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進め戦車よ!VRなど恐るるに足らず! 作者:トクメイさん

Es braust unser Panzer Im Sturmwind dahin.

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反省すべき事

 森の戦士達は強かった。その弓から放たれた矢は、全てゴブリンへと突き刺さり、その命の灯火を抉り取る。
 矢の雨の下を走り突撃する、十数人のエルフの戦士達は、後方から放たれる矢が自分に当たるかもしれないという可能性を、まるで気にしない様子で突撃する。弓兵も、己が放つ矢が味方の背を射抜く筈が無いと、次々矢を放つ。互いに信頼しあわなければ、できない戦い方だった。

 流石に、数を放てば幾つか外れる。外れた矢が自分の装甲に弾かれ、地面に突き刺さる。針鼠と化したこの一帯、他のゴブリンが盾となり、奇跡的に矢の脅威から逃れたゴブリン達。彼らに、第二の悲劇が訪れた。矢の雨が、突然ぴたりと止み・・・エルフの戦士達の先端が接触した。
 突き出した槍が、亡骸となったゴブリンごと、ついでに自分ごと生き残ったゴブリンの体を突き刺す。ゴブリンの肉体を突き破った穂が、戦車の装甲に阻まれ、逃げ場のない力に耐えられなくなった柄が折れる。折れた槍から手を離し、素早く剣を引き抜くエルフ達。周りの味方を切り裂かないよう、突きだけを使い、的確に生き残りを殲滅した。

 ゴブリンとの戦いは、こうして幕を閉じたのだった。





「いよっしゃぁああ!」
「かったぞぉおお!」

 勝ち鬨を上げるエルフの戦士達。それに応える他のエルフ達。村は戦いの勝利で沸き立っていた。当然だ、あれ程の大群を相手に完全勝利を収めたのだ。自分もとても嬉しい。
 村の中央は、戦勝を祝う宴で賑っていた。まぁ、またゴブリン達が攻撃を仕掛けてくるかもしれないから、それ程大規模なものでは無い。ちょっと贅沢なご馳走を食べながら、戦話を酒の肴に、戦いの後の一時の安全を楽しむのだ。

「ありがとうな!お陰で勝てた!」
「お前はつよいなぁ!」

 なお、自分はこの宴の主役らしい。ま、まぁ、エルフ側の戦果の大半は自分の戦果だし、当然といえば当然なんだが。・・・なんか、むず痒いものがあるな!嬉しいのだが、こう正面切って感謝されるのは慣れてない。

『ありがとう!』
「本当に有難う御座います」
「ありがとー!」

 双子と少女、美人さんもいるぞ。確か、双子がミナとリン、少女がハルで美人さんがコリー、だったかな。記憶違いじゃないといいのだが。

「ただいま」

 知的子も、自分の中から出てきてそれに答える。

『おかえりなさーい!』
「怪我はありませんか?」
「大丈夫、怪我は無い。・・・あるとすれば、戦闘中に体を一杯ぶつけたこと位」
『えっ!?』
「だ、大丈夫なのそれ!?」

 そういえば、戦闘機動をする度にぶつけてたな。後半になればぶつかる回数も減っていったけど。これはすまない事をしたなぁ。

「・・・うん、大丈夫そう」
「それならいいんですが」

 良かった、特に大事にはなってなかったか。本当に良かった・・・。もし自分の車内で人が死んだら、普通にトラウマものだからな。それも頭ぶつけて死にましたーとかだったら、申し訳なくて死にたくなるかもしれない。

「私は疲れたから、寝てくる」

 知的子が自分に向き直ってそう言う。おう、了解した。いい夢見ろよー。

「皆も御休み。じゃあね」
『おやすみなさい』
「おやすみねー」
「おやすみなさい。・・・相変わらず、マイペースな子ですねぇ・・・」

 うん、自分もそう思う。

「では、私達も少ししたら寝ますよ」
『えー』
「しかたないよねー。明日も戦いがあるかもしれないし」
「そういう事です」

 そうだなぁ。明日も戦いがあるかもしれない。今の内に、休んでおくべきだろう。自分も、肉体的疲労は無くとも、精神的疲労はある筈。少し休憩しておくに越した事は無い。

 エンジンを回転させ、ゆっくり前進する。村の中央で、こんな鉄の固まりがドンって置いてあったら邪魔にしかならないから。邪魔にならないところに移動しよう。
 何処かいいところあったかな。・・・無いな、村長の家の隣にでも止めとけ。

