第12話テスト前の奔走前編
このごろ学校の様子が変だ。
ここ1週間前から感じていたことだが、なぜかピリピリとしたムードが張り詰めている。
生徒だけではなく先生までもが……
気になって仕方が無いので隣の席に座っている伊織先生に聞いてみることに
「ああ、それは来週から中間テストがあるからですよ。知りませんでした?」
謎が解けた。そういうことらしい。
それにしても生徒が気合を入れて勉強をしているのはわかるが、先生までそんなぴりぴりした
ムードにならなくてもよいのでは?と疑問に思っていると
「伝馬先生。この学校のテストのルールなんて知ってます?」
「テストのルール?カンニングをするな!とかそういうことですか?」
「そうじゃなくてですね……この扇山高校はテストのときクラス単位の順位を出すんですよ」
「へぇ〜」
一人ひとりの順位ではなく、クラス単位での順位を出すのは珍しい。
するとクラスの頭の悪いやつはテストの時、居心地悪いだろうな〜
なんてボーッと考えている俺。
「それでその順位の最下位のクラスはそのクラスの担任が
減給&過度の労働を義務付けられるんです」
「…………はぁ?」
「それだからクラス担任の先生たちは、それはもう死に物狂いで
クラスのテスト対策にいそしんでるんですよ」
ちょっと待て……
俺のこの学校の先生としての地位を確認しよう。
数学教師………&2-Cクラス担任
「そっ、それって俺がど真ん中ストライクゾーンでその罰ゲーム的な物の
対象者に入ってるじゃないですか!!」
「はいっ!そうですね伝馬先生!」
そのまぶしすぎるくらいの笑顔はなんですか伊織先生。
今回のテストは新人のためテスト製作をするわけでもなく楽にすごせると思ったのに……
でも、少し冷静に考えてみよう……
たしかにそんな今の労働基準法をぶっちぎって無視している罰ゲームなんか俺だって受けたく
ない。でも、その罰ゲームを受けるのはクラスの最下位のみだ。
まだテストまでギリギリ日にちが残ってるわけだし、最下位にならないような対策さえ立てれ
ば……
「ちなみに伝馬先生の受け持っている2-Cは1-Cのときはダントツの最下位でしたよ!
そのおかげで前の担任である青木先生はやめてしまったのですが……」
今ここに衝撃の事実が!!
「えっ!ちょっと待ってください!前の担任は急な転任なんじゃ……」
「それは建前です。本当は極度のストレスと病気に悩ませれてしまって……
最終的には再起不能なところまで……」
体中から嫌な汗が出てくる。
これは久しぶりに死を感じる事態である。この前のストーカにバットで叩かれる時よりも
恐怖心を感じてしまうほどヤバイ事態だ。
とにかく善は急げだ。
放課後にクラス全員をクラスに集合させ、作戦会議を開くことにした。
2−C教室
「みんな。分かっているとは思うが、来週は中間テストだ。ちゃんと勉強しているか?」
まずは手始めに今の状況を把握する。
「俺か?俺は勉強してね〜よ。だるいしさ」
「私も〜。遊んでばっかり」
「どうせ〜中間なんかがんばらなくても、期末取ればいいしね〜」
こっ、このヤロぉぉぉぉ!!!
俺がこんなにピンチな感じになっているのに、勉強しているのはクラスの4分の1だなんて……
これでは最下位も当たり前だ。
なので俺は事前に準備をしていたことを実行する。
「お前たち……勉強する気はないみたいだな……」
「まあ、そうなるな」
一人の男子生徒が反応する。
「だったら……今回のテスト、高得点だったものには芸能人、スポーツ選手だれでもいい。
有名な著名人のサインを1枚やろう」
「「「…………はぁ?」」」
クラス全体が?マークでいっぱいだ。
中には「伝馬……ついに頭が……」なんていってる奴もいるが、いつもどおりスルー。
どうせガセだろう。そう思っている奴がほとんどだろう……
しかし!!そのときのために用意してきた色紙を出す。
それを前にいる生徒たちが見ると、いきなり目の色が変わった。
「おっ、おい!これって野球選手のイ○ローのサインじゃないか!?それに松○のまで……」
「伝馬くん!これは歌手の浜○のサイン!?これってマジ!?」
「伝馬!!女優の長○ま○みのサインもあるのかよ!!」
とみるみるうちに俺の教壇に人が集まっていく。
さすが超有名人。食い付き方も半端ではない。
「みんな聞け。これは全部本物だ。鑑定団に持っていってもいいぞ。これをみんなに1枚好きな
人物のものをやる。しかし!!条件がある。こんどの中間テストを5教科平均80点以上の取
ること!これが条件だ」
これを聴いた瞬間、みんなの目が変わった。
「よぉぉおし!!毎日勉強10時間!!!」
「うおぉぉぉぉぉ!!!やったるぜぇぇぇえぇぇ!!」
「そうよ……私はできる子……私は野獣の目を持つもの……平均80なんて余裕……」
