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 この小説は、原作を完全無視した形で突っ走ろうとしています。一応原作を知らない人でも読めるように努力をしますが、多々わからないところがあると思いますので、後書きにて用語解説を入れたいと思っています。
 本作品は私の初投稿する作品です。誤字、脱字が無いよう推敲して投稿しておりますが、もし見かけられれば一声かけてくださるとうれしいです。

 

 以後、注意事項とします(原作をご存知の方はなるべく読むようにしてください)

 本作品は、原作を完全無視した方向で進めようと思っています。

 私自身、原作ファンで何度か読み返すんですが、シリアスが苦手なので後半のシリアスには少し尻込みしてしまいます。
 
 さて、ここまで言えばお分かりかと思いますが、この作品は後半のシリアスを一切除去しております。

 まず、リーリンが王族ではない。

 それに従ってレイフォンは薔薇の茨を打ち込まれていません。天然ものの最強です。

 後、この作品の主人公はオリジナル設定の、原作では出てこなかった人物にしようと思います(以後オリ主)。

 リーリンとレイフォンは、オリ主の仲立ちによって原作開始前にはすでに付き合い始めています。

 それに従って、原作ヒロイン達はオリ主のほうへと流れていくことになります。

 いろいろと原作を無視した形にはなっておりますが、ご了承ください。
第一章 『絆』
プロローグ 『天剣』
 割れそうなほどの歓声が鼓膜を叩く。視界いっぱいに広がる観衆は、そのまま重圧となって体にのしかかっていた。

 今日はここ、槍殻都市グレンダンにおける、女王を除く最高地位であると同時に武芸者として最高の称号である『天剣』。その最後の一席であるヴォルフシュテインを選別する大会の最後の試合だった。

 幾人もの屈強な武芸者が集い、しのぎを削ったこの大会の最後に立っている二人はまだ年端も行かぬ二人の少年であった。

 大会が開催される前は誰も予想しなかったこの組み合わせ。しかし、圧倒的な力を見せ付けてきたこの両者が此処に立つことを疑問に思うものはこの場にいなかった。

 大会中盤から言われ続けた今大会最高の対決が、今此処で実際に見れるとなれば、観客の歓声が大きくなるのは無理もないことだった。

「レイフォン」

「トウヤ」

 少年二人はそんな観衆の声など気にも留めずにお互いの名前を呼ぶ。

「この試合、どっちが」

「勝っても」

「「恨みっこなしだ!!」」

 すでに試合開始の鐘は鳴っている。二人は同時に剣帯に手を伸ばすと「レストレーション」と復元鍵語を唱えた。

 レイフォンは左手に鞘に納められた刀を、トウヤは身長を遥かに超える、無骨な鉄でできた棒を、その手に納めた。

「本気で行くよ!」

「来い!」

 まずはレイフォンが動いた。目にも映らぬ(・・・)超スピードでその場から移動すると、トウヤの後ろに回ると、その手にある刀を抜刀し、鞘から刀を抜くときに空いた手で生み出した衝剄を刀身にぶつけた。その摩擦によって刀身は燃えるように発炎した。

 サイハーデン刀争術――『水鏡渡り』から続く『焔切り』。

 内力系活剄の旋剄を超えた瞬間的な超移動の水鏡渡りに加え、並みの幼生態を焼き尽くす焔切り。レイフォンがよく好む戦法であり、今まで無敗を誇る一連の流れは、トウヤによってはじめて防がれた。

「甘いな」

 手はおろか刀身すら常人には目に映させない抜刀術をトウヤは完全に見切り、流して見せた。思わず目を見張るレイフォンに向かって棒を連続で突き出す。

 ソウシン流棒術――『流水棍』

 その名の通り、繰り出される棒の刺突は流れる流水の如く。棒は分裂し、幾本にも見える。レイフォンからすれば壁がぶつかってきているようなものだろう。

 レイフォンは急所を庇う事しかできずに吹き飛ばされる。

「どうしたレイフォン!」

「まだまだぁ!!」

 音を立てずに二人の姿が消える。会場にソニックブームが巻き起こり、時たま二人の姿が見えては消え、を繰り返す。

 二人は強力な気配を発散し、即座に気配を殺す殺剄を行い移動することで相手の知覚に残像現象を起こさせる。それは観客にも効果が及び、あまりのスピードに二人の姿が分裂したかのように見える。

 内力系活剄の変化――『疾影』の効果だった。

「はぁっ!」

「そこっ!」

 ぎぃん、ぎぃん、という耳障りな鉄同士がぶつかり合う音が大きく響く。観客には何が起きているのか分からないが、一番高いVIP席に座る一団にはその姿が捉えられるようだ。忙しなく目を動かしている。

