いつもと同じ帰り道。だけど今日は何かが違う。
俺はいつも山本と、俺を10代目として慕ってくれている獄寺君と一緒にいる。でも帰り道は山本が部活に行っちゃうから、獄寺君と二人になる。獄寺君は毎日俺の家まで着いてくるんだ。
「10代目あっちから帰りませんか?」
「え?遠回りじゃん」
「えっと、その……たまには違う道もいいじゃないすか」
もうすぐ家に着くっていうのに、なぜか違う道を指差す獄寺君。本当、獄寺君って何を考えてるかわからない。
そのあともどんどん違う道を歩く。黙って着いて来たけど、もういつもの倍は歩いてる。
「もー、獄寺君いつまで歩くつもり? 疲れちゃったよ」
「す、すいません! どっかで休みましょう。俺、飲み物買って来ます!」
「いいよ……いいから帰ろうよ」
急に獄寺君の落ち着きがなくなった気がする。何かを言いかけては止め、を繰り返す。
「獄寺君なんか変だよ?俺もう帰るからね!」
「待ってください10代目!すいません……時間が欲しかったんです」
家に帰ろうと歩き始めたけど、獄寺君が前に立ち塞がって俺の肩を掴む。
「時間?今日何かあったっけ……」
「違うんです……俺、10代目に言いたいことがあって……でも勇気がなくてだから時間が欲しかったんす」
「何? 早く言ってよ」
溜め息混じりに言った俺は、獄寺君の言葉を聞いて固まった。
「すいません男同士でこんなこと言って……でも、もう我慢の限界なんすよ」
「獄寺君……」
まさか……信じられない。
獄寺君が俺のこと好きだなんて。でもなんでだろう。嬉しい……。
「ありがとう獄寺君。俺なんかのこと好きって言ってくれて。今まで獄寺君のことそういう風に見たことないし、すぐに返事はできないけど嬉しいよ」
「10代目……」
「帰ろ? 獄寺君」
「はい……!」
遠回りはしたけど、いつもと同じ帰り道。だけど今日は特別な帰り道になった。
獄寺君と俺の距離が縮まった帰り道。そして何かが始まった帰り道。
fin |