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幻想大陸 作者:しるうぃっしゅ

四部 西大陸編

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六十八章 呪い竜















 幻想大陸に住まう者ならば滅多なことで近寄ることもない呪い竜の大渓谷と呼ばれる難所を、キョウとディーティニアは苦もなく踏破し、あっさりと西大陸へと足を踏み入れた。
 一般人ならば、大渓谷に潜む危険生物―――第八級から第十級と差はあれど、人間の天敵である彼らに襲われ、無事に通り抜けようと思えば相当の護衛か、強運を必要とする場所ではあるのだが、キョウ達からしてみればそこらの平原を行くのと特に変わりはしない。

 それは何故か。野生に住まう魔獣だからこそ、己の本能に忠実だ。彼らの第六感が、遠く離れていてもキョウ達と襲うことは愚か、近づくことさえも由としなかった。普段とは正反対。自分達こそが獲物である、と誰に説明されるでもなく理解していた故に、自分達の住処に引きこもり、決してキョウ達の邪魔をしようとはしなかったのだ。

 危険生物一匹とも遭遇しなかったことに若干拍子抜けした二人だったが、キョウ達にしてみれば先を急ぐ旅の身。
 下手に手間取るよりもいいか、と割り切るとまずは北西へと足を向けた。

 ゴツゴツとした岩肌が続く味気のない大地をしっかりとした足取りで進んでいく。
 しかしながら、何時ものようにキョウとディーティニアの二人乗りというわけではない。
 誰も鞍の上に乗せていない馬三号―――今回の馬は非常に長生きをしていて頼もしい―――の手綱を手で引いて歩調を合わせてゆっくりと歩いていくキョウの姿がそこにはあった。
 もう一人のディーティニアはというと、何故か馬の上ではなく、キョウの背中で眠りに落ちている真っ最中だ。

 呪い竜の大渓谷は崖底まで精々が一キロ程度の距離だが、崖を刳り貫き緩やかな坂道として底に繋がっているため正確に言うならばその数倍の距離を降らなければ為らない。しかも、常に強風が吹きつけてくる上に、崖側に注意をしなければならず、精神的疲労が尋常ではない。二人にとっては、それはあまり気にならないことだったが、問題は西大陸の玄関口へと繋がる坂道だった。
 中央大陸の入り口に近い場所にあればいいのだが、そう上手くは作られていなかった。様々な条件が重なり合い、各入り口は随分と距離を置いて作られてしまっている。大渓谷の崖に沿って歩くこと数時間。ようやく西大陸へと繋がる道へと到着。

 その頃には既に日は落ちて夜が世界を支配する時間帯になっていた。
 太陽の変わりに月が空から光を注いでくる光景を見上げながら、うつらうつらと眠気に襲われて足取りが覚束なくなったディーティニアに気づいたキョウは、どうしたものかと悩むのも一瞬。馬に乗せるのではなく、自分で背負うことを決断する。
 半分寝かけているディーティニアを馬に乗せれば、如何にキョウが手綱を引いても落馬する危険が高い。そのため自ら彼女を背負うことにしたというわけだ。

 くぅくぅ、といびきをかきながら背中で寝ているディーティニアの確かな重みを感じながら、キョウは一人荒野を歩いてく。
 本来ならばもうそろそろ夜営の準備に入る時間ではあるが、今現在歩いている場所で見かけることができるのは石や岩のみで、暖の源になるような枯れ木は全く見当たらない。
 せめてもう少しまともな場所に辿り着いてから、とキョウは若干歩く速度をあげた。

 月だけではなく、数え切れない星々が夜空を彩っているのを見ると不思議と悪い気はしない。
 背中で一人爆睡しているディーティニアに対しても、特に思うところはない。何時ものことといってしまえば、何時ものことなのだから。彼女と旅をしてから、既に幾度となく経験し、慣れてしまったといえばそれまでだ。
 それに戦闘のときは苛烈な意思を垣間見せる獄炎の魔女が、可愛らしい寝顔を見せているのだから、それなりの役得なのかもしれない、とキョウはふと思った。

