今僕は、地球上の森林資源を節約するために、外食時には自分で箸を持参することにしています。
以前からこれを実践したいと考えていましたが、いざやろうとすると他人の目を気にしてしまい、結局行動に出ることが出来ずにいました。
しかしその後、一人でもやってみようという意思に目覚め、現在では飲食店に立ち寄った時には割り箸の代わりに、自分で用意したプラスチックの箸を使っています。
これからこの作品を通じて、MY箸を使うようになった経緯を説明します。
かつて僕は割り箸を使うことに、何も疑問を抱いていませんでした。環境問題には本やテレビ番組などで見る度に関心は持つのですが、特に目立った行動もするわけではなく、気持ちだけで終わらせていました。
割り箸は一度使ったら、捨てられてしまうということを知っても、特に何も思わず、何気なく使い捨てていました
そんな僕にとって、転機となったのは2001年に英語の語学留学のため、オーストラリアに行った時でした。
僕が通っていた語学学校では、東南アジアの国から来た人達と出会いました。
彼らとは、それぞれの国の習慣について話し合いました。その中で日本などの先進国の人達が豊かな生活を営んでいる裏で、熱帯雨林などの森林資源などをどんどん消費しているといったような話題を耳にしました。
テレビや新聞から得る情報では、どこか遠い存在にしか考えていませんでしたが、彼らから直接話を聞いているうちに、やっぱり何か行動をしたいと思うようになりました。
ある日、僕が日本食料理店に行った時、そこではプラスチックの箸が置かれていました。
それまで割り箸に慣れきっていた僕にとっては何だか新鮮で、そこには何度も通いました。
後で気づいたことですが、日本人が何気なく使っている割り箸は、外国人、特に東南アジアの人から見れば「もったいない」に見えるのではないかと思っています。
2002年に日本に帰国後、僕は飲食店に行く時、一度はMY箸を持参するようになりました。
最初はオーストラリアで学んできたことをみんなにアピールしたいと意気込んでいました。
しかし、次第にまわりに誰も箸を持参する人がいないということを気にするようになり、数回実践しただけで挫折してしまいました。
結局、外食時には割り箸を使う日々に戻ってしまいました。
2003年秋から僕は化学工場で働くようになりました。そこの食堂では割り箸を使用していました。
その頃、僕は森林資源保護については関心を持ちながら、特に行動はしていないという日々でした。
ある日、いつものように食事の席に着いた時、僕の斜め向かいに上司が座っていました。
まわりの人が割り箸使っている中で、その上司は自分で箸を持参して使っていました。
それを見て凄いなと感心しました。その時、封印していた森林保護への気持ちがどんどん沸いてきました。
そして、自分もやってみようと思うようになり、その日の仕事を終えた後、100円ショップに行ってプラスチックの箸を買い、翌日から早速使い始めました。
まわりの人の目は多少気にはなりましたが、その上司がいるからということに後押しされ、僕は2005年1月に会社を辞めるまでその職場でMY箸を持参し続けました。
しかしその間でも、職場の食堂以外の場所で外食する時には使う気になれず、カレー屋といったような、なるべく箸を使わなくてすむ店に行っていました。
次に就いた職場の食堂ではプラスチックの箸を使っていたため、それまで持参していたプラスチックの箸はお蔵入りとなり、いつの間にか行方不明となってしまいました。
僕はオーストラリアでの日々以来、割り箸は何だかもったいないという気持ちはずっと持ち続けていましたが、ついついまわりの人の目を気にしてしまう日々が続きました。
そんな僕にとって、再び転機となる時がやってきました。それは僕が2006年に作った物語でした。
僕はこれまでいくつか作品を作ってきましたが、その中で「新しいことを最初に始めた人が一番立派なんだ。」という文章を書きました。
当時はストーリーを盛り上げるために書きましたが、その後、それを自分にとって段々励みになってきました。
僕は大学時代に理科の分野の研究室に所属していましたし、その気持ちは自分自身で体験しています。
他の人がやらないことを自分が最初にやるわけですから、待っていたのは孤独との闘いでした。
