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最初はやはり桃香のお話です。
その1 桃香編 ~青天の霹靂~
魏、呉、蜀による三国同盟からしばらくして、蜀に集まった魏や呉の要人たちがそれぞれの国に帰っていったころの話である。

「ふあぁぁ~~~」
早朝、大きな欠伸と共に桃香は目を覚ました。乱れた赤く長い髪を手で押さえながらゆっくりと起き上がる。本当はあと5分といって2度寝したところだが、そうすると蜀の将軍であり義姉妹である愛紗が怖いので我慢する。
「ん~、眠たいけど……遅れたりすると愛紗ちゃんたちが心配するしな~よいしょっと……」
全体的にほんわかとした雰囲気を持つ桃香はのろのろと寝巻を脱いでいく。その体つきは美しかった。細い足首、しなやかな太もも、艶めかしい肌など、見事な裸体をさらしていく。そして、なによりも目を惹くのがたわわにふくらんだ乳房である。この時代の胸の平均はわからないが、周りと比較すれば間違いなく巨乳の部類に入る。義姉妹である鈴々からは「おっぱいお化け」などと言われているが、桃香はそれほど気にしていない。なぜなら、彼女の想い人であり天の御遣いであるご主人様こと本郷一刀が褒めてくれるからである。出会ってからこれまで、何度も同じ床で愛し合ったのだが、その度に一刀は褒めてくれる。ちょっと、強く揉まれるとわずかな痛みとそれに勝るかいk……。
「はっ、いけないいけない。早く着替えなきゃ」
と、朝っぱらから思考が桃色に染まってきたことに気づき顔を振る。寝巻を脱ぎ終えた桃香は急いで服を着ようとして、それに気付いた。いや、気付いてしまった。

「あ、あれ……なんか、キツイ……?」

上半身、特に腰あたりに感じた違和感。ちゃんと服は着れる。しかし、腰回りに妙な圧迫感を感じてしまう。上半身もそうだが、なにより下半身を覆うスカートが特にキツくなっている気がする。
「え……え、き、気のせいだよね。うん。そうだ、お腹に空気がたまっているだけだよね……?」
自分で言っておきながら疑問形になってしまう。その事実を全力で否定したいのだが、頭のすみにこびりついて離れない。
(ふ、服はこの前採寸してもらって新調したばかりで……昨日は、皆で宴をやってたくさん食べて……政務にかかりきりだから運動なんてほとんど……)
考えれば考えるほどそれを肯定する事柄しか浮かばない。

「ほ、本当に、ふ、太っちゃたかも……」

この世の終わりみたいな顔をした桃香はその場に立ち尽くしてしまった。その30分後、いつまでも部屋から出てこない桃香を心配した愛紗が来るまで呆けたままだった。


「はわわわ。で、では今日の会議はこの辺で……」
「あわわわ。と、特に意見がなければ解散で……」
蜀が誇る軍師である朱里と雛里の声が会議室にむなしく響いた。周りからは誰も意見を出さない。そもそも、会議自体最低限のことしか言わなく終始シーンとた雰囲気であった。その原因はもちろん、蜀の王である桃香である。遅れてきた上にずっとうつむいたままで、案件にも一言二言しか発言しなかったのだ。全員がいぶかしむなか、ふらりと立ち上がりそのまま立ち去ってしまう。その後ろ姿に、どんよりとした黒い靄を見たのは気のせいではないだろう。

「それで、主。一体、桃香様に何かしたのですか? いや、したのでしょうな」

桃香が立ち去った後、真っ先に口を開いたのは星であった。白を基調とした着物に袖に蝶の翼をあしらった腕を胸元で組む。その目はこの会議場唯一の男性に向けられていた。

「えっ!? いきなり俺犯人決定なの!!」
そう叫んだのはぽりえすてるという素材の白い服を着た本郷一刀。二枚目とはいかないまでも、背も高くそれなりに整った顔は驚愕を表している。

「ご主人様……覚悟はよろろしいですか」
「この色情魔! 桃香様に何をしたぁ!!」

長い黒髪に桃香に負けないくらいの豊かな胸をした愛紗と、男勝りな顔で桃香をある意味でとても慕っている焔耶。二人とも眉を吊り上げぷるぷると怒りで震えている。焔耶にいたっては自慢のこん棒である鈍砕骨を握っている。生存本能が激しく継承を鳴らし一刀はすぐさま弁解する。
「ま、待て! 落ち着け二人とも! 誤解だ! 無実だ! まずは話を聞いてくれ!!」
両手を前で振り、全力で身の潔白を証明しようとする。一騎当千の猛者である彼女たちにかかれば一般人である自分など瞬殺である。