 それでも、密着しているキョウの背中にあたるディーティニアの胸は、悲しいほどに女性らしい柔らかさを感じさせない。アールマティよりもさらに小さい、などというかなり失礼な感想を抱く。また、彼女を支える手綱とは逆の手は、支えるために臀部に回されているが、そこは胸に比べれば多少はマシと言ったところだろうか。外見だけならば超がつくほどの美少女―――年齢不詳の魔女ではあるが、そんな彼女と密着していながらキョウが考えることは、男女のこととは無縁のことだ。

 これほどまでに小柄な肉体でありながら、竜女王テンペスト・テンペシアと渡り合い、海獣王ユルルングルをも滅ぼした。
 キョウをして底が知れないエルフ。歴史上最高を名乗ってもおかしくはない力量の持ち主。彼が知る限り、間違いなく最強の魔法使い。そんな彼女が自分の背中で熟睡しているということが、戦闘のときとのギャップを感じさせる。

「……人は見かけによらない、という良い教訓だな」

 そう独りごちたキョウの呟きは、満点の夜空の彼方へと消えていく。
 それに対する返事は、くーというディーティニアのやけに可愛いいびきのみ。

 やれやれ、と苦笑しつつ全く整備されていない歩道を、馬を引きながら突き進む。ここを通る人間など滅多にいないこともあって、整備されたのは何時ごろなのか不明なほど荒れ果てていた。乾いた街道―――と言って良いのかわからないほど大小様々な砂利があちらこちらに見受けられる。それどころか地面のおうとつが非常に目立ち、もしも馬車で通れば車輪を悪くしてしまうほどに酷い。

 さらに一時間程度歩いた時分、ようやくゴツゴツとした岩肌の地面から解放され、キョウの眼前に広がる光景に眼を細めた。
 先ほど踏破した呪い竜の大渓谷ほどではないが、目の前には切り立った断崖が存在したからだ。それは大口をあけて旅人を迎え入れている印象を受ける。キョウの視界を遮るものは何もない。断崖に築き上げられた数百メートルほどの坂を下った先には、見渡す限りの森が延々と続いている。月の光を浴びながら、その森は暗く深い。
 見下ろせば、断崖の下へと続く坂道は、森の中へと向かっていた。まるで人を飲み込むかのような深淵を感じさせる森に、細めていた眼を瞑ると、手綱を握っていた手をはなし両目を瞼の上からゆっくりと揉み解す。

「……この経路が使われない理由がはっきりとわかった」

 返答がないことはわかっていたが、そう独り言を吐き出さなければならないほどキョウとしても億劫になっていた。
 呪い竜の大渓谷を越えた後に、さらに出口が見えない森を抜けるとなれば、誰もが彼と同じ反応をしたはずだ。

 夜の森を越えるのは多少面倒だと判断すると、キョウは切り立った崖に作られた坂道を下っていく。崖下の森の木々が届いていない大きく開けた広場に降り立つと、近くの木に手綱を括り付ける。ディーティニアをゆっくりと背中から降ろすと、深い闇に包まれた森へと躊躇いなく足を踏み入れていった。

 この場に寝ているディーティニアを置いていくことに僅かな心配もない。
 ぐっすりと寝ている彼女だが、何か危険が近づいてくれば即座に反応することができるのは今までの旅で嫌というほど見てきたからだ。寝ている獄炎の魔女の間合いに忍び込めるのは、キョウが知る限りアールマティくらいだろうか。
 そのため特に気にも留めることなく暗い森の中で地面に転がっている枯れ木を適当に拾うこと十数分。両手で抱えきれる限界一杯まで集めたキョウは、迷うことなく真っ直ぐと夜営場所へと戻ってきた。