 突然移動しだした自分に驚くエルフ達だったが、それだけ。騒いだりとか、攻撃したりとか、警戒したりとかは無い。幾らなんでも無用心じゃないですかねぇ・・・。まぁ、それだけ認められているって事だろうし、嫌ではない。あ、そういえば、【エルフの楯】って称号があったな。あれが理由か、成程ね。

 さて、移動も終えたし、寝るとしよう。おやすみなさい。










 時間は深夜。3時位だろうか。宴は既に終わり、寝入っている。まぁ、寝ずの番がいるから、全員が寝ているという訳ではない。だが、それでも村は誰も起きていないのでは無いか、と思う位静寂に包まれていた。

 何故、自分が起きているのか。それは反省をする為だ。
 何の反省か?それは勿論、先の戦いの反省だ。あの戦いは、余りにも反省点がありすぎたから、それを見返るのだ。


 さて、自分の戦いを見返そう。まず第一撃にドレッドノートを叩き込み、それにゴブリンが混乱している中、軍歌”Panzerlied”を流しながら攻撃を開始した。
 これの反省点は特に思いつかない。無理にでも粗を見つけるとすれば、軍歌を流しながらの攻撃だろうか。だがまぁ、使い時は間違っていない筈だ。目立つだろうが、あの時は目立ってなんぼな状態だ。ゴブリンの注目を集める事ができたしな。

 問題は、ここからだ。
 自分は、砲撃と機銃でゴブリンを攻撃し、ジリジリ前進し、逃げ行くゴブリンに追撃をかけた。そして、逃げるゴブリンの内、役100体程のゴブリンの戦士達に肉薄され、完全に無力化された。結局、最後はエルフ達に助けられた。

 ・・・なんとっ!なんと情けない事だろうか!守るべき戦車が、敵歩兵に肉薄され!無力化されただと!?失態!実に失態だ!しかも、その守るべき対象であるエルフ達に最後は助けられたのだ!無様にも程がある。
 エルフ達に助けられるのは別にいい。戦車は守るべき対象である歩兵無しでは、満足に戦えないからな。助け助けられの関係だからだ。だが、今回は助けて貰わなくとも勝てていた筈だ!

 従来、戦車というものは、その長射程を誇る主砲で、遠距離から目標に攻撃する戦い方を基本とする。至近距離での戦いは避けねばならないのだ。その至近距離とは如何程か?そして長距離とは?それは車両性能によって変ってくるが、自分は1000mが長距離、100mで近距離、だと思っている。近距離の範囲は、捉える人によって変ってくるので、曖昧だな。ドイツのエースには2000mで当てる化け物がいるが、あんなのと比べられたら真剣に困るだけだ。

 とまぁ、近距離での戦いはできるだけ避けたほうがいい。にも関わらず!自分はゴブリンとの戦闘で近距離、いや、超至近距離と言ったほうが良いだろう。そんな距離で戦ってしまったのだ。それも!自分から距離を詰めた!もしあの時、自分以外にも歩兵が随伴していたなら、あの選択は間違ってはいない。だが!あの時自分に随伴歩兵なんていなかった!それなのに前に出た!これが結果的にゴブリンの肉薄に繋がり、無力化という無様な結果になって現れた。

 次は、こんな事がないように気をつけなければいけない。今回はエルフ達に助けられてどうにかなったが、次も同じ様に上手くいくとは限らない。戦車として戦ってるからには、守る者を守る為、このような事を起こりえないようにしなくてはならないのだ。非戦闘員は勿論、仲間を、大事なものを守るためにも。

