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進め戦車よ!VRなど恐るるに足らず! 作者:トクメイさん

Es braust unser Panzer Im Sturmwind dahin.

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大きな決意

風吹きすさぶ雪の夜も
太陽輝く炎天も
埃にまみれて
我が意気は天を衝く
進めよパンツァ-
嵐越え

作詞 猪川小砂(Panzerkeil) 監修 odessa
協力:軍事史通信HARUNA&ハルナネット
 お早う御座います。メインシステム、戦闘モード起動。作戦行動再開・・・なんてね。茶番はこれ位にして。
 空が白み始めると同時に、エンジンに火を入れる。二号に比べて、出力が高いエンジン、マイバッハHL120TRMの腹に響く音が、今まで静寂に包まれていた森を支配する。霧が視界にぼんやりと浮かぶ中、一両の鉄の怪物が目覚めたのだ。

 エンジンからの振動で、中にいるお客さんも目を覚ます。ハッチというハッチを全て開放し、ついでにクラッペ(装甲化された小さな窓の様なもの)も開放する。あらゆる箇所が開放された為、車内に早朝特有の冷気が入り込む。

「寒いっ!」

 知ってる。これで目が覚めただろう。よし、彼女も起きた事だし、さっさと出発するとしよう。2時間もあれば辿り着けるのだ、問題は無い。では、往くぞ。

 暖機運転はあんまりできていないが、それ程問題にはならない。いきなり最高出力で動かす訳じゃないからな。巡航速度って奴で進む。ゆっくり回転速度を上げていき、エンジンに負担が掛からないように動かす。キュラキュラと履帯が気持ちよい音が、エンジンの低い音に混じって、小さく響く。最近の戦車は、あんまりこういう音は出ないから、聞いてて気持ちが良い。
 幅と長さが増えた履帯が、森特有の柔らかい土に沈み込む。ゆっくりと、ゆっくりと前進していく。次第に速度を上げていき、暖気運転を済ませる。幸い、大きくなった自分でも何とか動ける程度のスペースはある。まぁ、二号の時に比べれば圧倒的に通り難いが、通れないという訳ではない。我慢して進む。
 時々、根っこだったり枝だったりを踏み潰しながら進む。その度に「パキッ」やら「バキッ」って音がするが、これもまた戦車の醍醐味みたいなものだ。まれ「ピシッ」って音もする。これは石を踏み潰した時のだと思うが、聞く度に背筋を冷たいものが走る。どこか壊れたのかとビビってしまうのだ。まぁ、少ししたら慣れるだろうけども。




 さて、大体1時間程、愚直に真っ直ぐ進んだ。早速、音源探知のスキルが発動している。視界に小さな波紋がでているのだ。
 ・・・うむ、これは何か起きてるな。マップと照らし合わせたら、その先は村なのは確かだ。・・・思い浮かぶとすれば、やはりそれはゴブリンだろう。連中が村を攻めていると考えるのが普通だ。あと道のり約1時間、急いで駆けつけなければならない。

 近づくに連れて、波紋も大きくなってくる。知的少女も、この音を捕らえているようだ。

「・・・何かが燃えてる音、叫び声、金属音・・・戦ってる」

 これは十中八九ゴブリンと戦っているな。しかし、実際に火を放ったのか。幾ら周りがある程度広場とはいえ、森の中で火を放つ、か。彼らはエルフだ、その事がどの様な事かは判っている筈だ。それ程の軍勢なのだろうか。


 近づく。近づく。近づく。もう、視界には波紋だけでなく熱源も現れ始めた。始めは小さかったその熱源は、今は横方向に大きく広がった反応になっている。やはり、かなりの軍勢だ。恐らく、自分達を襲ったゴブリンは一部に過ぎなかったんだろう。流石に師団規模って事は無いだろうが、大隊か連隊はあると考えていいと思う。

 ・・・見えた!目視したできたぞ。・・・やはり、多い。大隊規模は確実にあるな。槍で装備したゴブリンが多い印象だ。その後ろに魔法使いが布陣して、更に後ろ・・・つまり自分の前にやけに整っている装備を着込んでいるのが数体。十中八九、指揮系統だろう。もしかしたら指令官クラスも混じっているかもしれない。木々の隙間から覗き込む形なので、確りは各印できない。これ以上近づくと見つかる可能性もあるから、此処で一端停車する。
 取り合えず、知的少女を車内に押し込む。キューポラを閉じ、クラッペを降ろす。これで安全は確保できた。