 ディーティニアが起きていれば一瞬で着火できるが、無理やり起こすのは可哀想だと判断し、荷物入れから火打石を取り出すと地道に
作業を続ける。
 旅慣れているだけあって、あっという間に火種を作ると、それを起点として焚き木に火を移していく。煌々と夜の闇の中で燃え盛るその光景は、どことなく人の心を安心させる。

 寝ているディーティニアを胡坐を組んだ両脚の上に頭を乗せると、乾物系の食料を荷物から取り出すと時分の口の中に放り入れた。こういった食事に慣れているキョウでも、不満を言いたくなる微妙な味わいとしか言えない味付けの干し肉を何度も咀嚼して、ようやく噛み千切ると嚥下する。

 新鮮な肉でも狩ってくるか、とも考えたが―――何時もどおりと言えば何時もどおりで、危険生物や野生の獣はキョウを恐れて既に遠くに逃げ出していた。
 気配を常人レベルにまで抑えても、自然と獣の本能が関わってはいけないと理解してしまうのだろう。結局どう足掻いても、キョウには狩人としての仕事はできないことだけは、はっきりと理解できることだった。もっともキョウがその気になれば、夜の森の中といえど野生の獣を追ってしとめることは可能であったが、生憎と今夜はそういった気分にはならない。

 天使の寝顔と言えばいいのか。可愛らしい寝顔のディーティニアをキョウは起こすことはしなかった。
 この程度の味わいの食べ物ならば無理に起こして食事をさせることもない、とキョウは考えていたからだ。もしも、お腹が減れば起きて自分で好きな食べ物を食べることだろう。

 適当に食事を終えたキョウは、パチパチと弾ける焚き木を眺めながら己の両脚に頭を乗せて寝ているディーティニアの髪を軽く手で透く。
 最後に立ち寄った町から三日が経っており、その間風呂に入れていないせいか若干ぱさつく感覚が手から伝わってくる。ディーティニアは風呂に入れないことを大層気にしていたが、入れないものはどうしようもない。貴重な水を無駄に使えるはずもなく、旅をしていくうえでそれが彼女の最重要懸念事項となっていた。

「……ん?」

 その時、キョウの優れた嗅覚がある匂いを嗅ぎ取った。
 クンっと鼻を鳴らすと、眉をしかめる。東大陸でも嗅いだことがある―――卵が腐ったような臭い。言ってしまえば、硫黄の香りだ。 まさか、と勢いよくその場に立ち上がったキョウは、匂いが漂ってくる方角へと森を分け入って進んでいく。キョウが立ち上がったせいで、後頭部を強かに地面に打ちつけたディーティニアがいたのだが、それには目を向けることなく自分の前方を邪魔する鬱蒼とした木々の枝を小狐丸で一閃。パラパラと音を立てて地面に転がっていく。
 数分程度も歩いた時分、木々は開けパァっと月の光が森の中へと注がれ、開けた空間となった場所がキョウの前に現れた。

「―――ほぅ」

 反射的にキョウがそう呟いた。何故ならば彼の目の前には、これでもかと言うほどに巨大な岩風呂が見受けられたからだ。
 ゴツゴツとした大きな岩が綺麗に円形に並べられ、その中には湯気を立ち上らせているお湯が張られていた。強烈な臭いの発生源は、ここらしく、ツンと鼻につく。
 だが、キョウからしてみれば思わぬ僥倖。それを天に感謝して、まずは手を温泉に入れて温度を確かめる。得てして自然の温泉は温度が熱すぎる場合があるため用心に越したことはない。

 チャプンっと音をたてて手が温泉の湯に触れる。
 熱すぎず冷たすぎず。実に丁度良い温度に安堵したキョウは、どうするべきか一瞬悩む。
 ディーティニアを呼びにいくべきかどうか。だが、呼びに言ったとしてもどうせ一緒に入るわけではない。それならば、先に入ったとしても特に問題はないはず―――ということで無理やり己を納得させると、自分の服に手をかける。

