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恋せよ狐と幼馴染み
作:爆弾蛙



第21話〜二人のウエートレスと僕〜


 喫茶昼行灯の制服はいたってシンプルだ。
 白いYシャツに黒い蝶ネクタイと黒いエプロンそして黒いズボン。
 女性の制服も同じようにシンプルで、白のブラウスに黒いリボンと白のエプロン、そして、黒のタイトスカートだ。
 そして二人とも何故かポニーテール。
 似合わないことは無いけど……。
 何か意味あるの?

 二人のバイト適性だけど、これは働き始めて約二時間で出てきた。
 まず、玉葛。
 持ち前の家事能力を生かし配膳、掃除とそつなくこなし、マスターを感心させていた。
 ただ、気になったのが接客である。
 独特な口調からなのか、初対面のお客さんの前に一人で行くと、言葉がどもり、時おり注文も間違える程であった。
 また、助けを求める子犬の目で見てくることも有ったので、そばに寄ると、途端に自信満々に話し、間違えずに注文もとれるという不思議な現象を起こしてくれて、なかなか不安の残る接客だったのが印象的であった。

 次は紅葉だ。
 紅葉は玉葛とは逆に、接客が上手い。
 元気な挨拶、眩しい笑顔、少々乱暴だが聞いていて悪くない口調、間違えないように注文を復唱しる態度などがお客さんに受けがよく、楽にこなしていたようだった。
 だが、良かったのはそれだけで、配膳はてんでダメだった。
 コーヒーをこぼすこと12回。
 料理をこぼすこと10回。
 食器を割ること8枚。
 お客さんにコーヒーをぶっかけること5回
 手に何かを持ちながら転ぶこと9回
 他にも他にもetc.
 なかなかのドジっぷりです。

 何故なのか……どうしてなのか、途中何度か紅葉と玉葛がケンカを始めたりと、あからさまにお客さんの迷惑になったにもかかわらず、二人のお客さんからのウケは凄く良かった。

「玉葛ちゃん大丈夫だよ。ゆっくりでいいからね」
「紅葉ちゃん足元に着付けて。ほら、そこさっき拭いたばっかで滑るよ。……よし! 転ばなかった!!」

 ほらね。

「「…………」」
 ばったり目の合う二人。
 やばっ!!

「いいご身分ね。玉葛ちゃん」
「人のこと言えた立場か? 紅葉ちゃん」
「ふん! ちゃんと注文は取れたのかな? 昼行灯ブレンド3つよ。わかってる? 良かったわね。簡単なオーダーで」
「はっ! 紅葉こそ、次は転ばないように歩けるのか? 良かったな。滑る場所教えてくれる優しい人達で」
 一発触発だぁ!!!
 止めなくては!

「止めなくていいわよ。ハルくん」
 えっ?
 あっ!
 輝美さん!?
「やりたいだけやらせなさい」
 えっ!?
 でもそれはちょっと……
「そんな心配そうな顔をしなさんな。大丈夫よ。おとこは喧嘩するほど仲良いんだから」
 あの……二人は男じゃないんですが……。
「あはは、なんか不満そうだね。分かった分かった。二人を止めるよ。あとうちの馬鹿兄貴達もそろそろ来るから、あがってくれて大丈夫だよ」
 約二時間叱りっぱなしでしたか……。
 ご苦労様です。

「じゃっ二人を止めるから協力してね。ついでにバイト代も上げるから」
 はい。
 って止めることとバイト代になんの関係が?
「二人とも、ちょっとハルくんを借りてくね。仲良くしてなきゃ返さないから」
 えっ!?
「行くよハルくん」
 と抱き寄せられ連れて行かれる僕。
 ちょっとまて!!!
 二人は、輝美さんの言葉で固まってるご様子。
 確かに止まったけどあり!?
 