「そうよ。愛紗ちゃん。まずはご主人様の話を聞きましょう」
「焔耶! お前も一角の将ならもっと落ち着けい!!」

血気盛んな2人を諌めたのは年長組である紫苑と桔梗。子持ちであり母性溢れる紫苑と剛毅な性格で喧嘩好きだが落ち着きを持った桔梗の二人は、若年組の手綱を握る役割にある。

「そうなのだ。愛紗はお兄ちゃんのことになるといつもムキになるのだ」
「そうだよ、ちょっとは落ち着けばーこれだから筋肉女は困るんだよね~」

さらに追撃をかけるんは小柄でトラの髪飾りをした鈴々と、オレンジの服とキュロット風のズボンをはいた蒲公英である。蜀の中でも年少組に入る二人にまで言われた愛紗と焔耶は、ぐぬぬぬ……と唸りながらも拳をおさめる。

「んでもなー、桃香さまがあそこまで落ち込むなんてよほどのことじゃないか?」
「ああ。あそこまで落ち込んだ桃香は見たことないな」

首をかしげるのは、蒲公英の従姉である少し太い眉をもった勝気な翆と桃香との付き合いが深い白蓮だ。
その言葉をきっかけに、全員の視線が一刀に集まる。じーっと疑惑の眼差しがぐさぐさと突き刺さるが、一刀はどうしようもなく居心地が悪い。
「ほんとにないんだよ……ここ最近桃香とは満足に話すこと事態少なかったし……」
首を傾げ顎に手を当て困惑する一刀。その顔は本気で心当たりがないように見える。
「本当にないのですか? ご主人様」
「うん」
「本当かっ!!」
「う、うん」
「ほんとにほんとなのか~?」
「ほんとにほんとに」
「はわわ、その、心当たりも……?」
「…………ない……はずだ」
若干間があったが、それでも彼は首を横に振るう。そもそも、一刀のせいだとしても本人のしらないところでの事であったらどうしようもない。とはいえ、本気で困惑する一刀に一同はとりあえず彼の
せいではないと信じた。
「しっかしよー、じゃあ何が原因なんだ、ご主人様?」
「いや、お姉さま。ご主人様でもわからないから皆悩んでるだってば」
「えーと、その……先ほどご主人様がおっしゃったように、桃香様と疎遠になっていたからでは…?」
「でも、雛里ちゃん。それは今までのことを考えれば可能性は低いのではないかしら?」
「そうじゃの。紫苑の言う通り、お館様は多忙なうえ少々色を求む傾向が強いですからなあ」
「えっとさ、桔梗。それを俺がいる前で堂々といわれるとなんか居心地悪いんだけど」
「だが事実だろう!」
「焔耶の言う通りですな。そもそも私とて昨日の逢瀬は実に久しぶりでしたのだから」
「っ!! ご主人様! 今の話は本当なのですか!」
「星ばっかりずるいのだ~」
「待て、愛紗、鈴々。主旨がそれ……」
「あら、ご主人様ってばお盛んですわね。その前の日はあんなに激しかったのに……」
「って紫苑何その艶めかしい視線は! いや、その発言は今ここですべきでは……!!」
「ご主人様ぁ~……そのお話をゆぅ~くりとお聞かせ願いたいのですが……」
「いかん!! 朱里の背後に桃香とは違う意味の黒い靄が見える!?」
「ねえ、ご主人様ー。今度また一緒に遠乗りに行こうよ。お姉さま抜きの二人きりで」
「なっ! 蒲公英なに抜け駆けしてんだ! あたしだってなあ」
「お前ら! いい加減にせんか。そもそもご主人様には仕事が……」
「どうせ、手伝いだとか何とかで傍にいるつもりだろう? 愛紗もなかなか……」
「どういう意味だ、星!」
「にゃー! ずるいのだ~!!」

こうして、主旨がずれまくった上になぜか一刀が全て悪いとの結論に、本人は心の中で涙を流した。

結局、桃香の絶不調の原因はわからずじまいなので、原因の究明と解決は一刀を中心に全員があたることとなった。
                                           続く?


















最初に書いてて思いました。キャラが多いですね…………ホントに。蜀だけでも多くのキャラがいますが、あくまで今回の主役は桃香なので次からは桃香主体でいくつもりです。連載は不定期のつもりですので、気が向いたらぜひ読んでみてください。


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