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進め戦車よ!VRなど恐るるに足らず! 作者:トクメイさん

Es braust unser Panzer Im Sturmwind dahin.

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それぞれの行動その2

 休憩を終えた。時間帯にして昼頃だ。十分休んだので、このゴブリン包囲網を突破する事にする。
 と言っても、特にこれといった工夫や技は無い。

「ギャアッ!?」
「グギャァア!」

 乾いた破裂音が繋がって聞えるほど、圧倒的な連射速度で同軸機銃を薙ぎ払う。四号が搭載している7.92mm MG34機関銃の射撃レートは毎分800発、旋回の遅い砲塔に相まって、撃ち込まれる弾丸の数は余りにも多い。
 数うちゃ当たるの機関銃だ、隠れる場所なんて木の裏しかない森の中にいるゴブリンに、当然ながら命中する。

 ・・・でもまぁ、全てを仕留め切れる訳ではない。味方が結果的に盾になったり、偶然木の裏にいたり、だ。幾ら機関銃とはいえ、撃っているのは7.92mm、意外と威力は無い(それでも人体に当たれば一溜まりもないのだけども)。
 んー外付けで良いから重機関銃が欲しいな。スキル、”改修及び改造”を手に入れたら、天板にMG151でも積もうかな?

 おっと、意識が逸れた。ロマン溢れる改造は、また別の機会に考えよう。
 機銃の薙ぎ払いで怯んだのを確認し、正面へ榴弾を撃ちこむ。本当は機銃同様に撃ちまくりたいのだが、何かの拍子に山火事になるのは避けたい。それに、突破だけなら1発で十分だ。
 撃ち出された榴弾が地面に突き刺さり、起爆する。周辺の木や茂み、ゴブリンに破片と爆風で傷つけ吹き飛ばす。その隙に前進し、正面を突破する。あとは全速前進!確かに森は入り組んでいるが、全速で突破する戦車を追いかけるのは難しいし、しっかり砲塔を後ろに向けて牽制は忘れない。そのまま撒いてしまおう。
 機銃を後ろへばら撒きながら、迷宮からとんずらした。







「・・・夜か」

 ゴブリンを撒き、時間帯は夜へと移り変わった。全速で長い間移動していたから、燃料ゲージも心もとない。見た感じ、残りは3割だ。昼から夜全速でここまで減ったのだ。驚くべき燃費の悪さだ。まぁ、自然回復という現実からしたらチート能力があるので、時間さえあれば無限に動き続けられるから、燃費の悪いも糞も無いのだが。
 しかし、幾ら元から燃料が減っていたとはいえ、短時間でここまで消費するとは。暫く全速お預け、だな。
 その代わりといってはなんだが、3日の道のりを大分短縮できたと思う。巡航速度で進み続ければ、明日の昼頃には確実に森を抜ける事ができるだろう。

「寝る準備しないと」

 問題は、進撃中にゴブリンの本体に遭遇しないか、だ。今までのは多くてもエルフの村を攻めていた大隊規模、先ほどの集団は正確には分からないが小隊規模、多くても中隊規模だ。大隊規模を分裂させる事ができるという事は、本体は相当な規模、恐らく師団相当の数だと思われる。そんな集団と森で会うのは避けたい。本当に避けたい。
 幾ら迷彩と隠密で視覚的、聴覚的に発見し難い状態でも、限界はある。目の数が多けりゃ発見率も上がるし、直進してりゃあ見つかるのは確実・・・じゃなくとも、高確率なのは確かだ。

「んんっ・・・寝よ」

 発見されても良いなら全速で進めば抜け切れなくもない。ただ、燃料が少ない現状、明日直ぐ実行、という訳には行かない。ゲージが回復するまでは大人しくする必要がある。
 安全を取るなら低速且つ迂回――

「おやすみなさい」

 おやすみなさい。
 低速で迂回が確実だな。これなら燃料の残量を気にせず直ぐ実行できる。ただ、当たり前だがその分森を抜けるのは遅れる。

 速度重視か安全重視か。速度は見つかる可能性が高いが速く森を抜ける事ができる。安全は速度は遅いが見つかる可能性が低い。
 んーむ。・・・よし、ここは更に確実な方法を選ぼう。いつでも最高速度を出せるよう、ゲージが貯まるまで待つ。貯まり次第、低速で迂回しよう。これなら、見つかっても逃げれる。
 ゲージは2日あれば貯まる筈だ。だから、2日はここから動けないな。筈、なのは一度も使い切ってないからだ。一度使い切って回復にかかる時間を検証しないといけないな。彼女には悪いが、燃料ゲージが回復するまでは不動だな。もしかしたら想定より速かったりするかもしれないが。





 ・・・四号でこれなら、この後の戦車はどうなるんだ?史実で燃費の悪さで有名なあの戦車なんか・・・か、考えるのは止めるべきだな。うむ。














 その頃、とある集団が森にて活動していた。具体的に言うと、何処かの戦車が発見したワールドクエストに供えて、レベ上げを目的に森に突っ込んだ連中である。初めは3桁だったこの集団は、森という入り組んだ地形によって分断され、モンスターとの偶発的な遭遇戦によって数を減らしてった。