 ゆったりとした黒い衣服を脱ぐと、皺にならないように伸ばして畳む。
 おおざっぱにみえても意外と几帳面な部分があるキョウは、それを小狐丸と一緒に岩の上に乗せると温泉の中へと足から入り、腰をゆっくりと下ろす。ザブンっと波紋を水飛沫をあげて、肩まで浸かったキョウは、ハァっと深い息を吐く。

「良い湯加減だ。温泉は、東大陸以来か」

 両手で湯を掬い、顔を洗う。
 ふぅっと二度目の息を吐きながら、空を見上げた。
 満天の夜空。無数の星々が瞬き、見惚れるような光景が延々と広がっている。


 張り詰めていた気分が洗い流されるような心地よさ。
 アナザーでは東国にいた頃、アールマティと一緒に良く温泉めぐりをしたものだ。
 まだ十代の頃は普通に入ることができていたが、やがて顔が知れ渡るに従って、人が多い場所にはいくことが出来なくなった。下手に温泉に顔を出せばそれこそ血の池温泉に早変わりとなってしまったのは記憶に懐かしい。

 そこでアールマティのことが再度頭の中を横切った。
 二年前から噂を聞かなくなった元相棒。死んだとは思っていなかったが、何処に行ったかと思えばまさか幻想大陸にきているとは考えてもいなかった。アナザーの中心―――あくまで人類到達領域の話であり、人類未踏領域は除く―――四方を死の霧に覆われた何人たりとも突破できなかった領域にあった一つの世界。

 ここで会えた事はそれこそ天文学的な確率。
 彼女との再会は素直に嬉しい。アールマティとはそれなりに良好の関係を続けてきた自負があったからだ。
 夜空に吊り目の影使いの顔が浮かぶ。冷静沈着でありながら―――意外とそそっかしいところがある彼女。過去の思い出が次々と浮かんでは消えていく。最後には、今日別れたばかりのアールマティの姿が思い出され―――。

「あの阿呆め。また強くなっていたな」

 くっと口角を歪めてキョウは哂う。
 禍々しさを感じさせる歪んだ笑みだった。笑みを浮かべること自体珍しいキョウではあるが、今の彼の笑みは普段の彼とはまた異なる。見る者の背筋を冷たくさせながらも、どこか子供のような無邪気さを感じさせる。

 キョウは嬉しかった。
 アールマティと再び出会えたことが。

 キョウは驚かされた。
 二年前よりも強くなった己と同等に、強くなっていた彼女に対して。

 キョウは確信した。
 影使いは―――己の目的を果たすために必要不可欠な人物であったことを。

「やはり、俺にはお前が必要なようだ」

 湯の中で両手を力いっぱい握り締める。
 ギシギシと音がなるほどに強く。水中で拳を形作った両手を見つめていたキョウだったが―――ふとある違和感を覚えた。

 湯気で覆われ温泉の視界は非常に悪い。それはいいのだが、己以外に気配を一つ感じる。
 ただし、明らかに人の気配ではない。恐らくは獣―――そう判断したため、キョウは放置していた。
 その気配がほんの僅か動いただけで、地震と勘違いしそうな地響きをあげた。温泉の湯が、小規模な波を巻き起こし、キョウに打ち付けてくる。
 眉をしかめて、それの原因である気配の持ち主がいる方角に視線を送った。
 これだけの震動を起こすとなるとどれだけの巨体なのか、予想がつかない。少なくとも熊やら狼といったレベルではないだろう。それらを超えるとなると危険生物なのだが、果たして魔獣も温泉に浸かるのだろうか。本気で不思議に思うキョウが首を捻った瞬間、風が吹く。強い突風が、温泉の湯煙を浚って行った。

 そして、異質な影がその場に浮かび上がる。
 真っ直ぐに向けられていたキョウの視線の角度があがり、若干驚いたのか僅かに目が見開いた。
 温泉の湯を浴びて、てかてかと光る白色の巨体。全身が痩せこけ―――巨体の全ては白い骨だけで構成されているのではないかと疑ってしまうほどだ。しかしながら、巨大な四肢に、尻尾。さらに大きな胴体。その巨体に相応しい一対の翼。生気の見えない二つの瞳が、仰ぎ見ていたキョウの視線とぶつかりあう。

