挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
進め戦車よ!VRなど恐るるに足らず! 作者:トクメイさん

Es braust unser Panzer Im Sturmwind dahin.

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

24/55

ちょっとした決意

今回は少々短いっす。
「・・・え?」

 車内で可愛らしい声が聞こえる。そういえば知的少女が乗っていたんだった。すっかり忘れていた。
 どうやらとても驚いている様子。そりゃそうだ、いきなり光に包まれたと思ったら周りの様子がまったく違ってたんだからな。まぁ、二号と四号では広さがまったく違うからな。三人乗りと五人乗りでは差が歴然だ。因みに、二号は車長兼砲手、操縦手、無線手の三名。四号は車長、砲手、操縦手、無線手、装填手の五名である。

 取り合えず、キューポラのハッチを開けて外へ促すとしよう。戦闘も終わったしね。

「・・・えぇ?」

 開かれたキューポラからピョコッって感じで顔を出す少女。多分、二号に比べて頭の高さも上がっている筈。高さも四号の方が大きいからな。

「なんか、なんか・・・変ってる」

 うん、何が起こったのか判らないって表情だな。だろうね、自分も同じ状況だったらそんな顔すると思う。
 一旦停止して、休憩するとしよう。そういえば、蜂に対して有効な攻撃が熱殺だけだったから、そこそこの時間が経っている。その間、ずっと車内に篭ってたからな。疲労が貯まっているだろう。

 止まると同時に、少女が車内から出てくる。砲塔の天板に立ち、四号に成った自分を見下ろす。

「・・・見た目変ってる」

 そうだろうそうだろう。二号に比べると全然違うだろう。より強そうな見た目になっていると思う。二号も可愛い見た目なんだが、かっこよさではやはり四号だろうなぁ。

「・・・あれ、直ってる」

 7.5cm砲を触りながら少女が言う。うむ、貧弱な2cm機関砲からより強力になった。恐らく、成長時に全部直ったんだろうね。側面の部分も直っているし。これはとても有り難い。

「・・・何故?」

 そういう種族だからです。



「・・・何かが向かってくるっ」

 何?敵か?警戒する。

 捉えた。熱源と音源が近づいてくるな。ただ、今までと様子。あの角度・・・木の上か?どちらにしろ、敵なのは確実なので、砲塔をその方角へ向けておく。
 ふむ、中々の速度で接近してきている。木登りが得意なモンスターか。だとすると猿だろうか。

 ・・・可笑しい。あの速度で木の上を移動していたら、木の軋む音や折れる音がする筈だ。

 あの角度・・・木の上じゃない!上空だ!
 すぐさまその方角へ機銃掃射を行う。不味い不味い!戦車は航空勢力に滅法弱い!流石に戦闘爆撃機(ヤーボ)ではないだろうが、どちらにしろ不味い!対空機銃なんて積んでないから直上を取られたらどうしようもなくなる!

「きゃっ!?」

 驚いている暇があるなら早く車内に入るんだ!ハッチは開けっ放しだ!
 自分の突然の行動に驚いた少女だが、直ぐに車内へ入る。危険を察した様子だ。
 よし非戦闘員の避難を確認!いきなりだが早速主砲を使うとしよう。目標は空中、視界には木々が邪魔で写っていない。ならば薙ぎ倒すまでだ。
 弾種榴弾!信管一秒遅延!
 榴弾は爆発する砲弾。それで木々を薙ぎ倒す。一秒遅延は木々のど真ん中で起爆させる為だ。これで視界が開ける筈。

「・・・何これ?」

 車内では、砲弾が空に浮かび、独りでに薬室へ装填されるという摩訶不思議な光景が行われている。うむ、実に不思議だが、正直考えている余裕が無い。

 ・・・よし装填完了、ファイア!

 今までの砲撃音とは桁違いの爆音と共に、大量の炸薬を内包する7.5cmの巨弾が大気を劈く。直ぐ目の前の木へぶち当たり、一秒と満たない内に突き破ってしまう。そのまま二本目へぶち当たった所で、時間の一秒が経った。

 爆発。それは爆発だった。今までの2cmの爆発が火花の様に小さく儚いものに見える程、それは爆発だった。その爆発は爆圧として大気を吹き飛ばし、吹き飛ばされた大気は爆風と化して木々を薙ぎ倒す。つい先程まで青々と生い茂っていた森林の一角が、忽ち伐採後の光景に変わり果てた。

 2cmではとてもできないその光景に、自分は――

(・・・素晴らしい!)

 感動した。素晴らしい!実に素晴らしい!とてもとても素晴らしい火力だ!やはり戦車はいや、戦車砲はこうでなくては!

