プロローグ
「月が綺麗・・・」
雲ひとつ無い、夜空。
星が輝くその空で、ひときわ美しく輝く月。
霞の無い、きれいな、月。
カーテンが引かれていない部屋の窓から、彼女はその月を見上げ、微笑んだ。
何かを愛おしむような、大きく綺麗な瞳。
まるで何かを月に問い掛ける様に、コクッと小首を傾げると、彼女の肩の上で切りそろえられ、顔の輪郭に沿って綺麗にシャギーが入った、彼女自慢の黒髪がさらっと揺れる。
───真理・・・。
月を見上げる彼女の耳に、「声」が響く。
───愛してるよ・・・。
彼女は幸せそうに笑顔を作る。
「太陽のような」笑顔。
今でもたった一人の為に向けられる、彼女の最高の笑顔。
「正臣・・・」
幸せそうな声で囁く。
そして、彼女が腰を下ろすベッドの上で、小さな寝息を立てている小さな男の子に目を移した。
男の子は、彼女のたった一人の息子。
起きている時に見せる、くりくりっとした大きな瞳は彼女に良く似ている。
しかし、笑った時の顔や、ちょっと拗ねて怒った時の顔は、「彼」にとても良く似ている。
彼女は、それを見ていると、たまに切なくなる時があった。
彼女───立花真理は22歳。
高校3年生の時に、一人息子の真臣を身ごもり、卒業してすぐの4月に産んだ。
父親が開業医で、母親が看護師。その環境柄、真理も出産後に学校へ通い、看護師の資格を取り、父親の病院でナースとして働きながら女手ひとつで真臣を育てている。
・・・とは言っても、実家住まいで両親と同居だ。「女手ひとつ」という言葉は少々当てはまらないかもしれない。
真臣の父親は、真臣が産まれる前に死んでしまった・・・。
「パパが、見てるよ・・・」
真理はそう言って、眠る真臣の髪を撫でる。
そしてもう一度、月を見上げて微笑んだ。
───真理・・・。
その声を、幸せそうに聞きながら。
こんにちは。玉紀 直です。
今回、玉紀の作品を初めて読むという方、初めまして!
読んだ事がある、という方、今回も有難うございます!
タイトルやあらすじにもありますが、この「星の雫」は、以前玉紀が書いていた「太陽の愛 月の恋」という物語の「続編」です。
多分そちらから続けて読んでくれている方がほとんどだとは思いますが、そちらを読んだ事がないという方にも、まったく別の物語として読んで行って頂けるように書いていこうと思っていますので、安心して読んでくださいね。
さて、ちょっと訳あり風の女性、真理。
月に話しかける彼女。
彼女の行動。彼女の中に響く「声」。
これから色々な出来事を交えて、その意味や彼女の過去が明かされていきます。
読んで下さっている皆さんに楽しんでいただけるように、頑張って書いていきますので、どうぞよろしくお願いします!
今回はプロローグなので少々短めでしたが、次回からは3倍か4倍くらいの長さになります。「メイン」になる「彼」が登場します。
次回は、4月21日更新です!
では、次回!
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