 ふと中央にある豪華な椅子に座る妙齢の女性が傍らの初老の男性に尋ねる。

「ティグ爺、あの子達どう思う?」

「ふむ、二人とも天剣を持つのに十分な力量は有しておるとは思いますが」

「カナリス」

「あ、はい。剄の量は刀の男の子の方が多いですけど、そんなに大して違いがあるようには思いません。ただ、純粋な技量で棒を持っている男の子の方が圧倒していますね」

「ふぅん……決めた。どっちが勝ってもヴォルフシュテインはあの子達のものにするわ。いいわね、リンテンス」

「ふん、俺には関係のない話だろう、この話はおおよそ三十六万三千四百二十秒前に話がついたはずだ」

 たずねた女性にむっつりと、正確なのかどうか怪しい秒数で返した男はちら、と会場で異様な速さでぶつかり合う少年二人を見ると、興味なさそうに壁に下がって腕を組んで目を閉じた。

「そ」

 尋ねた女性もリンテンスのこんな態度には予想がついていたのだろう、軽く一言で返すとまた場内の少年たちに視線を移した。

「はぁ、あんなちまちまとした試合のどこが面白いのか俺にはさっぱり理解ができねぇな」

 そう言いつつも忙しく目を動かすのは見上げるような巨漢であるルイメイだった。

「そんなことを言わないでくださいよ。みんながみんなあなたのような戦いをすればグレンダンが無くなってしまう」

 名門ルッケンス出身の天剣サヴァリスはルイメイの愚痴にそう返しながらも目は片時も二人から離れない。口元は緩く弧を描き、体はリズムを取るようにゆらゆらと揺れている。

「しっかしまぁ、よくもこんなに暇人が集まったものね」

 確かに基本的に天剣は老性体が来るか、都市警察からの救援が無い限りすることもなく、暇なのである。

 試合を真面目に見ているものや、暇つぶしに見ているもの、賭けをするものまで出始めた。

 と、そこで試合に動きが見えた。

 レイフォンの腹にトウヤの棒の先端が突き刺さったかと思うと、振り上げられた棒でレイフォンの顎が打ちぬかれた。

「あーあ」

「ま、実際よく持ったほうだと思いますがな」

 気の篭らないため息を漏らす女性にティグリスが律儀に返す。しかし、確かに二人の力量は少し離れていた。武器を扱う技量でいえば、トウヤという少年はティグリスにも驚きを覚えさせるほどだった。

「これが都市の外延部だと分からなかったかもしれませんな」

 見る限り、剄の扱いでならばレイフォンが一歩先手を取る。この勝敗を決めたのは場所の悪さだろう。

「そうでもないみたいよ?」

 女性の声にこたえるかのように、審判の手を振り切って立ち上がったレイフォンが刀を高く上に掲げ、トウヤに向かって行った。

 その全身から迸る剄の量は、中央の女性を除けば誰よりも多かった。

「……二桁にようやく届くような年でこれとは、いやはや末恐ろしい少年ですな」

「……あれ?」

 感心した声を上げるティグリスの声に被せるようにサヴァリスが声を上げた。

 それに釣られるように会場に目を移すと、少年が大技を放とうとしているところだった。




「これで、最後だぁっ!!」

 トウヤの猛攻で窮地に追い詰められたレイフォンは、それを巻き返すべく一度だけ戦場で見かけた天剣授受者の使用していた技を自分なりにアレンジした剄技を放った。

 衝剄活剄混合変化――『千斬閃』

 振り下ろした刀がぶぅんっ、と揺れたかと思うと、千に届こうかという数の斬激に変わる。恐ろしいまでの剄が込められた一撃に耐え切れず、手元の鋼鉄錬金鋼アイアンダイト製の刀が砕け散る。

「う、おぉぉぉおおおおおお!!」

 逃げようにもフィールドいっぱいに広がった斬激を避ける隙間はなく、トウヤは迎え撃つことを余儀なくされ、とっさに封印していた奥の手の一つを使った。

 ソウシン流棒術、奥義の壱―――『流星錘』

 レイフォンと同じく莫大な量の剄がトウヤの棒に収束していく。碧石錬金鋼エメラルドダイト製の棒ですら限界を超えるほどの密度で形成された剄の塊は穂先の大きな槍の形をかたどっていく。

