第一話出会い
海で発見したポケモンを助け出したバクフーンとリザードン。
現在彼らはリザードンの家で、助け出したポケモンを看病していた。
「うっ……こ、ここは?」
助け出してから2時間後、そのポケモンは意識を取り戻す。
「あっ、気がついたか! 良かった~……」
ポケモンが意識を取り戻してくれて、ほっと胸を撫で下ろしながら安堵の表情を浮かべるバクフーン。
「ここは俺の親友の家だよ。ちなみに俺はバクフーン、よろしくな」
笑顔で自己紹介するバクフーン。その時、木の実を手に持っているリザードンが部屋に入ってきた。
「おっ、目が覚めたんだな」
助け出したポケモンの意識が回復していた事を喜ぶリザードン。笑みを浮かべながらゆっくりとポケモンに歩み寄る。
「さあ、これをどうぞ。このオボンの実を食べれば元気になれるよ」
優しく微笑みながらリザードンは手に持っていたオボンの実をポケモンに手渡す。
オボンの実とは、弱った体力を回復してくれるありがたい食べ物なのだ。
「あっ、ありがとう……」
ちょっと戸惑いながらもオボンの実を受け取り、お礼を言うポケモン。
「……ところでさ、君名前は? なんで海の上なんかで気を失っていたんだ?」
腕組みをし、首を傾げながらバクフーンは質問する。
「私は……あれ? 私……誰なんだろう?」
バクフーンの問いに答えようとしたポケモンだが、どうも様子がおかしい。
「どうしたの?」
今度はリザードンが質問する。
「……思い出せないんです。私が誰なのかを……」
『えっ!?』
自分が誰なのか分からない……予想していなかった返答に驚くバクフーンとリザードン。このポケモン、どうやら記憶喪失になっているようだ。
「私は……うぅっ!?」
自分が誰なのかを思い出そうとした刹那、突然頭を抱えて苦しみだすポケモン。
「だ、大丈夫か!?」
心配そうに声を掛けるバクフーン。
「すみません……思い出そうとしたら、急に頭痛が……」
「あまり無理しちゃいけない、少し眠った方が良いよ。さあ、横になりな」
リザードンは優しく接しながら、そのポケモンを横にしてあげる。まだ体力が回復してなかったせいか、そのポケモンはすぐに眠ってしまった。
「リザードン、この子ってもしかして……」
「嗚呼、記憶喪失ってやつみたいだな……」
頷きながらバクフーンに答えるリザードン。
「……なんとかしてこの子の記憶を戻せないかな?」
バクフーンは今横になって眠っているこのポケモンを助けたいらしい。
「んな事言われてもなぁ……う~ん……」
リザードンは腕組みをして、このポケモンの記憶を蘇らせる方法がないかを考える。
「……まずこの子がどういうポケモンなのかが分かれば、少しは手助け出来ると思うんだけど……」
「どんなポケモンなのかか……じっちゃんに聞けばなんか分かるかな? 意外と結構物知りだし……」
バクフーンは物知りなおじいさんに聞かないかとリザードンに提案する。
「あ~、それが良いかもしれないな。よし、今からじっちゃんの所に行こう」
バクフーンとリザードンはこのポケモンの事を相談する為、1度おじいさんが暮らす家に向かう事にした。
リザードンの自宅から離れて数分後。
バクフーンとリザードンは物知りなおじいさんが暮らす家の前までやって来ていた。おじいさんの家はレンガ造りで、外見が亀をイメージさせるような形をしていた。
「じっちゃ~ん! コータスのじっちゃ~ん! いる~?」
リザードンは大きな声で中にいるであろうおじいさんに呼びかけた。しかし返事がない。
「あれ、留守かな?」
首を傾げるリザードン。
「じっちゃんって結構年寄りだろ? もしかして耳が遠くなってんじゃないか?」
頭の後ろで両手を組みながらバクフーンはそう言った。しかしその刹那――
「なんじゃと!」
バクフーン達の背後から大きな怒鳴り声が聞こえてきた。
『わっ!?』
いきなり背後から怒鳴られたので2人は飛び跳ねて驚いてしまう。
