挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
非幸福者同盟 作者:相羽裕司

第十話「夏の雪明り」

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

202/259

202/私が消えてしまったあと

「大事な話なの。ジョー君。志麻。聞いて。最初に、ありがとう。私が消えた後のことを託せる友達と出会えて、本当に良かった。

 今、話したように、『私』はあと七日間で消えてしまう。だから、これは私の役回りなの。ちょっと、ホっとしてもいるくらいなの。世界のために。街のために死ねるなんて。こんな自分にも、意味はあったって感じかな。

 八月二十日の太陽が昇る頃、真実大王の封印は解かれるわ。だから、その少し前、『私』が消えてしまう直前に『氷』の封印を解除して、私は大王にもう一つの切り札。『マグマ』を仕掛ける」
「『マグマ』も、表面通りの熱や炎による攻撃ではないのね?」

 志麻が、自分がやるべきことを正確に受け取ろうとするように、確認する。

 アスミは頷いた。

「『限定的な超新星爆発のようなもの』とだけ、言っておくわ。いずれにしろ、『氷』と同様にまだ地球上にはない類の概念だから、大王はすぐには知悉できない。これが、私達に残された大王を倒す唯一にして最後の手段だと思う。ジョー君と志麻には、援護をお願いしたいの。周囲に被害が出ない場所。そう。海。僅かな時間で、海に出たいわ」
「その『限定的な超新星爆発』で、大王と一緒に、アスミも消えてしまうのね」

 志麻は、震える声を、丁寧に取り繕っている。

「うん。でも、どうせ『マグマ』を使わなくても、『私』は消えちゃうんだから。ね」

 なだめるように、アスミは志麻の前髪を指で梳いた。

 続いて、正面からジョーの瞳を見つめた。

「ジョー君。本当に今までありがとう。ジョー君はこんな私にも、楽しかった思い出をくれた。ジョー君はこんな私でも、本気になって助けようとしてくれた。お世話になりっぱなしで悪いけれど、最後のお願いだから……。ねえ、この『私』が消えるその瞬間まで、手助けしてくれる?」

 アスミの正直な告白を。少女の精一杯の真摯さを。

 しかし、ジョーは受け止めることができなかった。

 瞳をそらして、地面に視線を落とす。振り絞るように声を出す。

「承服しかねる」
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