 みしみしと耐え切れずに音を立てる相棒を脇に抱え込むと、斬激の壁の向こうにいるだろうレイフォンに向かって、空気の壁を突き破りながら突進していく。

 頭上で見ている天剣授受者たちですら目を見張る速度。一直線に、影すら置き去りにして走るその姿はさながら流星の如く。

 一点集中突破。壁に穴を開けるドリルのようにレイフォンの放った千斬閃に流星錘を押し込んでいく。

 千対一。当然、抑えきれないところはたくさん出てきて脚や腕が切り裂かれていく。が、ほぼ同じ量の剄を込めた流星錘はいとも容易くレイフォンの千斬閃の一角を打ち破った。

 破った瞬間に穂先に集まった莫大な剄を衝剄として解き放つ。前方百八十度を巨大な力の奔流が駆け抜けていく。

―――殺った!―――

 とトウヤが思った瞬間、千斬閃を隠れ蓑に高く跳躍していたレイフォンがトウヤの前に降り立った。

「しまっ……!?」

「僕の―――勝ちだっっ!!」

 とっさに自らの剄でぼろぼろになった棒で防ぐが、十分に剄の乗ったレイフォンの拳は容易くそれを粉々にして、トウヤの鳩尾に拳が突き刺さった。

 トウヤは何も言えずに吹き飛ばされ、壁に勢いよく叩きつけられる。ぴくりとも動かずに倒れ伏すトウヤを見て、はじめは唖然としていた観客だったが、じわじわと試合が終わったことを実感したのか、今までに無い大声援を小さな勝利者に送った。

「うおおおおおおぉおおおっ!!!」

「すっげぇ! よくやったな坊主!!」

「おい! だれかこいつを医務室に連れてってやれよ!」

「すごい! すごい! すごい! 僕こんなの初めて見た!!」

 レイフォンはその歓声に答えるように天に向かって拳を突き上げた。

 一際大きな歓声が上がり、最後の天剣の座はこの小さな武芸者に送られることとなった。




 では、前書きで言ったように用語解説を入れます。尚、これはwikiを参考にしておりますので、興味を抱いた方はそちらを見ていただいたほうが楽かもしれません。

『天剣授受者』

 通称天剣。王家に実力を認められ「天剣」を授けられた武芸者。

 天剣授受者となった武芸者には、天剣とその称号を示すミドルネーム、様々な特権が与えられる。同時にグレンダンを汚染獣から守る義務を課され、他の武芸者では対処が難しい状況(主に老性体の襲撃)において出動し汚染獣を撃退する。

 天剣授受者は基本的に己の力を高めることに終始し、他者を教導する者はほとんどおらず、武芸者として品行方正な者は少ない。



『錬金鋼』

 「錬金鋼ダイト」と呼ばれる特殊合金を基にした武器で、錬金鋼には特定の大きさや形状、性質などを記憶し、同じく記憶した声と剄に反応して一瞬で記憶した通りの状態へと変化する「記憶復元」の特性が備わっており、これにより元の数倍以上の体積や様々な形状、性質に変化することができ、それに伴って重量も変化する。

 すなわち、掌に収まる程度の錬金鋼を、一瞬にして然るべき形と大きさ、重量を備えた武器に変化させることができる。
 声は勿論、剄も個々人で質が異なるため、錬金鋼は記憶させた声と剄の持ち主しか復元できず、錬金鋼を復元する際の音声信号には専ら「レストレーション」と言う語句が用いられる。

 さまざまな種類があるが、今作主人公と原作主人公が使ったのは、剄の収束率という点で優れている「碧石錬金鋼エメラルドダイト」と、 剄の収束率という点で優れている「碧石錬金鋼エメラルドダイト」、剣術を得意とする武芸者が好んで使う、刃物を復元するのに適した「鋼鉄錬金鋼アイアンダイト」である。

『剄』 

 武芸者は通常の人間と身体構造が異なり、腰の辺りに剄を大量に発生させる「剄脈」(けいみゃく)と呼ばれる内臓を持ち、そこから剄の通り道になる「剄路」(けいろ)と言う管が神経と並行するように全身に伸びている。
 剄は全ての人間が生きているだけで発するエネルギーだが、普通の人間が発する剄は非常に微弱で、生まれつき剄脈を持つ者のみが武芸者として戦うことができる。

 剄脈で発生した剄は剄路を通ることで肉体のあらゆる能力を強化する力へと変化し、体外へ放出されると破壊力を持った衝撃波へと転ずる。前者は「内力系活剄ないりきけいかっけい」、後者は「外力系衝剄がいりきけいしょうけい」と言う技術として体系化されており、様々な派生技術がある。このほか、気配を消す「殺剄さっけい」や、剄に特殊な変化を加える高等技術「化錬剄かれんけい」などの技術があり、武芸者はこれらの技術を駆使して戦う。

 さて、拙作に目を通してくださった皆様、ありがとうございます。注意事項をお読みになればわかると思いますが、この作品はいわゆる原作乖離、というやつです。
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