挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
非幸福者同盟 作者:相羽裕司

第四話「サヨナラの色」(前)

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

81/257

81/優れた人間

 陸奥が戦艦という一体の強固な存在と、無数の生物群という構図の戦いを行っている間、ジョーの方では一人の生物と一人の生物の戦いが開始されようとしていた。

天魔(てんま)総一郎(そういちろう)だ」

 ネクタイを外して宙に放った「この街で最も優れた男」が自身の名を名乗る。ジョーは違和感を覚えた。超女王の能力によって使役されている男の中にも、一定の自分の意志を保ったままの者もいるのか?

 男、天魔が取った構えは、ボクシングスタイルであった。

 ジョーは中断の構えのまま、天魔に向かって一歩間合いをつめる。この街で一位の男ということだが、それは経済力・権力・名声、そういったものを含めてのことであるはずだ。単純な戦闘においては、これでもジョーは柔道で全国大会まで出場した身である。金持ちが健康維持を目的に時々ジム通いをしている程度の戦闘技術の相手ならば、遅れを取るはずはない。ボクシングスタイルなら、組み伏せて寝技に持ち込めば勝てる。

 そんな、ジョーなりに冷静な戦力分析を思考している最中だった。

 天魔が一歩前に出た。

 しかし、ジョーに知覚できたのはそこまでで、気が付けば視界が歪み、並行感覚を失っていた。

 そのまま、床に片膝をついてしまう。

 天魔が放ったのは、左のジャブだった。鋭く、無駄なく、シャープにジョーの顎を捉えていた。高いレベルで洗練されたジャブは、人間の反応速度を超えるという話を、ジョーも知識としては知っていたが。

 何か、気付いてはならないことに気付いてしまったような、焦燥がジョーの内側に湧き起ってくる。

 超女王の艶やかな声が、遠くに聴こえてくる。

「一定のレベルを超えた『優れた人間』とは、それより下層の人間の努力や克己を、やすやすと凌駕するのです」
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