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今宵恋塚の鎖
作:秋時雨



第拾参話 『天崎 妖子』


「えー突然だが、転校生を紹介する。」

 それを聞いた瞬間俺の体はビクッ、と反応した。なぜか転入するクラスが俺のクラスである。静かだった教室内もざわざわと騒ぎ始める。

「静かにしてくれ。転校生の…。」

「うおおおおぉぉぉぉ!!!」

 向こうから遅刻した月が走って教室にダイブする。
 ゴロガラガッシャンッ!

「ふぅー。ギリギリセーフ」

 その瞬間ざわめいていた教室内はあっと笑いの嵐になる。

「何がギリギリセーフだ。本鈴はもう鳴ってるし、この空気読めない奴め。」

「ウケ狙いだよウケ。あえて読まなかったのさ。」

 こんなバカにつきあってられん、と俺はため息をつく。

「いいから早く席に座れ。話か進まないじゃないか。」

 でもまあこいつのおかげで少し落ち着くことが出来た。色んな意味で感謝はしている。

「コホン、さっきも言ったが東乃がやっと登校してきたのでもう一回説明する。転校生の天崎 妖子だ。」

 はぁ!?誰だそれ?とたんに俺は落ち着きがなくなってしまった。

「はじめましてー、天崎 妖子です。よろしくお願いしますです♪」

 桜花が笑顔で挨拶をする…って結局桜花かよー!!!と声に出して叫びたいくらいだが、そう言うわけにはいかない。

「誰だあの子?ここら辺では見たことが無いな。」

「可愛い…。一目惚れしちゃったぜ。」

「美人な人ですね〜。いいなー。」

 桜花のあまりの美しさに、男子も女子も注目している。

 (たしかに笑顔は可愛いんだけどな…。はっまさか!)

 こいつ、わざと注目浴びさせるようにしてるな!?

「というわけだ。では天崎、席は…七刹の隣の席に座れ。」

 皆の視線が一斉にこちらへ向く。というか俺の横かよ…最悪だ。


「ふふふ、偽名で驚いたかしら?」

「あたりめーだ!あと出会い頭笑顔で攻撃はちょっと危険な奴が出るぞ。」

 桜花は首を傾げる。ん〜こいつには理解できないか?

「まぁ楽しめばそれでいいんじゃない?」

 駄目だこりゃ。

「おうおう、楽しそうに会話してんじゃねえか。まあ待て、まだ早すぎる。攻略するのはもっとフラグを立ててからじゃないと面白くないぞ!」

「お前は共に学校生活をしてきたシャーペンでも口説いとけ。」

 教室内はワハハ、と笑い声の嵐。
「俺は筆箱以下ですかッ!」

 ──────。

 そんなこんなで、第一限目が始まる。

「この問題を…天崎。解けるか?」

「はい、それは〜(以下略!)です。」

 桜花はまるで楽しんでいるかのようにすらすら解いている。まさか本当に天才だったとは…。

「よろしい。では次に…出席番号16番!」

「先生!人を番号で呼ばないで頂きたい。」

 ・・・。

「ん、作者の都合により名無しには番号で十分である。」

「納得いかねえぇ!!」

 ・・・先生。それだと先生も名無しキャラだから名前一生でませんよ?


 そして時間は昼休みを突入。

「へぇ〜天崎さんって黒さんと同居なんだ。」

「ええ、結構お世話になっているのよ?」

 桜花と女同士話をしている美香。

「くぅ、こんな美しいお方が家にいるなんて聞いたこと無いぜ?一体何処から拾ってきた?」

「河原で散歩していたらダンボールに乗って流れてきた。」

「マジか!?」

「冗談。そんな猫な話あるかよ。」

 こいつはこういう手の話になると何でも信じちまうからな…。

「こんばんは。君が謎の美人転校生と噂されている天崎 妖子かな?」

 突然後ろから望月が来た。

「珍しいな。お前の方から来るなんて。」

「ふっ是非お目にかかりたかったわけだ。」
 望月は桜花の方を見る。

「ふむ・・・たしかに綺麗な目をしているな。その顔を崩さないように大切にして欲しい。」

 何を突然言い出すと思えば…。桜花は少し驚いた顔をしていた。

「もちろん、そのつもりよ。」

「それを聞いて安心した。ゆっくり学校生活を楽しむがいい。」

 そう言って望月は教室から出た。

「そうさせてもらうわね。望月君。」


 昼休みの終わりが近く、俺は体操服に着替えていた。

「次は体育か…。桜花の奴、暴走しないように祈りたいものだが…。」

 そう言って体育館へ走っていった。







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