華やかさとは無縁の場所で、なかなか人に認めてもらえない中、どこまで自分を保ち続けられるか。
そんな日々が続きました。
もしかしたら、日の当たらない日々が卒業まで続くんじゃないかという不安もありました。
結局僕は、大学時代にはあまり多くの結果を残すことは出来ませんでした。
しかし、新しいことを最初に始めた点で、先生方に認められ、胸を張って卒業することが出来ました。
そして、卒業した後、先生方が僕の残したデータをもとに、新たな研究テーマを考案してくださり、それを後の人に受け継がせてくれました。
結果、僕は卒業後に、新しいことの第一人者として語り継がれる存在になりました。
あの時の感動は、今も忘れていません。
物事には最初に始めた人がいる。今は当たり前になっていることでも、その時は日の当たらぬことだったに違いない。他人からは時に白い目で見られても、それでもあきらめなかったからこそ、人に認められたんだ。そして、みんなに伝わっていき、当たり前になったんだ。
そう考えると、気持ちがすっと切り替わりました。
他人の目を気にして悩んでいても仕方ない。誰もやっていないのなら、自分がやってみよう。
研究者なら、誰もやっていないからこそ、やる気が沸いてくるはずだ。
研究の世界では、新しいことを最初に始めた人が、一番評価されるべき人のはずだ。
そう思った日に、僕は早速100円ショップに行き、再度プラスチックの箸を買いました。
2007年になったばかりのある寒い日のことです。
MY箸を使う機会はその日の昼、回転寿司の店に行った時にやってきました。席につくと、僕はかばんから箸を取り出して、堂々と使い始めました。
まわりの人達はみんな割り箸を使っていましたが、僕はもう他人の目を気にすることはありませんでした。
もちろん、僕がMY箸を使っていたからと言って、まわりの人達は白い目で見ていたわけでも、感心する様子を見せたわけでもありませんでした。
恐らく、特に気にしていないか、気にしていたとしても、「へえ、あの男の子、箸を持参しているのか。」くらいに思った程度でしょう。
それでも僕は構わないです。
今はまだ日の目を見ることはなくても、あきらめずに続けていればいい。誰も見ていないようでも、きっと誰か気にしていてくれる。
僕はここにいる人の中で、最初にMY箸を使った人なんだ。僕がみんなにアピールしてみんなに広めてやるんだ。寿司を食べている間、僕はそう考えていました。
僕はその後も外食をする機会があれば、その度にMY箸を使っています。そしてこれからも使い続けるつもりです。
スーパーに買い物に行った時には、割り箸は極力受け取らないようにしています。
この作品を投稿する数日前、持ち帰り弁当の店に行きました。店員さんが割り箸を差し出してきた時、僕は
「それは結構です。家に行けば自分の箸で食べられますから。」
と言って断りました。それを聞いて店員さんは
「君、凄いね。そんなことが言えるなんて。」
と感心しながら言ってきました。
僕はオーストラリアで学んだことや、外食では普段からMY箸を使うようになったことを話しました。
すると店員さんから
「確かにタイやインドネシアの人なら日本人に『割り箸はもったいない。』と言いたくなるだろうね。君、海外に住んで、そんなことを勉強してきたんだね。偉い!」
と褒めてくれました。
もちろん嬉しかったです。やってきて良かったと思いましたし、MY箸を使うことに対してもますます弾みがつきました。
3月にこの作品を投稿するまでに、僕はたくさんの割り箸をセーブしてきました。しかし、この時点においては熱帯雨林の木に置き換えた場合、1本の木を守れたかどうかでしょう。
これまで努力してきて、成果はたったそれだけかもしれません。でも、僕はあきらめたくないです。
もちろん、割り箸を作って売ることで生計を立てている人もいるはずですので、あからさまに「もったいない。」と言って、割り箸を否定するわけにもいかないでしょう。
それでも、僕がオーストラリアで学んできたことから始まったMY箸に対する気持ちが、他の人にも伝わってほしいと思っています。
この作品を読んだ人達の中からMY箸を使う人が出てきて、森林資源保護に一役買ってくれれば、僕としても嬉しいです。 |