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幻想大陸 作者:しるうぃっしゅ

一部 邂逅編

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六章   竜鱗の価値






 戦いを終えたキョウは家へと帰ろうとしたが、一方のディーティニアは目の前に転がっている水竜の死体を前にして動こうとしない。何かを考え込むように、両腕を組んで唸っている。

「どうかしましたか?」
「……うむ、実は中位竜種である水竜の肉は、とんでもなく美味なのじゃよ。さきほど食べたギガントタートルなど足元にも及ばぬほどじゃ」
「アレが足元にも及ばない……ですか。想像し難いですね」
「王族でさえも滅多に口にすることができぬ物じゃよ。そもそも第四級危険生物を倒すなど、普通は不可能なことだしのぅ」

 そうなのか、っとディーティニアの横に並んで、首の半ばから上が切り落とされている水竜を見上げる。
 見上げるのには理由があって、砂浜に落ちている竜の頭はまだ目が開いておりそれに睨まれているようで少し不気味ということもあった。
 そこでディーティニアの台詞に少し疑問が浮かんだ。

「中位竜種を倒すのが不可能でしたら、王族達はどうやってそれらの肉を食べてるんですか? 滅多に口に出来ないのであって、皆無ということではないんですよね?」
「ああー、まぁ、それは依頼という形じゃな」
「依頼ですか?」
「うむ。探求者と呼ばれるその道のプロにかわりに取ってきてもらうのじゃよ。まぁ、彼らでも第六級危険生物くらいまでしか基本的に無理だが」

 では、それ以上の危険生物はどうなるのかと聞き返そうとして、それより速くディーティニアが口を開いた。

「それ以上は【七剣】と呼ばれるエレクシル教が擁する対危険生物専門の特殲部隊に仕事がまわされたりするのぅ。もっともあやつらは魔族との戦いに駆り出されてることが多いから、滅多に依頼が通らないらしいが。後はワシと同じく【魔女】の名を冠する連中にも話が行く時もあったはずじゃよ」
「ああ、そういえば。ディーティニアさんを含めて五人いるとか言ってましたね」
「そうじゃよ。ワシは火に特化した獄炎の魔女。他にはそれぞれ【水】【風】【土】【雷】に特化した四人がおる」

 未だ底が見えないディーティニアと同格の魔法使いがあと四人もいることに、僅かな驚きと、戦ってみたいという欲求がキョウの奥底から同時に湧き出てくる。
 それを見通しているのか、獄炎の魔女は少しだけ憐憫を視線に乗せて肩に手を置こうとしたが―――ぎりぎり手が届かず必死に背伸びをしてようやくポンっと叩くことに成功した。

「生憎と四人ともワシほどじゃないぞ? お主からしてみれば幾分か物足りない相手かも知れぬ」

 そう語る小さな魔女の表情からは、決して負け惜しみや強がりで言っているのではなく、当然のことを口に出している様子が見受けられた。
 まぁ、確かにそれもそうか、とキョウは彼女の言葉を受け入れる。

 戦ってみてわかったが、ディーティニアの力は想像を絶する領域に達していた。
 これまで戦ってきた魔法使いは一体なんだったのかと考えさせられるほどだ。
 大地を滅する威力の攻撃魔法を容易く操り、それを連続して使用可能という非常識さ。しかも、あれだけ魔法を連発しておきながら疲労している様子が一切見られない。一流の魔法使いであっても、数日は寝込んでもおかしくはないほどにマナを肉体に取り入れているはずだ。しかし、当の本人は水竜を前にして、どうやって食べようかなどと呟いている余裕さえある。

 しかも、ディーティニアは恐らくはまだまだ本気を出していないと言うことを、キョウは肌で感じ取っていた。
 これほどまでに隔絶した力の持ち主があと四人もいるとは考え難い。彼女の力が突出していると考えたほうが、納得がいく。

