挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
非幸福者同盟 作者:相羽裕司

第四話「サヨナラの色」(前)

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

79/259

79/戦争において重要な要素

 ジョーがこの街の一位の男と戦闘に入る頃、志麻は詠唱を終え、研ぎ澄まされた意識を超女王に向けた。相変わらず椅子に座したまま、ともすれば優雅な姿が志麻を苛立たせた。いつからか胸に湧き起る暗い衝動が志麻を支配する。当たり前のように自分の上位で固定されている存在を、めちゃくちゃにしてやりたいというような気持ちだ。

「『機構的な(リ・エンゲージ)再契約(メント)』」

 志麻の言葉と同時に、ホール中央の鉄柱から光の粒子が発生する。

「アイアンマンさん、アイアンマンさん、世界を壊す第二歩、貫いてみましょう鉄の意志」

 志麻が広げていた両手を前方に勢いよく突き出すと、鉄柱の中心部がくり抜かれた。ホール全体を支えていた一番の支柱でもある。自然、ホールの建物自体が揺れる。

 鉄柱からくり抜かれた鉄塊は空中で姿を換え、鋼鉄の人間として現出する。志麻の能力の中規模行使、鉄人間(アイアンマン)であった。

 着地した鉄人間は、陸上の競技者のように走り出し、俊足で超女王に向かって行く。勢いはアクセルを全開にした自動車と遜色がない。つまり、鉄の塊がそのまま激突すれば、超女王は肉塊と果てる。そう思われた。

 しかし、くり出された鉄人間の鉄拳は、超女王の眼前に現れた、白色の存在によって受け止められた。

 志麻は、何が起こったのかと、超女王の前方に現れた白い存在を目を細めて確認する。そうしている間にも、白い存在は周囲から絶えず超女王の元に集まっていき、その大きさを拡大している。現在、既に二メートル四方ほどの大きさに成長している。

「言葉遊びに適した言語の国でしたね。さしずめ……」

 淡々と述べる超女王が、白い存在に手をかざすと、存在は変形し、一つのカタチを表現する。白い存在は、巨大な紋白蝶(もんしろちょう)であった。

「群体の軍隊、といった所でしょうか」

 志麻の鉄人間が単一の強力な個体なのに対して、超女王が作り出した大紋白蝶は、一匹一匹の使役された紋白蝶が無数に集まり、一つの大紋白蝶として群体として存在している。そして、計り知れないのは、刻一刻と蝶は集まり、大紋白蝶は巨大化している点である。

 その有様を理解した時、急速な危機感が志麻の胸に過った。つまり、この超女王という敵は、能力がどうこうというよりも、戦闘、否、戦争において一番重要な要素を、自分たちよりも遥かに高いレベルで押さえているのだ。

 それはつまり、「物量(リソース)」である。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