 一部は度重なる戦闘に耐える事ができずキルされた。

 一部は疲れて途中でリタイアした。

 一部は消耗したアイテムを補給しに街へ帰った。

 一部は飽きて街へ帰った。

 だけども、この世には所謂ガチ勢と呼ばれる集団がいる。また、ガチ勢じゃなくとも羨ましいほどにその事を楽しめるエンジョイ勢と呼ばれる集団もいる。うん。何が言いたいかというと、残っているのはこのガチ勢とエンジョイ勢、そして一部の天才だけという事だ。
 ガチ勢は単語とハンドサインで全てを理解する熟練チームや、何も喋らずアイコンタクトだけで済ます圧倒的信頼関係で結びついたチーム。
 エンジョイ勢は笑顔で大声を上げながら、不慣れながらも互いに協力し合い進んでいる。
 天才は、まるで未来が見えてるのか疑いたくなる程相手の動きをスレスレで避けたりと超人的な動きをしている。因みに大体がソロだったりする。

 今回は、そんなプレイヤー達の中の、とあるガチ勢と、エンジョイ勢の話だ。







「まだ見つからないのか」

 森の浅い所は粗方探した。だが上がってくる報告といえばでかい芋虫と猫、猿だ。稀に猪と熊と遭遇したって報告が上がってくる位か。

「ちぃ。ゴブリンはもっと深いところか」

 失敗条件に城壁の陥落がある位だ。それなりの戦力なのは確実だ。ここで見つからないという事は、森のもっと奥だろう。
 うーむ。まだレベルの平均が低い。奥へ踏み入っている連中はプレイヤースキルが高いから戦えているだけだ。暫く浅い部分でレベ上げに専念すべきか・・・?

「しっかし、一体何発投げてくるん、だ!」
「ギッ!?」

 飛んできた石を右手で受け止め投げ返す。
 仲間はまだここでレベルアップできるが、もう俺では経験値が足りないな。より奥に行くとしようか。

「だが、その前に・・・」

 メニューを立ち上げ、フレンドを開く。何百ものフレンドの中から一人のプレイヤーを指定し、個人チャットを送る。

”ユモ”

貴方<ユモ、ゴブリンは見つかったか?

ユモ<見つかる訳ないでしょ!平原なら兎も角、こんな森の中にいるゴブリンなんて

貴方<空からだったら見つかる筈だ

ユモ<相手が戦力を一箇所に集中させてたらね!分散させてたら無理だから!

貴方<入り組んだ森で分散させるのは不味い。集中させると思うが

ユモ<森の中にそんな集団を集中できるだけの空き地があると思う?

貴方<無いとは言い切れない。それに、伐採すれば良いからな

ユモ<まぁね

貴方<兎に角、暫く偵察頼んだぞ

ユモ<了解。見つけ次第報告する


 よし、これでいい。やれる事はやったから、あとは待ってれば良い。戦闘しながら気長に待つとしよう。









「おっと!危ない危ない」

 強靭な腕による薙ぎ払いを受け流す。大振りだから軌道が読みやすくて助かるなぁ。

「ナイス!あとは任せて!」

 受け流された腕が地面に刺さり、動きが止まるビックベアー。その一瞬の隙を彼女は見流さない。
 直剣を両手に持った二刀流が、ビックベアーの弱点の首筋を切り裂く。

「追撃いくぞ!」

 彼女がビックベアーの肩を蹴る事でその場から離脱する。そして直ぐ、切り裂かれた首筋へ氷の杭が突き刺さる。
 森のモンスターの中でもかなりの防御力と体力を持つビックベアーも、流石に急所に強力な一撃を立て続けに受けては耐えられないようで、膝をつき、倒れこんだ。

「やったね!」
「あぁ!」
「お疲れ様です~」

 粒子となり消えていくビックベアーを見ていると、ヒーラーが回復魔法をかけてくれた。

「回復有難う。中々の一撃だったなぁ」

 防御力を重点的にポイント振ったのに、結構食らってしまった。

「いえいえ~。回復が私の役目ですから~」
「その回復がないと俺は受け続ける事ができないから、感謝してるよ」
「それはよかったです~」

 タンクは攻撃を受け止めないといけないから、ダメージはどうしても貰ってしまう。だから回復は本当に有り難い。

「・・・あ、そろそろ解散の時間です!」
「ん?もうそんなに経ったのか」
「時間の流れは早いなぁ」
「光陰矢の如し、ですね~」

 んー中々楽しかったなぁ。息も合ってたし、楽しく戦えるチームだったや。

「楽しかったです!また一緒に組みましょうね!」
「あぁ、私も楽しかった」
「俺もー」
「息が合って爽快でした~」
「じゃ!フレンド申請しとくね!」
「了解した」
「おう。次もよろしくー」
「よろしくお願いしますね~」

 次、組むときが楽しみだなぁ。





「んーそろそろ新しいのが欲しいなぁ」

 今使っているのも良いんだけど、もっと大きいものが欲しいなぁ。
 そうだなぁ。どんな重い攻撃でも飛ばされない位重くて、全身を守れる位大きいのが良いなぁ。
 耐久力も不安だし、新しいものを買い直そうかなー。


 パンツァー 四号戦車D型 lv 17 up!
 状態 車外装備品紛失

 攻撃力 7.5cm kwk 38 L24 戦車砲
     7.92mm MG34機関銃×2(同軸機銃・車載機銃

 砲塔装甲 正面30mm
      側面20mm
      背面20mm
      上面10mm
 車体装甲 正面30mm
      側面20mm
      背面20mm
      上面12mm

 速度 40km/h 300ps
 重量 20.00t

称号
・陸戦の王者
・エルフの楯
・ワールドクエスト発見者
・貢献した者
・新型受領

スキル
・目星 6lv
・拡大眼 6lv
・熱源探知 7lv
・音源探知 5lv
・マッピング 8lv
・風魔法 2lv
・放送 2lv
・迷彩 3lv
・隠密 5lv
・不整地走破 4lv up!

控え
・火魔法 1lv

17日目昼
+注意+
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