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進め戦車よ!VRなど恐るるに足らず! 作者:トクメイさん

Es braust unser Panzer Im Sturmwind dahin.

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戦車は単機であってはならない

 現状は至って良好。逃げ往くゴブリンの背中に鉛球を、送りオオカミ的に叩き込むだけの、簡単な作業だ。ここで注意しないといけないのは、反対側にいるエルフ達に当たらないように、やや下向きに撃たないといけないという事。拳銃とかの9mmパラベラム弾なら兎も角、自分が今ばら撒いている7.92mmモーゼル弾は、9mmパラベラム弾とは比べ物にならない火力だ。、弾丸の直径こそ小さいが、貫通力と破壊力は圧倒的に7.92mmモーゼル弾が上なのだ。注意しないとゴブリンごと屠りかねない。
 7.5cmもそうだ。これはもっと使い所に気をつけないといけない。何たって、これは大砲だ。爆発の範囲は広範囲に及ぶ。使用は控え、機銃をメイン武器とする。

 煌びやかな光が飛んでいく。だが、それは弾薬ベルトに含まれる曳光弾の、死を帯びた光である。その光は、魔弾の射手に弾丸の行き先を教える道先案内人である。だが、ゴブリンとの距離はそこまで離れていない。案内など要らない。角度にさえ気をつけて撃てば、次々当たるのだから。
 倒れていくゴブリン。貫通し、地面へ突き刺さる血塗れた弾丸。立ち上る土煙。全ては自分がやった。これが、戦車の戦闘力なのだ。

「・・・うぅ、まだ続いてる・・・」

 申し訳ないが、終わるまで待っていてくれ。なに、すぐ終わらせる。安心していいぞ。


 大体、どれ位倒しただろうか。逃げたのもいるだろうし、主砲を好き放題撃ててないから、そんなに倒してはいないと思う。まぁ、あとで死体を数えればいいのだけれども。
 ・・・おや、ゴブリンの動きが変った。今まで森へ逃げる為に背中を向けていた連中のうち、何体かが反転してこちらへ突っ込んで来る。・・・なにが目的だ?勝てない事は判っている筈なのに。あれか?殿か?追撃を防ぐ為に、囮になるつもりなのか?まぁ、どうでもいい。どちらにしろ、何体か逃がすつもりだったしな。

 向かってくる集団・・・中隊規模、100位だろうか。雄たけびを挙げながら、此方へ突っ込んで来るゴブリン・・・いや、戦士達。砲塔と車体をその集団へと向け、体勢を整える。そして、主砲を撃ち込む。突っ込んで来る戦士達は、もともと森に逃げていた為、射線上にエルフはいない。お構いなく撃てる。着弾地点は戦士達の丁度目の前だった。


 榴弾というのは、爆発や破片でソフトターゲット、つまりは人や軽装甲目標などの、十分な装甲が施されていない目標を攻撃する為の砲弾だ。だが、その榴弾に付いている信管は、人間に当たった程度では発動しない。そのまま反対へ貫通して、運動エネルギー弾よろしく、当たった人間をミンチにするだけだ。
 そして、ゴブリンに当たっても、爆発しないでミンチにするだけだ。だったらどうするか。簡単だ、手前に落せばいい。


「まっ、また爆発!?」

 先頭のゴブリンの手前に着弾した榴弾は、硬い地面に当たった事で信管が作動し、起爆。一帯を爆発と破片の嵐が襲った。破片がゴブリンの戦士を切り裂き、突き破る。爆風がゴブリンを吹き飛ばし、ミンチに変える。そして、榴弾の威力は地形をも変える。
 爆発によって凹んだ地面へ、無事だった後続のゴブリン達が転げ落ちていく。そこへ機銃を撃ち込み、一網打尽にする。

 が、それでも止まらない。100もの数の戦士達を、この程度では倒せない!
 主砲を装填している間、機銃で応戦するが、突撃を抑える事が出来ないっ。このままでは側面に付かれるぞ・・・。ちっ、仕方ない!

 ギアを変え、全速前進だ!変速機から歯車が噛み合う音と共に、車体が前へ押し出される。どうせ後退しても追いつかれる、ならば前に出るしかないだろう!正面の敵を、車体と砲塔の機銃で攻撃しながら前進する。瞬く間に彼我の距離が狭まる。先頭のゴブリンが、体当たりの体勢を取ったのが見えた。そして、ぶつかる。

「ひゃあっ!?」

 肉が弾ける音。金属同士がぶつかる音と共に、緑色の鮮血が宙を舞う。勝ったのは戦車だった。当たり前だ、何トンあると思っている!後続もそのままの勢いで吹き飛ばし、進み、進み・・・そして止められた。くそっ、幾度もの体当たりで、運動エネルギーが低下した自分を、何十体ものゴブリンが抑えている。くそっ、止められてしまったか!だが、何のこれしき!
 車体正面に装備された機銃で、止めているゴブリンを撃ち倒す。倒す度に、その死体が白い粒子に・・・ならない!?何故だ!?今までのmobは倒したら白い粒子になっていたのに・・・くそっ、考えるのは後だ。ほぼ零距離だが、構うものか!主砲を撃つ。

「うぐっ!?」

 至近距離から放たれた主砲が、何体ものゴブリンを突き破り、そしてようやく起爆した。爆発が自分を止めていたゴブリンを吹き飛ばし、正面の視界が開かれる。ただ、やはり至近距離で起爆した為、此方にもその爆風と破片が、少なからず襲い掛かった。が、特に被害は無い。破片が装甲を削った程度だ。それよりも、もっと大きな問題がある。

 短時間とはいえ、自分は動きを止められていた。そんな短時間でも、包囲するには十分な時間だ。そう、自分はゴブリンに包囲されてしまったのだ!
 ぐぬぬ、やはり戦車は単機では弱いかっ!しかし、まだまだ負けと決まった訳ではない!まだ戦える!