「こ、こんどはなに!?」

 おぉ。申し訳ないが暫く爆音がなり続けるだろうな。次弾を装填しつつ、敵が向かってくる方角へ注意を向ける。

 ・・・あれ?反応が離れていく。おやおや?敵前逃亡であるか?敵前逃亡は銃殺刑に懲罰大隊、シベリア送りが基本だが・・・。

 ・・・。

 ・・・・・・。

 ・・・・・・・・・。

 あれ?本当に逃げた?






 どうやら敵は7.5cmの爆音に尻尾を巻いて逃げ出したようだ。なんとも呆気ない。爆発程度で逃げるとは・・・。まぁ、逃げてくれた方がこちらとしては有り難いのだけれども。

 さぁ、気を取り直して帰路に着こう。考えててもしょうがないし、冷静に考えてみると、先程の爆発音で他のmobが集まってくるかもしれない。戦わないに越した事は無いから、逃げる意味合いも含めて移動する。

 んー、爆発で逃げる、か・・・。ありえなくは無い、な。初めて聞くだろうし。成程、このゲームのmobはその辺りも再現されているのか。いつか活用するかもしれないから、頭の片隅にでも置いておこうか。爆竹とか作れたら面白そうだな。

「・・・木が・・・」

 ハッチから顔を出して、森の一角を見た少女が言葉を漏らす。うむ、酷い光景だよな。敵は逃げたし、無駄な事だった。起きた事は仕方ないが、我ながら酷い事をしたと少々胸が痛むが、気にしない事にする。仕方ないからね。








 あれから暫く。暗くなったので休憩する事にした。車内が広くなったので、二号に比べれば寝やすいのだろう。少女は既に寝入っている。
 マップを見る。村までは・・・直線距離であと2時間もあれば辿り着けるか。意外に早いな。まぁ、探索時と違ってゆっくりじゃないし、真っ直ぐ村へ向かってるから、当たり前か。

 ・・・今日でゲームを始めて12日目。早いものだな。そういえば未だに一回もログアウトしてないな。まぁ、まだするつもりは無いが。思考加速でゲーム内では時間の流れが速い。ログアウトしてる間にこっちでは朝になってるかもしれない・・・ってのもあるが、一番の理由は――

 もし、自分がログアウトしている間に何かがあったら。

 ログアウトしたら、やはりプレイヤーの体は消えるのだろう。そしたら、彼女はどうなるか。この森の中、一人放置される事になる。それはいかん。絶対に駄目だ。避けねばならない未来である。故に、ログアウトする訳には行かない。ログアウトする、それ即ち彼女を危険に晒すと同然なのであるから。ほんの少しでもログアウトすると、その少しの時間がゲーム内では何倍にも引き延ばされ、その分だけ、彼女に脅威が迫るのだ。そして、その脅威は彼女以外にも迫る。双子や元気っこ、美人さん。そしてエルフの村が、脅威に晒されるのだ。その脅威に晒される時間を、少しでも減らす為に、そして守る為に、自分は直ぐに戻らねば成らない。その為にはログアウトなどと悠長な事はやってられない。
 うーむ。こうやっている間も村に危機が迫ってるかもしれないのだ。今すぐにでも前進を再開し、駆けつけたい。だが、自分は大丈夫でも彼女の体力的に無理がある。
 ぐぬぬ、焦る気持ちを自覚する。できる事なら、早く村へ戻りたい。回復した交戦能力で、ゴブリンを壊滅したい。しかたない、と理解しつつも、やはり気持ち的にはどうしようもないのだ。

 ・・・よし、ログアウトするのは、エルフの村が安全だと思える状態。つまりは、目立つ外的脅威のゴブリンを葬るまでは、ログアウトはしない事に決めた。

 はやる気持ちと、ちょっとした決意を胸に、夜を過ごした。






 パンツァー 四号戦車D型 lv 15

 攻撃力 7.5cm kwk 38 L24 戦車砲
     7.92mm MG34機関銃×2(同軸機銃・車載機銃

 砲塔装甲 正面30mm
      側面20mm
      背面20mm
      上面10mm
 車体装甲 正面30mm
      側面20mm
      背面20mm
      上面12mm

 速度 40km/h 300ps
 重量 20.00t

称号
・陸戦の王者
・エルフの楯
・ワールドクエスト発見者
・貢献した者
・新型受領

スキル
・目星 6lv
・拡大眼 6lv
・熱源探知 7lv up!
・音源探知 5lv up!
・マッピング 8lv
・風魔法 2lv
・放送 1lv
・迷彩 3lv
・隠密 4lv
・不整地走破 2lv

控え
・火魔法 1lv
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