 僕が連れ込まれたのは休憩室。
 誰もいない……静かだ……。
 目の前には茶封筒。
 今日のバイト代だ。
 受け取った時、帰れると思ったのはいいが、輝美さんが帰るのを許さないと言わんばかりの雰囲気を漂わせていて僕は帰れないでいるのだ。
「ハルくん、この部屋暑いわね……」
 とエプロンを外す輝美さん。
 暑くありませんよ!?
 大丈夫ですよ!?
「もうっ、照れちゃって可愛いなぁ〜ハルくんは」
 ゆっくりと僕の方へと寄りながらリボンをほどき、ボタンを一つ外し、また、一つ外す。
 ボタンを外す指は、まだ、止まらずまた一つボタンを外した。
 三つ目のボタンが外されたところで見えてくる双きゅぶちゅ!!
「はい、ここまで。ハルくんもやっぱり男の子だね。可愛い」
 輝美さんに両手で頬を挟むように叩かれたのだ。
 痛い……。

「二人とも入ってらっしゃい」
 と輝美さんが言うと、いつの間にか着替えたのか、私服の玉葛と紅葉がいた。
 気持ち笑顔に青筋を浮かべた二人がだ……。

 すみません!!
 とりあえず土下座。
 二人からの白い視線を背中いっぱいに浴びながら土下座。
 すみません!!
「ほら、帰るよ」
 えっ?
「なにぼさっとしている。さっさと着替えて来い」
 あっあぁ……
 どうやら許してくれたようだ……
 僕は着替えに更衣室に向かった。

 だが、その場で怒ってくれた方がよかったと、晩御飯の時に思い知らされた。

 えぇっと……なんですか?
 これは……?
 食卓に並ぶは白っぽい料理たち……。
「なんだか不思議そうな顔だな。晴信」
 えぇ、こんな不思議な料理が並んでいれば……。
「あっ、今日の料理は私と玉葛で考えて作ったんだよ」
 へっ?
「そうだ。今日、ワラワと紅葉、二人に足りないものが有ることがよーくわかったのだ」
 足りないもの?
「女が男を誘惑する時に必要ような色気の中心」
「男をとりこにするのに必要な色香の要」
 ふっ2人とも?
「「そう胸! 豊満な胸!!」」
 息ぴったしに机を叩きながら立ち上がった紅葉と玉葛。
「ワラワ達には、あの輝美さんやセフィリアのような胸がない」
「私は……む、昔から意識……してた……けど……今日、つくづく思い知らされたわ。…………あんなハルの顔を見たら……思うしか無いじゃない!!」
 ……すみません。
「だからだ! だからこのめにゅーなのだ」
「そう。増える胸の料理。題して増胸料理ぞうきょうりょうり!!」
 増、胸、料理?
「ご飯の牛乳炊きに鮭の牛乳煮込み。ほうれん草の牛乳ひたしと肉じゃが牛乳風味だ」
「ぜーんぶに牛乳を使ってるの」
 なぜに牛乳?
「牛乳は胸を大きくする!! ……らしい!」
「という紅葉の言葉を信じて作ってみたのだ。さっ食べるぞ」
 ……らしいって……なんでそんなに不確定な情報でここまで……。
 これはいわゆる自業自得なのか?
 いかにもお腹に悪そう、特に肉じゃが……白い肉じゃがヤバそうなんですが……。
「さっ、食べよ!」
「そうだな。無論、晴信も食べるだろ?」
 逃げられそうに無いです……。

「「いただきます。」」
 いただきます……。



 この日の料理の味はもはや語る必要が無いだろ……。
 この日のことは、『白く破壊された日』として僕の心に深く刻まれた事であろう……。

 思い出したくないよぉ……。


えぇっと、次回予告の前に……
私生活が少々忙しくなってきたのと、執筆速度の遅滞が原因で更新を週に一回……下手したら二週に一回になってしまうかも知れません。
とりあえず次の月曜日から週に一回になります。
すみません。

では、次回予告。
予告するのは僕です。
話しは一気に二週間すすみ、いまだ胸を気にする紅葉に玉葛。
晴信ファイト!!


てなワケで次回もよろしく











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