「ワシからしてみればまだまだ子供みたいな奴らじゃよ」

 貴女の方が子供に見えます、と思ったが口には出さないキョウ。
 二人して、あまりにも巨大すぎる水竜を前に、どうしたものかと頭を悩ませていると、海岸とは真逆の家の方角―――つまり森がある方向から幾つもの気配が少しずつ近づいてくる。
 飛竜や水竜には遠く及ばない気配の薄さ。僅かに香ってくる獣臭。

 ちらりと背後に目をやると、木々の合間から二人の方を覗いている影が幾つもある。
 敵意は感じられないがとりあえず相手をするか、と刀に手をかけたキョウを遮るように、ディーティニアが片手をあげて彼の行動をとめた。

「敵ではない。ワシの知り合いじゃ、心配する必要はない」

 彼女がそう言い含めると、ガサリと木々をかきわけ姿を現す幾つもの影達。
 姿を現したそれらを見て、表情にこそ出していなかったが、僅かにピクリと目元が動いたことに気づいたのは隣にいるディーティニアだけだった。
 二人の前に現れたのは、一言で言うと二足歩行をしている犬。
 もさもさとした毛が風に流され、ふさふさ音をたてている。それぞれ粗末な布切れで身体を隠し、大事な部分はしっかりと見えないようにしていた。ピンとたった犬耳と、つぶらな瞳。体長は低く、ディーティニアと良い勝負の者達ばかりだ。

「―――コボルト、という種族じゃ。第十級危険生物に認定されてはおるが、こちらから手を出さない限り基本的に人畜無害と思っても構わぬ」

 キョウの耳元で囁こうとしたが、身長が足りなさ過ぎて諦めたディーティニアは、チョイチョイっと指で合図をして彼に身体を下げさせると、改めて耳元で呟く。

「こやつらは頭が良い。きちんと人語を理解するから、あまりうかつなことをいうでないぞ。差別発言とかは持ってのほかじゃからな」
「ええ、わかりました」
「……それと、いい加減その敬語はやめんか。なんか背中がむず痒くなってくるぞ。戦闘中とか、素の言葉遣いになってたときもあったじゃろう?」
「あー、まぁ、そうですね」
「……だから、それを止めぬか」
「わかりました、努力します」
「……はぁ、気長に待つとするかのぅ」

 内緒話のようにヒソヒソと話し合う二人の会話が途切れるのを待っているのか、コボルト達は良く躾をされた犬のようにじっとその場から動くことはなかった。
 やがて二人が離れたのを見計らって、その場に居るコボルト達は全員が揃って頭を下げる。

「魔女、様。おひさし、ぶりです」
「うむ、何時ぞやは世話になったのぅ。息災にしておったか?」
「はい。魔女、様のおかげで」

 しゃがれており、確かに聞き取りにくくはあるが、見事に人語を操っている二足歩行の犬を見てキョウは驚きを感じる。
 幻想大陸とアナザーの違いに反射的にため息を吐きたくなった。アナザーでは伝説にしか残されていないような生物が当たり前のようにいるのだから彼の驚きは当然と言えば当然かも知れない。

「そちらの、人間は、知り合いですか?」
「そうじゃ。ワシの―――友、かのぅ? 手出し無用で頼むぞ」
「は、い。それと、ドラゴンが来て、いたようですが、お怪我は?」
「あの程度のトカゲではワシに傷一つつけれぬよ。おっと、そうじゃ―――」

 何かを思いついたのかディーティニアはポンっと手を叩く。
 海岸間際にドンっと置かれている水竜の死体を杖で指す。

「お主ら、あれを持っていくと良い。ワシらはワシらで必要な分だけ持っていくから後は全部譲ろう」
「……」

 今まで目にはいっていなかったのか、ディーティニアの指した方向を見た途端、口をあけてぽかんっと水竜の死体をその場に居たコボルト全員が固まった。
 第十級危険生物である彼らからしてみれば、竜種は雲の上の怪物だ。いくら竜園に近い場所だからといって、竜種がこの森まで来ることはない。大抵はこの森をあっさりと飛んで抜ける。そのため空を飛んでいる姿を見ることはあっても、こんな近くで―――しかも首を切り落とされた姿を見ることなどこれまで一度たりともなかったのだから。
 これまでにディーティニアが竜種と戦う姿を目撃するコボルトもいたが、大抵は超火力による瞬殺。尻尾や体の一部が残れば御の字程度。そのため、コボルト達は珍しげに水竜の死体の周囲を囲って様子を伺い始める。
 あまりに綺麗な死体のため、動き出すのではないかと勘ぐっている者もいるようだ。