ありえなくらい気合の入り方だ。ここまでなるとは思ってなかった……
たしかこの前の最下位から一つ前のクラスの平均は68,4点だった。
ならば80点と大目に指定をしておけば、何かない限り大丈夫……
そう……何か無い限りは……だからこそ不安要素は消し去るべきである。
「よし。みんな帰っていいぞ!でも今から呼ばれる奴そいつらだけ残っておけ」
そう俺が言って、作戦会議第1段階は終了した。
「なんで私、ここに残されてるのぉ?」
よく自分の事態が良く分かっていない様子の飛鳥がそこにいた。
そう……このクラスには大半が勉強していないと言う問題に加えてものすごい馬鹿な奴がい
る。その一人がこの宮本飛鳥なのだ。
その一人と言うからには他にもいて……
「よく事態が分かっていない見たいだな。あの天然さんは」
「そうみたいだね。まあ飛鳥ちゃんだから仕方が無いような……」
そう……さっきから飛鳥を見て、なんか言ってる二人組みも、ものすごい馬鹿な人たちだ。
「さっきから伝馬氏がなにやら哀れそうな目線をこっちに向けるのがとても腹立たしいのだ
が……」
少しえらそうにしゃべるこの少女の名は朝倉沙希
俺のことを伝馬氏という独自の呼び方をしており、間違いなく俺を馬鹿にしている。
テストがなぜ悪いか聞いてみると
「窓から照らす光がな……私を眠りの世界に導いたんだ」
と回答。ある意味テスト中に一問も解かずに寝るのはすごいと思う。
「大丈夫沙希。カズくんはそんな風に見てないよ♪」
と笑顔で答えてるの少女の名は芹澤泉
いつもニコニコ顔の女の子でこのクラスでもまともな部類だ。と思っていたのだが……
「そうじゃなくてカズくんは私たちにイヤラシイ視線を向けてるんだよ♪
どうせ頭の中では私たちの制服を一枚一枚脱がして……」
というエロい発言を平然とする少女であった。それも俺のみ……
時たまに他の先生の前でエロい発言を芹澤がしたため問題になりそうなこともあった。
それになぜか初めから俺のことを「カズくん」と呼んでおり、何度も注意してやめさせようと
したが……
「だったら、お兄ちゃんって呼ぶね♪それともご主人様がいい?」
という爆弾発言をしたため「カズくん」のままでいいと俺が承認させた。
その瞬間なぜか飛鳥に睨まれたが理由はよくわからなかった。
とこいつら3人は2-Cの中でもダントツの馬鹿3人組で有名なためバカレンジャーなんて呼ば
れている。
俺はそういうあだ名はいじめかと思い、注意しようとしたが
「バカレンジャーか……我々に相応しい名だな。泉」
「そうだね♪沙希。いいかもその名前」
と約1名のみしか反論しなかったためこのあだ名が定着してしまった。
俺自身もまあ本人たちが気に入ってるならと注意はしなかった。(一人は不満顔だったが)
と今回のテスト作戦第2段階はこのバカレンジャーの特訓である。
とにかく、まずは俺の担当教科数学の特訓に入った。
1時間後
「もうだめだよぉ〜カズちゃん……」
「そんなにいろいろな公式を詰め込まれても分かるわけがないだろうが!!」
「私たちの苦しむ姿がみたいだなんて……カズくんS?」
結果から申し上げよう。
結果 得点アップ率 飛鳥 20→22
朝倉 22→25
芹澤 25→26
ぜんぜんダメである。
絶望的と言ってもいいだろう。
数学なんて公式覚えて問題慣れさえすれば、悪くても40くらいは軽くいくはずなのに……
このバカレンジャーは俺の予想外の解答をし、俺を悩ませていた。
このままではいくら周りががんばっても最下位になる可能性が大きくなる。
でも!!最下位だけは阻止したい!
しかし……いかんせん時間が無い……
そう俺が頭を悩ませていると、飛鳥が名案いや迷案を思いつく。
「カズちゃん〜。そんなに私たちの得点挙げたかったらぁ、カズちゃんの家で勉強会しようよ
ぉ!」
飛鳥は突拍子もないこと言いやがった。
そんなことできるか!と注意しようとすると
「それは名案だな!飛鳥」
「ナイスアイデア!飛鳥ちゃん。勉強もできて、カズくんの秘蔵のエロ本も探せる。これこそ
一石二鳥だね♪」
一石二鳥じゃねぇぇぇ!!!と大声でツッコミたかったが、ここが学校だと思い出し気分を落
ち着かせる。
まさかこいつら俺の家に来る気では……
「じゃあ〜もう行こうよぉ〜」
「そうだな。じゃあ7時に伝馬氏の家の前に集合。わかったな?」
「了解。かわいいパジャマもって行かなきゃ♪あっ、でもそうしたらカズくんに欲情されるか
も♪」
と3人でわいわい言いながら教室が出て行く。
「……………えっ?俺の許可はなしですか!?」
完全に無視されてしまい、軽くショックな俺であった。
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