくる。
頭を振り、思い出さないようにする。
「まあ、あんまり覚えてはいないよ。それがどうかしたか?」
そう、俺が言うと朝倉は悲しげな顔をしていたが、すぐにいつもどおり顔に戻り
「そうか。それならいい。ただ少し聞きたくなってな……さっきの質問は気にしなくていい」
「ああ……わかったよ。じゃあなまた明日」
「ああまた明日学校で会おう。伝馬氏」
そう言い、俺たちの今日のデートは終わりを告げた。
カズはそのまま私の前に離れていった。
勇気を出して聞いてみたがやはり覚えてはいなかったようだ。
「沙希♪落ち込まなくてもいいんじゃないかな」
そう私を慰めてくれる泉。
「まあ、そうだな……こうやってカズは私の元に返ってきてくれたんだから……」
初めて教室に入ってきてくれたときのカズの姿は昔と何も変わっていなかった。
私は一発であの伝馬和弥だとわかった。
でも、昔の事……私たちのことは覚えてはいなかった。
覚えていたのはここの町で出会った飛鳥たちの記憶だけ……
その時はさすがの私も飛鳥に嫉妬心を抱いてしまった。
なぜ飛鳥のことは覚えていて私たちのことを!!!
でも仕方がない……その理由を私たちは知っているんだから……
あの事件のことを……
「もう♪暗くならないの♪沙希、早く帰ろう♪」
私を励ます泉。
でも……泉。私のことばっかり気にしているけど……
「ねえ……泉。泉は私のことばかり気にしているが、カズはあなたの記憶も
失ってしまっているのだよ!!私よりあなたの方が苦しく、悲しい思いに
とらわれている筈だ……だって泉……あなたはカズの―――」
そこまで言うと口のところに指を当てて泉はこれ以上の言葉を制した。
「たしかに私は一時期死にたい思いなったこともある……こんな悲しくて
つらい思いをするなら!って……でも、カズくんも同じつらい思いを
それも私のなんか比較にならないくらいの深い傷を背負って生きてるんだから……
私もこれくらいでへこたれてちゃいけない。そう思ったんだよ……
だから私は大丈夫……だって今でもカズくんはあの時と変わらない優しいカズくんでしょ♪」
そう私に笑いかけながら言う泉。
すごい……そう私は思った。私はそこまでうまく割り切れない。
でも、たしかにカズは昔と何も変わってはいない、その優しいカズだ。
だからこそ私たちは見守っていかないといけない。
あの事件を知っているものとして今のカズをそしてこれからのカズを……
「さあ帰ろう♪沙希」
「そうだな……帰ろうか泉」
そう二人で肩を並べ、帰り道を歩き始めた。
またカズとこの3人で一緒に歩くことが出来ることを心に思いつつ
私は歩き始めた………
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