 正面は、車載機銃でどうにかできる。ゴブリンもそれを判っているらしく、機銃の正面には絶対に立たない。対し、機銃の無い側背面はどうしようもない。ゴブリンも当然それを知っているから、側背面に集中し、逃がさないと組み付いてくる。くそっ、引き剥がせん!300馬力だぞ!?それで引き剥がせないとは・・・それだけゴブリンの力が強いのか、それとも数のせいか。恐らく数だろうな。個々の力もそれなりだろうが、やはり数だろう。

 どうやら、ゴブリン達の力では、四号の装甲を貫けないようだ。殴られても、蹴られても、振り下ろされても、四号の装甲は貫かれない。だが、それは装甲化されている場所の話。装甲化されていない、スコップやら斧やらの車外装備品が、攻撃でどんどん剥がされていく。くそう、Sミーネがこんなに欲しいと思ったのは初めてだぞゴブリン!幸い、マフラーやらの熱々な所は近寄れないらしく無事だが、安心はできん。
 車体をよじ登ってくるゴブリン。砲塔を旋回させ、機銃で攻撃するが、砲塔が回ってくる度に射線から逃れていく。ぐぬぬ、ゴブリンといえども学習する。射線に立つ=死という公式を理解したか。
 うーむ、どうしようもない。いや、方法はあるのだろうが、全く思いつかない。どうしようか・・・。

 あっ、ちょ、不味い不味い!止めろ、そこは脆いんだ!機関部上面のエンジングリルへ攻撃し始めやがった!そこエンジンを冷却する為の場所だから、高温な筈なんだけどなぁ!熱に構わず、剣で攻撃してやがる。
 そのまま続けられると思ったか?砲塔を真後ろまで旋回させ、機銃で薙ぎ払う。流石に危険を察したらしく、車体から急いで降り、死角に隠れる。くそっ、鬱陶しいなぁこん畜生!これでも食らえ!
 主砲を撃つ。勿論砲弾はゴブリンに当たらず、森へ消えていく。だが、主砲発射時に生じる爆風が目的だ。砲弾を撃ちだす為の装薬で吹き飛ばす。が、ゴブリン達は悲鳴こそあげたがそれだけ。逃げたり死んだりはしない。ぐぬぬ、7.5cm kwk 38 L24は元々、歩兵を支援する為の砲で、対戦車を目的とした砲じゃない。だから、砲弾を撃ちだす為の装薬の量も少ない。威力不足か!人間だったら十分殺傷できる威力の筈なんだがなぁ!


 ぐぬぬ、動こうにも履帯に組み付かれててどうしようもない。主砲や機銃は死角に入られて効果なし。うむ、万策尽きたか。幾ら陸戦の王者と言えども、随伴歩兵や仲間の戦車が居なくては弱い、という事か。うーむ、戦車をとは言わないから、随伴歩兵が欲しい。確かに、戦車である自分は、強力な火力・優秀な防御・迅速な機動を兼ね備えている。だが、所詮はその程度で、今みたいに、数の前には無力だ。
 よく、「戦車は歩兵で倒せる」とかいう不毛な議論があったが、あれは”一人”だったり、”1対1”だったらの話で、今みたいに、”1対多”の場合は、確かに歩兵で倒せるな。

 極端な話だが、もし、戦車に半径数kmの範囲を吹き飛ばすような、まるでリトルボーイやらファットマン、ツァーリ・ボンバ、デイビー・クロケットのような絶大な火力と面制圧能力があれば、随伴歩兵なんて要らないだろう。向かってくる敵に対し、核並みの威力を持つ砲弾をぶち込むという非効率極まりない事をすればいい。だが、実際そんな事はできない。危険極まりないからだ。まぁ、他にも理由はあるけども。

 現実逃避だが、思わずには居られない。戦車をとは言わない。だから、随伴歩兵を!ってね。・・・うん、独りじゃ無理だ、な!?
 なんだなんだ!?何か強い衝撃があったぞ!?このゴブリン共、なにをしや――

 自分に組み付き、離れないゴブリン。それらに突き刺さる無数の矢。深く、そして一本も外れずに突き刺さっているそれらは、確実にゴブリンの命を奪っていた。

「いけぇええい!突撃だぁあ!」
『うぉおおお!』

 ・・・どうやら、自分は独りではなかったようだ。自分には、森の戦士達が付いているではないか。何も、恐れる事は無い。
 パンツァー 四号戦車D型 lv 16 up!
 状態 車外装備品紛失

 攻撃力 7.5cm kwk 38 L24 戦車砲
     7.92mm MG34機関銃×2(同軸機銃・車載機銃

 砲塔装甲 正面30mm
      側面20mm
      背面20mm
      上面10mm
 車体装甲 正面30mm
      側面20mm
      背面20mm
      上面12mm

 速度 40km/h 300ps
 重量 20.00t

称号
・陸戦の王者
・エルフの楯
・ワールドクエスト発見者
・貢献した者
・新型受領

スキル
・目星 6lv
・拡大眼 6lv
・熱源探知 7lv
・音源探知 5lv
・マッピング 8lv
・風魔法 2lv
・放送 1lv
・迷彩 3lv
・隠密 4lv
・不整地走破 2lv

控え
・火魔法 1lv


小言
絵が欲しいこの頃。やっぱ、四号の見た目知らない人とかいそうですしね(検索すればいいだけなんですが)。
誰か描いてください(唐突)。
因みに、核砲弾ってのが存在しまして、でかいもので406mm、小さいもので155mm程。もしかしたら戦車砲から撃てるのが作れるかもしれませんね(デイビー・クロケットなんて102mmっすからね)。
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