「よし、キョウよ。適当にこれくらいの大きさの肉を切り出すのじゃ」

 ディーティニアは両手で空中に四角を描くと、これくらいっと何とも分かり難い大きさを依頼する。
 柄に手をかけて水竜の懐へと歩いて行くと、その途中に居るコボルト達がビクリと反応して怖れているかのようにキョウから距離を取った。竜種よりもよほど危険察知能力が高いと考えたが、良く考えればそれも当たり前のことである。コボルト達は危険生物という枠組みでは最底辺の存在である。そのため強者の気配には敏感でなければならない。しかし、竜種は違う。彼らはうまれついての強者。竜種という種族であるが故に圧倒的な捕食者として生きつづけてきた。だからこそ、ディーティニアやキョウといった、自分達を凌駕する相手を前にしても、この場から逃走するという選択肢を選ばなかったのだろう。

「よいかーこのくらいじゃぞー? あ、それと出来れば胸肉を頼むぞー」
「―――俺は肉屋じゃないんだが」

 思わず普段の言葉遣いで言い返したキョウは、しまったと口を押さえたがそれをしっかりと聞いていたディーティニアはにんまりと厭らしい笑みを口元に浮かべる。

「おお、その調子じゃぞ。変な意地などはらずに自然体でよい」
「……はいはい」

 肩を竦め水竜の下に辿り着いたキョウは、ディーティニアの要望どおりに、胸肉を切り取ろうとしてあることに気づく。

「……どこが、胸なんだ?」
「ほら、そこじゃよ。そこ。なにやらぶわっとしているところじゃ」
「いや、ぶわっとしていると言われても……正直わからん」

 刀の切っ先でそれらしい部分をトントンと叩きながら、ディーティニアの顔を窺う。
 何度も遠くから大声でそこは違うと否定されながら、ようやく切り出す場所の許可が出る。
 切っ先で竜の胸の部分を叩くとカンカンっと鱗が音をたてた。これが噂に名高い竜鱗かと感慨深げにしていると、あっとディーティニアが声をあげた。

「ついでに何枚か鱗を剥がしておいてくれんか? それはかなりの高額で取引されるんじゃよ」
「……だんだん注文が多くなってきたな」
「いいからさっさとやっておくれ」
「はいはい」

 ふぅっと肺にたまっている酸素を短く吐き出す。
 歯を噛み締めると、刀を振るった。キョウの視界に見えるのは、巨大な水竜の肉体。
 その一点を見つめ、刃が鋭く、深く侵入していく。僅かな手応えもなく、竜鱗をも断ち切り、肉を切り裂く。
 光に見える銀の輝きが一閃。二閃。三閃。四閃。五閃。

 瞬く間に水竜の胸にあたる部分に斬線を残した。その煌きに、遠目ながら魅了されつつもディーティニアは満足そうに頷いた。対して、コボルト達は何が起きたのか、分からず目をパチクリとさせている。近くで見ながら彼らが確認できたのは、キョウが刀を振ろうとする瞬間まで。彼らのうち誰一人として、一閃目さえも見切ることはできていなかった。

 刀を鞘に納めると同時に、ずるりと数十センチ程度の肉塊が重力に負けて落下していこうとする。
 それを掴むと片手で抱えるが―――つんっと生臭い匂いが鼻につく。人斬りで血の匂いは慣れてるとはいえ、あまり好ましいというわけではない。
 速めに頼まれごとを終えようと、水竜の肉体に開いた穴を起点として、刀を再度振るう。
 竜鱗と皮膚の隙間に刃を滑り込ませると、そこで腕に力を込めて横一線。無音のまま、竜鱗が幾つも皮膚から切り剥がされ、砂浜へと飛ばされていく。何度かそれを繰り返すと、一枚でディーティニアの半分近くはありそうな大きさの竜鱗が、周囲に散乱することとなった。

