挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
進め戦車よ!VRなど恐るるに足らず! 作者:トクメイさん

Es braust unser Panzer Im Sturmwind dahin.

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

41/55

ゴブリンキングの大攻勢その3

今回はちょっと短め
 戦場の全てのプレイヤーが、異変を感じた。唐突な爆音と連続した破裂音、そして音楽が、何処からか聞えたからである。そして、それと同時に巨大な爆発が出現したのだ。これに気づかないのは鈍感どころの話じゃあない。
 爆音が響けばゴブリンが天高く舞い上がり、破裂音が響けば悲鳴が溢れる。何処で、誰が原因なのかは、前線のプレイヤーには分からなかった。だが、後方の城壁からはよく見えた。

「な・・・なんだあれは!」
「モンスターか!?」

 城壁では、戦車が暴れている様が曖昧だが視認できた。遠すぎて大体のプレイヤーはそれが何なのかを知る事はできなかったが、目星や鷹の目などの望遠が可能なスキルを持ったプレイヤーは、はっきりと見えていた。

「あれは・・・なんなんだろう」
「戦車・・・なんじゃないか?」
「あれが・・・?な、なんか弱そうだな」
「というかなんで戦車があるんだ!?」

 というのが、ちゃんと視認できたプレイヤーの大体の感想だった。そう、大体である。この大体に当てはまらない人物たちも、また存在した。

「車種は」
「あれは四号ですね、ドイツの」

 軍事系が大好きなプレイヤー達は、それの正体をしっかりと識別できていた。

「何型かはわかるか?」
「んー砲身が短いのでF2以前だとは思います。ただEかD、F1かまでは難しいです」
「・・・冷静に考えればそうか。私も無理かもしれない」
「それに俺は戦車じゃなくて飛行機なんで、専門外なんですよねー」
「餅は餅屋だな。ドイツ戦車に詳しい者はいるか?」

 周りのプレイヤーに聞こえるよう、大きな声で問う。それに答える一人のプレイヤーが前に出る。

「ここに」
「うむ。あれの型はわかるか?」
「前面装甲が一枚板じゃない、追加装甲が無い事から、D型で間違いないかと」
「四号D型か・・・欲しいな」
「やはりですか」
「当然だ。私の名前からして、欲しくならない訳が無い」
「ですよねー」

 砂狐のその目は、「絶対にあれを手に入れる」と、心の内をしっかりと物語っていた。
 砂狐は、メニューからフレンドを選択、素早く文字を打ち込み、送信した。

「相手はユモちゃんですかな?」
「あぁ。一応だが、我々一番の近代兵器だからな」
「ハハハ、我々も早く近代化したいですなー」
「火薬ができるまでの辛抱だ」

 そう言いながら、砂狐は己の腰に吊るされた、小さなリボルバーを触りながら、呟いた。

「待ってろよ。お前を絶対に手に入れる」






 戦闘は問題なく確実に進んでいる。いや、正直戦闘とは言えないほど一方的に進んでいる。ゴブリンの大半は剣や槍、斧であり、それらを戦車の装甲板に突き立てる前に、2丁の機銃と1門の主砲によって倒される。
 先ほどから火の玉や岩、風の塊などが飛んできては被弾しているが、どれも威力不足であり、火の玉は着弾と同時に消滅し、岩が砕け、風の塊は四散している。
 攻撃面でも、防御面でも、やはり戦車は圧倒的だった。

 包囲され、死に掛けていたプレイヤーと思われる者達を横目に、Panzerlieを流しながら通り過ぎる。敵との距離を維持しつつ、ゆっくりと前進していく。

「せ、戦車・・・」
「なんだこれは!」
「か、カッコいい!」

 驚きの顔をする者、何がなんだか分からないといった顔をする者、目をキラキラさせこちら見てくる者。どの顔も、悪い気はしない。特に、こちらにキラキラした眼差しを送ってくるのは、とても気持ちのいいものだ。
 それらの視線を受け止めつつ、自分は戦闘を続ける。それらに反応しようにもできないってのが理由だけども、敵の殲滅という最優先事項があるからな。お披露目は、このイベントを終わらしてからが良いだろう。

「・・・騒がしくなった」

 車内には彼女もいる。エルフの代表の彼女を、あの街へ安全に届ける為にも、早く終わらせるとしよう。
 装填が終わった主砲を、正面へ撃ち込んだ。

 暫く無双を続けていると、こちらへ何かが向かって飛んで来ている事に気が付いた。高度は大体2000m位か、そこまで高くない。低空といえる。
 自分で言うのもなんだが、自分のような近代兵器はそこまで多くないと思う。だから、あれはヤーボ(戦闘爆撃機)ではないと思うが・・・警戒するに越したことは無いな。別のゲームでは、自分は愛用の戦車に対空機銃を設けているのだが、今の自分にはそんなものは無い。そんな自分にできることは、逃げる事だけである。こんな時に、何かしらの攻撃に晒されて被害を負いましたー、ってのは絶対に避けたいからな。

 主砲を撃ち、機銃をばら撒く。あの飛行物体を発見してから、大体10発程主砲を撃っただろうか。あれが自分の真上辺りまで来た。どうやらその飛行物体は、ファンタジー系にあるような、人に翼が生えた種族である事が分かった。翼を大きく広げ、低速ながらも確実に飛んでいるのが分かる。流石ファンタジーだ。人間が翼だけで飛ぶとは・・・いや、やはり何かしらの補助があるのだろうか。
 それは兎も角として、その飛行物体が自分の頭上を通り過ぎようとしている。そのまま通り過ぎるなら良いのだが・・・おや

 飛行物体が反転しだした。・・・ん?自分の頭上で反転?・・・戦車の真上で反転だと!?

