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みにくい羊

作者:緋みつ

あたたかな暗闇の中で羊を数える
薄汚れた毛はところどころがほつれていて
どこかに引っかけたら
丸裸になってしまうくらい危うい
そんな羊たちは 私が数をぼそぼそと声に出すたびに
柵を乗り越えられずに死んでいく
真っ黒い血が 夜をさらに深くする

毛布はいつだってやわらかい
辺りを包むノイズはまるで霧雨のよう
眠りの階段をいくつもいくつも下りているのに
私は今夜も ベッドの上で死ぬことができない

私が死なない代わりに
メェメェと鳴き叫ぶ みにくい羊たちが
ぼさぼさの毛糸玉のように転げては破裂していく

一匹、二匹、三匹 なんて 可哀想だけど忘れている
どんどん深くなる夜には銀色の月が出て
切れかけの電球みたいに点滅している
白黒にちらつく世界の中
羊から飛び散る黒は まるでテレビの砂嵐

百匹数えてはふり出しに戻る
百匹数えてはふり出しに戻る
丸裸になった羊たちがひと声鳴いて
私は暴れまわる心臓を握りしめてその場に嘔吐する

数えても数えても 私は夜と共に死ぬことができない
何も知らないみにくい羊たちが
何も分からないまま 汚れた毛糸玉になる
吐瀉物に混ざるラムネの薬は
白い袋にも残っていない

薄汚れた羊たちが 私に向かってメェと鳴いて
「はやくねむれ」と 催促する



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