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エピローグ


 出かける前に俺がまずやるべき事は気は進まないがテンペスト達に事情を説明して協力を求める事だった。
「状況は理解出来ているな?」
『私はね』
「十分だ。お前からテンペストとエアーズに説明して即刻マンションに戻ってくれ」
 向こう側でこちらの状況が理解できているのはゴールドのみ。テンペストはあくまで『目』を使う能力者である為、携帯電話との相性が悪い。スピーカーから漏れる音を拾う事は出来ないのだ。
 エアーズは俺の携帯電話をハッキングして音声を拾う事は可能だろうが外出中の携帯装備でそれをやれというのは酷というものだ。
 そういう訳で俺の携帯電話の会話から事情を理解できたのは音を拾うスペシャリストのゴールドのみと言うわけだ。
『それは構わないけれど私達がそちらに戻るには二時間以上掛かりますわよ?』
「それも問題ない。お前達なら移動しながらでも俺をサポート出来るだろう?」
『それはそうですが、安全面という点では私の屋敷の方が確実ではありませんか?』
「まだ日が出ている。セシリアには少し遅れて着てもらうからこっちの方が安全面は上だ。それにわざわざお前の拠点をクラウに漏らす事はないだろう」
『なるほど。了解しました』
 別にクラウが信用出来ない訳ではないが伝える必要がない情報を伝える事はない。
「エアーズ。ゴーストに協力要請を申請してくれ」
『ゴーストですか?彼の現在位置を考えると到着は二時間どころか五時間近く掛かります。最悪今の仕事を放棄する結果となり無駄足になりますよ?』
「構わない。無駄足になるなら無駄足にさせれば良い。最悪なのは最悪の事態に奴の助力が間に合わない事態だ。今受け持っている案件くらいの放棄は最重要じゃない」
『了解しました』
 ゴールドとエアーズに必要連絡を終えてから俺は更に携帯電話でクラウに協力要請を出す。
『そこまでの事態なの?今出せるうちの最大戦力じゃない』
「撒いた火種の度合いにもよるが用心を怠って痛い目を見るよりは良い」
『火種?』
「後で教えてやるよ」
 疑問を訂して来るテンペストには悪いが説明するのは後で良い。俺は準備を優先する為に奥の部屋――セシリアの寝室へと急ぐ。
 暗い部屋の中、中央に置かれた棺桶がシュールだが俺は迷う事無く棺桶の蓋を開いて中で眠る美女の顔をそっと撫でる。
「・・・お出かけですか?」
「ああ。お前の力が必要だ。日が沈んだら合流してくれ」
「分かりました」
 再度目を閉じかけるセシリアをそっと抱き上げて唇を重ねる。
「我慢出来なくなりますよ?」
 最近のセシリアは定期的に血を与えているので安定しているが俺と接触しすぎると吸血衝動があふれ出してしまう。
「後でたっぷりご褒美をあげるからな」
「期待しますよ?」
「勿論だ」
「~♪」
 蕩けるような笑顔を見せるセシリアを横たえて俺はそっと棺を閉じた。

 全ての準備を整え公園の入口に辿り着いた時にはすでに約束の時間を10分ほど過ぎていた。
「さてと。鬼が出るか蛇が出るか」
『えらく厄介な火種を蒔いたわねぇ~』
『今後は一言相談してからにしてくださいね。私にまで秘密で事を進めていたなんて少し意地悪が過ぎます』
「ヒントは出ていただろう?気付かないお前の洞察力の問題さ」
 悔しがるゴールドには悪いが流石にそろそろ時間だ。俺はゆっくりと公園の中へと足を踏み出した。

本来なら第五章で終わるシリーズなのですが第三章でページ数を使い過ぎた為、第四章+エピローグで第五巻は終了になります。
第六巻はただ今執筆中ですのでしばらくお待ちを。
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