 嬉しそうにチョコチョコと駆け寄ってきた小さな魔女はそれらを拾い集めて、両手で抱える。一枚一枚が大きく重そうなのだが、まるで重さを感じていないように拾っていく姿はキョウからしてみれば少しだけ異常に見えた。

「なんじゃ、変な目で見てきおって。お主も話くらいは聞いたことがないか? 竜の鱗は羽毛のように軽く、鋼よりも遥かに硬い。幻想大陸最高の武具の材料の一つじゃぞ」

 そんな彼の視線に気がついたのか、竜鱗の凄さを語りながら拾い集める手は休めてはいない。

「実際は羽毛より軽いなどということはありえんがな。それでも異様なほどに軽量なのは確かじゃ」
「ほー、どれどれ」

 両手で抱えているディーティニアから、一枚掻っ攫うように片手で掴む。
 すると見かけとは裏腹に、軽々と持ち上げることが出来た。

「これは確かに……」
「うむ、鱗の状態もいいしこれは相当な高値で売れるのぅ。お主のおかげじゃ」
「……どれくらいの価値になるんだ?」
「そうじゃなー。ワシでも詳しいことは分からぬが……竜鱗一枚で大白金貨三枚くらいにはなるとは思うが」

 大白金貨三枚と聞いて、あまりピンときていないキョウ。
 それも当然。大白金貨といった名称を聞いたことがなかったからだ。それは彼がこれまでいた世界(アナザー)では使用されたことがない貨幣だった。基本的にアナザーでは【シェラ】という単位で貨幣が使用されていた。
 白銀貨といった名前を聞くだけで貴重とわかる貨幣など、アナザーでは存在していない。
 そんなキョウの戸惑いが伝わったのかディーティニアは、あーっと幻想大陸とアナザーの貨幣の違いに気がついた。

「なんというか、お主には幻想大陸の基本的なことを伝えねばならんな。細かいことは追々話すとして、話題にあがった貨幣について教えようかのぅ」

 竜鱗を全て拾い終わると、両手で持っている鱗が積み上がっており、ディーティニアの顔を隠す高さまでになっていた。
 大丈夫かと心配するキョウだったが、前も見えない筈の彼女は器用に砂浜を歩いて行く。 

「後はお主らの好きなようにしてよいぞ? 騒がした詫びとして受け取ってくれ」
「……あり、がとう。魔女様」

 その場に居た全てのコボルトが遠ざかっていくディーティニアに頭を下げる。
 それには返答せずに、真っ直ぐに家までの道のりを進む。魔女の器用なその様に、少し意外な感想を持ったキョウ。 
 家まで辿り着くと、鱗を落とさないように階段をゆっくりと足をかけてのぼる。流石に扉をあけることはできなかったので、すぐ後ろをついていっていたキョウが扉を開けた。

 部屋の中に入ると、大きなテーブルの上に鱗をゆっくりと置く。
 置いたと同時に、バランスが崩れたのか音をたててテーブルの上に広がっていった。

「そういえば先ほどのコボルト、だったか。十級とはいえ危険生物に属している彼らと何故知り合いなんだ?」
「あー、それは。ここにきてすぐの頃だったか……あそこの森に住んでいる魔獣に襲われているところに出くわしてのぅ。その時に助けたのが切っ掛けじゃったかな。その礼として、この家を建てるのを手伝ってくれたのもある」 
「ほー。この家は彼らが手伝ってくれたのか」
「家を建てるのも流石にワシ一人では無理だから。もっとも九割九分彼らがしてくれたのじゃが……」
「―――なるほど。普通はそうだな」