 おうおうおうあれは急降下爆撃に入るんじゃないのか!?やっぱりこっちに向かってきたぞ!
 前進開始!今までゆっくりだったが、一気に加速する。車両が急激に押し出され、加速しだす。

「あうぁあ!?」

 自分の加速に対応するように、上空の飛行物体・・いや、飛行目標が、こちらを捉える為にこちらへ進路を変えた。

 ・・・前進を続ける。目測700、目標はまだ高い。

 600。高い。前進を続ける。

 500っ。まだだ!

 450!今だ!

 左履帯にブレーキを、逆に右履帯は全速で回し続ける。急激な力の変化により、車両が左へ急旋回しだす。

「きゃぁあ!?」

 車内はGで酷い事になっているだろうが、仕方ない。我慢して貰う。そのまま車両を慣性に任せ、まるでドリフトのように機動する。
 あぁああ履帯から嫌な音がする!車体が軋む感じがする!とっても気持ち悪いが我慢するほか無い!現実だったら履帯どころか転輪が吹っ飛ぶぞ!?
 だけども、一瞬の気持ち悪さを対価に、被弾を避ける事できたようだ。

 人型の飛行目標から、切り離されたそれが、放物線ではなく完全な落下機動を描きながら突き進んでいく。そして空中で四散・・・四散!?
 四散したそれから、無数の粒が雨のように飛び散り・・・、自分のすぐ真横へ着弾した。

 ・・・散弾ではなぁ!いや、散弾だとぉ!?というか今の鉄球か!?も、もろに食らったら機関部があ、危なかったぞ!
 だが、一応回避できた。見た所、あれは1発しか抱えていなかったから、再攻撃の可能性は少ない・・・筈だ。だけども、こちらからは何もできない。主砲じゃあ真上に向ける事はできない。再攻撃が無いことを、祈るほか無い。もしくは、当たらないことを祈る。当たっても被害が無いことを祈る。これに限る。

「うぅ。・・・痛いじゃない」

 彼女には悪いが、暫くはまだ戦闘が続く。もうあのような機動は無いと思うが、まだゴブリンは山ほどいるのだ。戦争は始まったばかりだ。

(周囲は敵だらけ。味方は居るが仲間は居ない。敵は多い。だが勝機は十分。状況は最高。これより戦闘に移行する)

 戦闘行動を再開する。だから彼女には申し訳ないけど、休めないのは仕方ないのだ。


 そういえばあの飛行目標。主翼が鳥みたいな翼だったな。それに・・・黒十字が描かれていたな。もしかしたらだが・・・味方誤射かもな。







「ややや、やっちゃった!」

 つ、つい爆撃しちゃった!?ししし仕方ないよね!?だってさ!戦車なんだよ!相手は戦車!なら爆撃するしかないよね!

「うんうん!仕方ない仕方ない!」

 ・・・。

 ・・・・・・。

 ・・・・・・・・・。

「って、なるかー!」

 もーなんで爆撃しちゃったのー!わたしー!仮に戦車に爆撃するのは仕方ないとして!あの戦車は四号だったじゃない!友軍じゃないのー!T-34やM4なら兎も角、四号に爆撃って!

「完全にやっちゃったよー!」

 これ絶対に隊長に怒られるよぉー!!で、でも、フューラーは怒らないよね!あの人戦車に詳しくないし!









「・・・おい。今、私にはユモがあの四号に攻撃したように見えたのだが」
「奇遇ですね。私もです」

 ユモが戦車に攻撃したのは、城壁からもしーっかり見えていたとさ。

 パンツァー 四号戦車D型 lv 18 up!
 状態 車外装備品紛失

 攻撃力 7.5cm kwk 38 L24 戦車砲
     7.92mm MG34機関銃×2(同軸機銃・車載機銃

 砲塔装甲 正面30mm
      側面20mm
      背面20mm
      上面10mm
 車体装甲 正面30mm
      側面20mm
      背面20mm
      上面12mm

 速度 40km/h 300ps
 重量 20.00t

称号
・陸戦の王者
・エルフの楯
・ワールドクエスト発見者
・貢献した者
・新型受領

スキル
・目星 6lv
・拡大眼 6lv
・熱源探知 7lv
・音源探知 5lv
・火魔法 2lv
・風魔法 3lv
・放送 2lv
・迷彩 3lv
・隠密 5lv
・不整地走破 5lv

控え
・マッピング 8lv

18日目昼
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