 後は、もしそんな至近距離戦が起きた時の対策だろうか。うむ、やはりSミーネが欲しいな。できたら煙幕も欲しい所だ。まぁ、今は無理だ。だが、Sミーネも煙幕も、後半のドイツ戦車なら完備されている。時間が解決してくれるだろう。

 ふぅ・・・。これ位だろうか。今の所はこれ位しか浮かばないな。だが、一番大事な事はちゃんと捉えたと思う。以上の事を心に刻み、次の戦いに備えるとしよう。
 じゃ、次こそ本当におやすみなさい、だ。
 火魔法を控えに、目星をメインにしておく事は忘れない。






 新しい朝が来た。ゲームを始めて13日目、今日も希望の朝だといいな。大体5時位かな?日の光も木々のお陰で殆ど届いていない。
 朝一のエンジンは煩い。霧が漂う村に、音が溶け込む。
 当たり前だが。高速で回転し出すマイバッハ製HL120TRMの、12の気筒が高速で4ストロークを繰り返す。気筒内で吸入・圧縮・燃焼・排気を高速で繰り返しているのだ、煩くない筈がない。だが、その騒音は装甲とマフラーによって小さいから、そんなに煩い訳ではない・・・と、思いたい。

 暫く暖機運転を続けていると、知的子がやってきた。こんな朝早くからかとは、早起きだな。確か、彼女はそんな早起きでないと聞いたのだが。

「おはよう」

 おはよう。そういえば、彼女の名前、まだ知らないな。何時になったら知ることができるのだろうか。

「今日は無理矢理起こされた。散歩行こうって」

 成程、あの四人に起こされたか。それなら仕方ないな。
 それにしても、こんな朝早くから散歩に行くのか。村はまだ霧に包まれているから、ちょっと驚きだ。

「・・・ふぅ」

 車体を登り、砲塔の上に行こうとするので、キューポラを開けてやる。予想通り、車内に入る彼女。そこ、定位置になってきてるな。

「・・・じゃ、行こう」

 ん?何処にだ?・・・もしかして、散歩か?

「村の入り口で皆が待ってるから、そこに向かって」

 うん、どうやらそうみたいだな。しかし、ゴブリンが攻めてきてまだ一日しか経ってないのに、散歩するのか。肝が据わってるのか、能天気なのか。いや、美人さんことコリーさんがいるから、そういう訳ではない筈だ。あの人、バカには見えないしね。
 と、いう事は、自分が同伴すれば散歩していいよって事だろうか?それなら納得だな。というか、これ以外思いつかない。

「ほら、早く」

 おっと、思考に浸かりすぎたか。急がないとお姫様がヘソを曲げてしまうな。行くとするか。
 暖機運転は既に終わった。後は動くだけだ。エンジンの回転を、変速機に送り込む。変速機が回転しだし、高速低トルクを低速高トルクへと変換していく。ガガガッと金属が噛み合う音と共に、車体が進み出した。

 まだ霧に包まれた村を進んでいく。車内から出てきて、キューポラに腰かける彼女は上機嫌だ。

 うむ、これは良い朝、だな。

 パンツァー 四号戦車D型 lv 16
 状態 車外装備品紛失

 攻撃力 7.5cm kwk 38 L24 戦車砲
     7.92mm MG34機関銃×2(同軸機銃・車載機銃

 砲塔装甲 正面30mm
      側面20mm
      背面20mm
      上面10mm
 車体装甲 正面30mm
      側面20mm
      背面20mm
      上面12mm

 速度 40km/h 300ps
 重量 20.00t

称号
・陸戦の王者
・エルフの楯
・ワールドクエスト発見者
・貢献した者
・新型受領

スキル
・目星 6lv
・拡大眼 6lv
・熱源探知 7lv
・音源探知 5lv
・マッピング 8lv
・風魔法 2lv
・放送 1lv
・迷彩 3lv
・隠密 4lv
・不整地走破 2lv

控え
・火魔法 1lv

小言(17/2/4)
”出発準備”の、5人のエルフの描写に変更を加えました。
+注意+
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