 よく考えればこんな危険な地域に家が建っているのはおかしい話だ。
 竜種やらが飛来するこんな場所に、普通の人間が家を建設しにきてくれるはずがない。
 ディーティニアの話に納得がいったキョウは、成る程と頷いた。
 それとついでに生臭い匂いを放っている脇に抱えている肉塊を、炊事場の方へと持っていき降ろしておくことも忘れなかった。溜まっていた水で血がついている手を洗い流すと、椅子に座りながらテーブルの上の竜鱗の状態を確認しているディーティニアの元まで戻る。

「さて、話を戻すが―――貨幣についてじゃったな」
「ああ、そうだった。出来れば教えて欲しい。どうも俺の知っているモノとは違うらしい」
「幻想大陸とアナザーが別たれてから八百年ちょいじゃからなー。一緒のほうが驚くぞ」
「全く持って仰るとおり。こちらでは貨幣の単位は【シェラ】が使用されてはいない―――でいいのか?」
「うむ、使われてはおらぬな。基本的に銅貨、銀貨、金貨、白金貨の四種類の貨幣が流通しておる」

 ディーティニアの説明にキョウは首を傾げる。

「四種類? 少し少なくないか?」
「ああ、勿論四種類からさらに細かく分けられる。小銅貨、銅貨、大銅貨とな。銅貨にも三つの貨幣にわけられておるということじゃよ」
「―――成る程。銀貨や金貨も同じく三種類あるのか?」
「うむ、白金貨もじゃ。さて、アナザーから来た人間には分かり難いじゃろうが……そちらの基準に照らして説明するならば―――小銅貨を1シェラと考えよ。銅貨が5シェラとなり、大銅貨は10シェラとなる」
「ああ、そちらの方がわかりやすいな」

 キョウが今まで使用してきた単位を使って説明してもらえたおかげか、ディーティニアの説明に納得がいく。

「後は簡単じゃよ。小銀貨は50。銀貨は100。大銀貨は500といった単位じゃな」
「つまり、銀貨一枚と小銅貨百枚が同額と考えて良いのか?」
「それでよい。なんじゃ、物覚えがいいのぅ、お主」
「これくらいならな。それで残りの金貨と白金貨は?」
「大体予想がついておるかもしれんが、小金貨は1,000となり、金貨は5,000。大金貨は10,000じゃな。そして白金貨は鋳造に使われる白金が貴重なこともあり他とはまさしく別格じゃよ。小白金貨が100,000、白金貨は500,000、大白金貨が1,000,000。市井で使われることなど滅多にないのぅ、白金貨は」

 桁の大きさに、思わず感嘆のため息が漏れる。
 幻想大陸の貨幣価値がどれほどのものか、ほかの物価がどれくらいなのかキョウにはわからないが、それでも白金貨の貴重さは彼女の話だけでも理解できた。
 そして、先ほどの会話を思い出す。竜鱗一枚の価格―――大白金貨三枚(・・・・・・)、だと。

「……ちょっと待ってくれ。確かさっきこう言ってたな? 竜鱗の価格は―――」
「ん? ああ、大白金貨三枚くらいにはなるといったのぅ、そういえば。妥当な価格だと思うが、競りにかければもう少し高値がつくと思うぞ」
「……ちなみに、この世界の物価はどれくらいなんだ?」

 唖然とするのをなんとか堪えながら、キョウは質問を続ける。

「うーむ。物価とかは流石に詳しくは伝えれぬが……」
「説明しにくいのなら、あれだ。家族が一月でどれだけ費用がかかるかとかで説明できないか?」
「それもピンキリじゃがのー。家族四人で一月ならば大凡小白金貨一枚(・・・・・・)もあれば十分に生活できるはずじゃがな」

 彼が考えている以上に、竜鱗の価値は高かったようで―――黙ったまま椅子に座り込んだキョウの顔を不思議そうに覗き込む。キョウの目の前にあるテーブルに広がるのは、二十枚(・・・)近くの竜鱗。

 幻想大陸に飛ばされて一日目。まさかその初日にて―――こんな事態になるとは夢にもおもっていなかったキョウ=スメラギだった。



貨幣の説明回でした。
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