 そこにいたのは巨大な白色の竜。
 禍々しいオーラを身体から滲ませる邪竜というのがぴったりと合う、生物が温泉に浸かっている光景が目の前には広がっていた。

 並みの危険生物ではなく、かつて見た第五級危険生物の飛竜(ワイバーン)や、第四級危険生物の火竜など比べるまでもなく、存在としての格が違いすぎる竜種が目の前にいることに多少驚かされるが、慌てる様子もなく衣服とともに置いていた小狐丸に手をかけた。

 ―――はてさて。どうしたものか。

 相手の視線から目をそらずに、行動の瞬間を見極めようとしていたキョウだったが―――湯に浸かっていた白色の竜が、首をもたげさせる。ザパンっと湯が激しい音をたて、飛沫がキョウへとふりかかってきたことに眉をしかめたその時。

「―――くっへっへっへ。なんだ、おめぇ。おもしれぇな。ああ、おもしれぇ」

 近くに落雷が落ちたのでは、と勘違いするほどに大きく響き渡る声。
 それが目の前の巨大な竜が発した言葉だと気づくことに一拍を置いて気づく。
 ここまでの威容を誇る怪物が、流暢な人語を話すことができることに違和感を拭えないが―――よく思い返せば、竜女王テンペスト・テンペシアも目の前の白色竜以上の怪物でありながら、美声を発していたのだから驚くほどのことでもない、と考え直す。

 巨竜と裸で対峙しながら怯む様子を全く見せないキョウを、
窪んだ眼光の瞳が、白色の身体のなかで唯一黒く光り輝き、ねめつけている。ぞっとするほどに冷たくも、興味深そうな光の灯火を隠そうともしていない。

「いや、本当におめぇ、何者だ? 俺以上の化け物か。いや、比べるのも失礼な話か。ぎゃはははははははっ!!」

 哄笑が響き渡る。
 だが、巨竜の口からでる言葉は、キョウを認めているようにも聞こえた。
 まだ、出会ったばかりだというのに。己の十分の一にも満たないちっぽけな人間を相手にしていると言うのに。

 そんな相手の台詞を聞きながら、剣魔は目の前の巨竜の肉体を凝視する。
 思考を一つに収束。己の敵を屠る剣戟を想像の中で幾つものパターンで検討を開始した。

「まぁ、待てよ。俺はおめぇと戦う気はない。勝てない(・・・・)戦はしないタチでね、俺は」

 白旗をいきなりあげる巨竜は、しかしながらそれに対して思うところはないようで、ゲタゲタと哂いながらもたげていた頭を湯のなかへと半ばまで沈めなおす。それが原因で、再び波が引き起こされキョウへと襲い掛かってくる。
 どうやら口にだした通り、戦う気は本当にないようで、キョウは小狐丸を元の場所に再度置く。だが、いつでも刀を抜けるように手の届く所に置いていることが、巨竜へ対する警戒心の高さと言えた。

「ああ、そうだ。自己紹介がまだだったな。俺は―――クールカン・イーシュムカ。お前ら人間から呪い竜と呼ばれている高位竜種の一体だ。そこの呪い竜の大渓谷だなんて呼ばれている場所の主ってやつだな」

 あっさりと己の正体をばらした巨竜―――本人の談を信じるならばクールカンという名の高位竜種は、気持ちよさそうに温泉に浸かったまま何がおかしいのか笑い続ける。
 しかし、何分口は湯の中に入っており、ゴボゴボっと激しく温泉が泡立っていく。それが激しく迷惑なキョウは、警戒するとは別の意味で、巨竜から距離をとるのだった。

 












大渓谷の主がほんの少しだけ登場です。
+注意+
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