「・・・何故攻撃しない?今なら奇襲できるのに」

 まぁ、待て。観察してからでも遅くは無い。彼を知れば百戦殆うからず、だったか?孫子もそう言っているしな。・・・見た感じ、かなり統制が取れている。指揮系統も確りしているみたいだ。もう、群れやら烏合の勢とは言えないな。完全に軍だ。
 現在、ゴブリン達は、既に亡骸となったゴブリンを盾に、ゆっくりと、だが確実に進んでいる。油の炎も無理矢理越えている。人には取り難い方法だが、確実な方法だ。被害を度外視しているが、ゴブリンにもそれなりに頭の回るのがいるらしいな。

 指揮統制が行き届き、それを指揮する者の意思を元に行動を起こす集団は、大体はその指揮をする者、つまりは指揮系統をやられれると、総じて弱いものだ。その為、敵の軍の指揮系統は優先して破壊されるし、敵もそれを判っているから、危険に晒されないように後方にそれを置き、防備し、対策をする。
 だが、その指揮系統をやられれば、軍勢は忽ち遊軍と化し、それらは同じく指揮統制が行き届いた軍勢の前には無力に等しく、各個撃破されていく。つまり自分が言いたいのは、”頭が死ねば戦い易いね”って事だ。
 そして今、その敵の頭が目の前、それも手の届く距離にいる。・・・潰さない手は無いだろう。

 主砲、榴弾を装填。信管遅延なし。目標、敵の指揮系統と思わしき集団。・・・装填終了、直ぐに発砲が可能だ。さて、何か忘れている事は無いだろうか。これから戦うのだ、「あぁしておけばよかった!」なんて事態は避けたい。・・・あぁ、危ない危ない。やり残していた事があった。


 スキル”放送”を使用します。曲名を検索してください
                            』

 視界に、この表示と検索欄が現れる。ここに曲名を入れれば良い訳か。さて・・・よし、あった。これにしようか。さて、どうなる?


 軍歌”Panzerlied”を放送します。以下の項目を設定してください。

 ・何番まで流すか
 ・リピート
                                』

 あ、こんなのも設定できるのか、ほー。じゃあ、取り合えず一番まで流すか。リピートは有効で・・・っと。あれ、これ何処かの映画で見たような・・・。まぁ、いいか。


 設定が完了しました。再生ボタンを押して下さい。
 効果 士気向上
                        』

 ふむ、今の所は士気だけか。恐らく、レベルアップで効果が増えていくのだろう。あとは流すタイミング、だが・・・撃った後だな。突然の砲撃に呆然として静かになった戦場に、堂々流れ出すPanzerlied。最高じゃないか!

 後一つ。初弾は魔法を使おう。どうせ奇襲なんだ、一撃目は余裕を持って攻撃できる。だが、今自分が使える唯一の攻撃系魔法、”マズルブースター”は、弾速を上げるだけで、榴弾を撃つならそれ程意味が無い。その為・・・新しい魔法を作るとする。
 作るのは、榴弾の爆発を拡大して、より広範囲を吹き飛ばす魔法。イメージは・・・イメージは・・・KV!そう、KV-2だ!主砲152mm榴弾砲!あらゆるものを吹き飛ばすと言わんばかりのあの威力!あれをイメージしようじゃないか!控えにある火魔法と今は使わない目星を交換し、直ぐにウィンドウを展開する。あとは作るだけだ。
 ・・・お!上手くいったみたいだ。どれどれ・・・

 火・風魔法・??? □□□□■■■■■■

 おぉ!上手くいった!しかし、消費量多くないかね!?マズルブースターは2つだったぞ。・・・と、いう事は、それ程の威力という事か。楽しみである。
 名前は・・・KV-2にちなんで、”ドレッドノート”としよう。元ネタの、戦艦のような威力を期待しようか。

 火・風魔法・ドレッドノート □□□□■■■■■■



 さて、機は熟した。砲弾は装填され、魔法も準備万全。エンジンは快調極まりない。同軸機銃には7.92mmの鉄雨が装填され、敵に降り注ぐのを今か今かと待っている。

 さぁ、戦いの始まりと行こう。静かに、撃鉄を下ろした。

 自分の主砲である”7.5cm kwk 38 L24 戦車砲”は、後々登場する砲に比べれば、圧倒的に非力だ。理由は単純に、貫徹力が無いから。支援用に作られたこの砲は、対戦車戦闘には向いていなかった。だが、敵が戦車じゃないなら十分すぎる威力を持っている。

 炸薬を内に秘めた7.5cmの砲弾は、真っ直ぐ突き進む。音を追い抜き、大気の壁を突き破り、突き進む。
 一瞬で距離を詰めたその砲弾が行き着いた場所は、敵の真横だった。ゴブリンの真横に着弾したそれは、遅延がされていない信管が起動した事によって起爆。辺り一帯を爆発でもって蹂躪した。それは正しく、KV-2のような威力であった。地面ごと引っくり返し、ゴブリンは空へ吹き飛ばされる。爆圧がゴブリンを粉々に吹き飛ばし、破片は何体も貫通して、地面に突き刺さってやっと止まる。消費量に見合うだけの、威力が確かにあった。

 砲声と爆発。それらはほぼ同時に轟いた。突然の爆発、爆音、爆風に、混乱し思考が停止するゴブリンにエルフ達。彼ら彼女等は、聴いた事も見た事も無いこの現象に動揺を隠せないでいる。当たり前だ、その跡地は、クレーターができているのだから。



 そんな中、この曲が流れ出すのだ。流れ出すわけだ!