「誰がよぼよぼで、ボケがひどくて死にかけの年寄りじゃと~!」
そう怒鳴っているのはバクフーン達が会おうとしていたおじいさん、陸亀のような姿をしており赤茶色の肌と黒い甲羅を持つポケモン、コータスだった。
「いやじっちゃん、そこまで言ってねぇし」
苦笑いしながら右手を左右に振るバクフーン。
「ん? 何じゃ、仲良しコンビのバクフーンとリザードンじゃないか。どうしたんじゃ今日は?」
首を傾げるコータス。
「実は相談したい事があってさ……」
バクフーンとリザードンは今までに起きた事をコータスに説明した。
「……なるほど、そんな事がのう」
「うん、それでリザードンと相談して、じっちゃんならあの子の事何か知ってるんじゃないかなぁって思ってここに来たんだ。んでじっちゃん、何か知らないか?」
早くあのポケモンの事を知りたいバクフーンはコータスを急かせる。
「う~む……そのポケモンに何か特徴はあるかの?」
「えっ、特徴? えっと特徴は~……」
バクフーンは腕組みしながらポケモンの特徴を思いだそうとしている。
「確か、体の色は赤と白で胸には三角形の形したマークがあるんだ。それで姿はちょっと戦闘機に似た感じだったな……これで良いかなじっちゃん?」
バクフーンの代わりに特徴を詳しくコータスに教えるリザードン。
「……もしやそのポケモンは……ちょっと待っておれよ」
どうやら心当たりがあるようで、コータスは1人で家の中に入っていった。
「なんだ? どうしたんだ?」
「さあ?」
首を傾げるバクフーンとリザードン。
それから数分後、ようやくコータスが家の中から出て来た。背中には何やら古そうな分厚い本が乗っかっている。
「何、そのいかにも古そうな本?」
本を手に持ち、首を傾げながらバクフーンはコータスに尋ねる。
「様々なポケモンの情報が載っておる本じゃよ。“ポケモン図鑑”とも呼ばれとるがの」
本の事を簡単に説明するコータス。
「へ~……あっ、リザードンが載ってる!」
早速ページをめくり中を確認するバクフーン。ちょうど開いたページにはリザードンの絵が書かれていて、種族の特徴や体長など細かく記されている。
「あっ、本当だ……でも俺こんなに太ってたかなぁ?」
リザードンは図鑑に載っているリザードンと自分の体を交互に見ながら確認する。
「まんまだぜリザードン。っとそれより、あの子と同じポケモンの絵を探さねぇと……」
「おぬし達が助け出したポケモンは、確か380ページに載っていた筈じゃ」
コータスに言われ、バクフーンはページをどんどんめくっていく。
「……あっ、あった!」
380ページで、助け出したポケモンと全く同じ姿をしたポケモンが載っていた。
「本当だ! 名前は……ラティアスって言うみたいだな?」
図鑑に載っている名前を確認するリザードン。
「やはりのう……かなり珍しいポケモンじゃよ。しかし、何故そんなポケモンが海に浮かんでいて……しかも記憶喪失になっていたんじゃ?」
ラティアスの身に何が起きたのか……首を傾げながら考えるコータス。
「じっちゃん、どうやったらあの子の記憶を戻せる?」
コータスに質問するバクフーン。
「う~む……何かショックを受けた拍子に戻る事があれば、自然に戻る事もあると聞くが……一番効果があるとすれば兄のラティオスに会わせてあげる事かのう?」
『ラティオス?』
口を揃えて言いながら、首を傾げるバクフーンとリザードン。
「ラティアスの次のページに載っておるぞ」
「次のページ?」
バクフーンは早速ページをめくる。
「おっ、こいつがラティオスか」
そこに載っていたのはラティアスとほぼ同じ姿をしたポケモン、ラティオスだった。
「兄であるラティオスに会わせてあげる事……それが一番だとワシは思うぞ」
「兄貴のラティオス、か」
コータスから色々と情報を貰ったバクフーンとリザードンはラティアスが待っている家に戻ろうとしていた。
