挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
非幸福者同盟 作者:相羽裕司

第三話「拠り所の守り人」

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

67/257

67/約束

「宮澤君って、友達と街で遊んだりするの?」

 注文通り買ってきたバニラアイスを手渡すと、志麻は口をつけて、しばし目を瞑って糖分が身体に染みわたっていくのを反芻(はんすう)するような素振りを見せた。そして、ジョーに対してそんなことを聞いてきた。

「街でって、カラオケとか、そういうことか? 高校に入ってからはあんまり。一人で音楽聴いたり。あと、家の手伝いとかもあったしな」

 律儀に答える。初対面の時に感じられたジョーに対する敵意のようなものこそ最近はなくなっていたが、志麻がジョーの個人的なことを聞いてくるのは初めてであった。

「中学の時は、柔道の大会の打ち上げとかで、部活メンバーとカラオケ行ったりはしてたぞ」
「ふーん、そういう時、宮澤君は何を歌うの?」

 言っても知らないだろうなと思いながら当時部員間で流行っていた洋楽の曲名を伝えたら、案の上志麻は知らなかった。

「基本的に体育会系のノリだから、盛り上がれる曲なら何でもイイんだよ」

 そう答えながら、当時歌っていたロックバンドの曲のメロディーがジョーの脳内で再生される。基本的にクラシックが志向で、落ち着いた曲を好むジョーだったが、あの頃のあのノリはあのノリで、今に何か繋がってる気もする。

「宮澤君、さ」

 志麻は視線を地面に映る木の影に落としている。

「もしこの闘いが無事一区切りついたら、カラオケ、連れてってよ」

 意外な申し出だった。

「イイけど、その言い方だと、行ったことないのか?」
「別にいいでしょ。ちょっと、練習してみたくなったのよ」

 最近はいわゆるヒトカラもありだと思うが、確かに大人数でワイワイやるのが楽しい側面がある娯楽である。

「分かった。俺も別に上手くないけど、歌うよ」

 アイスを食べ終えた志麻は立ち上がると、踵を返して前に向かって歩き始めた。表情は再び引き締まり、機械鳥や機械鼠による索敵も再開したようだ。同じく警戒心を高めて志麻の隣まで歩いて行ったジョーに、ポツリと志麻は告げた。

「今の約束、忘れないでね」
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