 Ob's stürmt oder schneit, (例え、嵐が吹雪が来ようとも)


 エンジンを一気に高回転にする。履帯が回りだし、重い車体を前へ押し出す。


 Ob die Sonne uns lacht,(身を焦がす日差しを浴びようとも)


 森から抜ける。日差しが降り注ぎ、薄汚れた装甲が鈍く輝く!


 Der Tag glühend heiß (灼熱の昼間も)


 堂々敵前に現れ、ゴブリン、エルフの視線が自分に集まるのが手に取る様に判る。その全ての視線を無視し、行動に移る。即ち、蹂躪を行う!



 Oder eiskalt die Nacht.(身を切る極寒の夜も)


 既に装填を済ました主砲を撃ち込み敵を吹き飛ばす。初弾に比べれば弱いが、それは十分な威力を持っていた。空中高く放り上げられるゴブリン、横方向に吹き飛び味方を巻き込むゴブリン、爆圧で爆風で破片で体をズタズタにされるゴブリン。全てはこの一発が起こした!


 Bestaubt sind die Gesichter,(埃にまみれて)


 手前から、薙ぎ払うように7.92mmの鉄雨を注ぐ。砲撃と、機銃に驚き、恐怖し、逃げ出す。ハッ、tiger恐怖症ならぬ四号恐怖症か?まぁ、どちらにしろ逃亡兵は銃殺である。


 Doch froh ist unser Sinn,(我が意気は天を衝く!)


 逃げ往く彼らに、無慈悲に鉄の雨を注ぐ。右から左へ。左から右へと薙ぎ払い、そして進む。進む。進む!


 Ist unser Sinn; (そう!それこそ我らが意気!)


 なんども、なんども、機銃と主砲を放ち、ゆっくりと進んでいく。まるで、己の縄張りをじりじり広げていくかのように・・・!


 Es braust unser Panzer (進めよ戦車!)


 今、自分は確かに感じている。この衝撃!この爆音!この爆風!全てが戦車故に起こせる物だっ!


 Im Sturmwind dahin.(嵐越え)


 己が、戦車であることを理解していた。そう、そう、そう!自分は戦車なのだ!味方に先駆け突撃し、敵が立ち塞がろうともこれに突撃し、敵陣深く突き進む!地雷原であろうと、パックフロントであろうと、先陣を勤め、そして、鉄の墓標となるのだ。

 さぁ、往こうじゃないか!我らの勝利を信じて。
 例えこの先に、困難が待ち構えていようと!味方に先駆け敵陣へ切り込むのみ!
 その脅威に身を晒されようとも!これを笑い飛ばして突き進むのみ!

 そして・・・運命に見放されるのならば!魔弾と化して燃え尽きるのみだ。


 まだまだ、これは序盤に過ぎない。始まっただけだ。これから、どんな戦いが待っているかはわからない。だから、今はこの戦いに専念するとするとしよう・・・!

 panzer vor!(戦車前進!)










 Es braust unser Panzer (進めよ戦車)
 Im Sturmwind dahin.(嵐越え)

 うーん。今回のはどうでしょうか。どこかおかしかったり、盛り上がりに欠けてる場所が無いといいのですが・・・。

 パンツァー 四号戦車D型 lv 16 up!
 状態 車外装備品紛失

 攻撃力 7.5cm kwk 38 L24 戦車砲
     7.92mm MG34機関銃×2(同軸機銃・車載機銃

 砲塔装甲 正面30mm
      側面20mm
      背面20mm
      上面10mm
 車体装甲 正面30mm
      側面20mm
      背面20mm
      上面12mm

 速度 40km/h 300ps
 重量 20.00t

称号
・陸戦の王者
・エルフの楯
・ワールドクエスト発見者
・貢献した者
・新型受領

スキル
・拡大眼 6lv
・熱源探知 7lv
・音源探知 5lv
・マッピング 8lv
・風魔法 2lv
・火魔法 1lv
・放送 1lv
・迷彩 3lv
・隠密 4lv
・不整地走破 2lv

控え
・目星 6lv
+注意+
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