「やっぱラティアスの記憶を戻すには、兄貴に会わせる事が1番なんだろうな」
腕組みしながら真剣な表情で言うリザードン。
「でもその兄貴は何処にいるんだろうな?」
頭の後ろで両手を組みながら、ラティオスが何処にいるのかを考えるバクフーン。
「それは分からねぇけど、やっぱ捜しにいくしか――」
リザードンがそう言いかけた時、フレイムシティの方から何かが爆発する音が鳴り響いた。
「な、なんだよ今の……リザードン、急ぐぞ!」
「分かってる!」
バクフーンとリザードンは急いで音がした方へ向かった。
「あれは!?」
爆発音がした所へ駆けつけた2人。
そこで目にした光景は、ラティアスが2人のポケモンに襲わているところだった。
1人は深い紫色を基調とした体色で、寸胴な人の形をしたポケモン……ゲンガー。
もう1人は人間に近い体型をしていて両手にはスプーンを持ち、長く伸びた髭があるポケモン……フーディンである。
「ケケケ、やっと見つけたぜ嬢ちゃん!」
ゲンガーが嫌みったらしい笑みを浮かべながらラティアスに近づいていく。
「手間を掛けさせてくれましたね……ゲンガー、早くその小娘を取り押さえなさい」
フーディンがゲンガーに命令する。
「ケケ、言われなくてもやるよ! それ、黒い眼差し!」
ゲンガーの目から黒く怪しい光が放たれた。その光を浴びたラティアスは体が硬直してしまい、動けなくなってしまう。
「さあ、我々と一緒に来て頂きますよ」
ゆっくりとラティアスに近づいていくフーディン。
「誰か……助けて!」
必死に助けを求めるラティアス。
「火炎放射!」
「フレアドライブ!」
そこへバクフーンとリザードンが駆けつける。
リザードンは口から炎を吐き出してフーディンに向け放ち、バクフーンは体を炎を覆い全速力でゲンガーに突進する。
攻撃を受けたゲンガーとフーディンは大きく後方へ吹き飛ばされる。
その衝撃でゲンガーは黒い眼差しを維持する事が出来なくなり、ラティアスは呪縛から解放される。
「ケッ、誰だ邪魔しやがるのは!」
怒鳴りながらゲンガーは起き上がる。
「その子に手を出すな! それ以上手を出すってんなら……俺達が相手になってやる!」
バクフーンは戦闘体勢に入り、ゲンガー達を睨みつけながら威嚇する。
「ラティアス、今のうちに俺達の後ろへ!」
「は、はい!」
ラティアスは慌ててリザードン達の後ろに逃げる。
「大丈夫だったか?」
心配そうな表情でバクフーンはラティアスに聞く。ラティアスは頷いて応える。
「良かった……お前ら、一体何者だ! 何故この子を襲った!」
バクフーンは怒鳴りながらゲンガー達に質問する。
「ケケ、関係ねぇお前達に話す事なんかねぇよ!」
「その通りです。さあ、その小娘をこっちに渡して下さい」
バクフーン達の問いには答えず、ラティアスを渡すよう要求するフーディン達。
「冗談言うな。誰がお前らみたいな怪しい連中にこの子を渡すかよ!」
当然バクフーン達はこの要求を拒否する。
「……仕方ありませんね。あまりこのやり方は好きではありませんが、実力行使です」
「ケケ、俺は最初っからそのつもりだったぜ!」
交渉が無理と判断したフーディン達は戦闘体勢に入る。
「この子は絶対守る! やるぞ、リザードン!」
「当然だ! ラティアス、ここは危ないから下がっていてくれ」
リザードンはラティアスにここから離れるように言う。
ラティアスは頷いてその場から離れる。
ラティアスを守る為、バクフーンとリザードンの戦いが始まろうとしていた。
第一話完成です。
リザードン
「よう、リザードンだ。今回登場したコータスのじっちゃん、ボケてるようでボケてない。まあ面白いじっちゃんなんだけどさ。次回はラティアスを狙う謎のポケモン、フーディンとゲンガーと俺達がバトルする話だ。一体どうなる事やら……とにかく、頑張るしかないよな」
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