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非幸福者同盟 作者:相羽裕司

第九話「サヨナラの音」

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186/自由VS自由

 アスミが空を見上げると、立体魔法陣からその身を躍動させ、蒼い衣服を纏い、サイドでとめた金色の髪を(ひるがえ)しながら、少女――もとい志麻の憧れのお姉さんが現れ、舞い降りてきた。

「志麻ちゃん。外交か、戦争か、確かめさせてもらうよ」

 アスミと大王の中間に降り立ったエッフェル搭は、まず志麻に声をかけた。七夕の日に行動を共にしたからだろうか。エッフェル搭は、特に志麻に関心を注いでいるフシがある。

(外交?)

 エッフェル搭の言葉の一部に、アスミは引っ掛かりを覚える。アスミにとっての恩人でもあり、感謝もしているが、自分よりも数段思考が深淵な存在には、慎重に相対しておくのもアスミのあり方だった。

 向き合った大王とエッフェル塔を見やると、同じ戦闘用の礼装を纏っていても、大王の個としての軍服とエッフェル塔の軍服ワンピースは印象が異なる。大王の軍服は、あくまで単体で鍛え抜かれ、至り切った真実大王ヴァルケニオンという存在の一部である。純化した強い個人。そういう印象が、まず第一にある。一方で、エッフェル搭の蒼い礼装には、積み重なってきた歴史が感じられる。ブリテンとの戦争の夜も。ギロチンが落ちた夜も。フランスという国の全てと連綿と繋がった上で、その一部に自身が位置している。大王とエッフェル搭は現行の地球上でこの上なく「自由」な存在であったが、二人の体現する「自由」は少し性質が違っていた。

「概念武装・偶像化された(エペ・デ・ラ)少女の剣(・ピュセル)

 エッフェル塔は蒼い閃光と共に、愛護(あいご)大橋での戦いで大巨神を圧倒した白銀の洋剣を出現させると、一瞬で間合いを詰めて、大王の喉元に向かって突きを放った。

 再び、瞬きの間の攻防が繰り広げられる。

 大王は上体をスウェーしてエッフェル搭の突きを回避する。体を傾かせたまま、鋼の剣に対して大王が指先だけ触れた時である。陸奥を葬り去った時と同じように、洋剣の動きが制止した。

「聖女・ジャンヌ・ダルクの愛剣」

 大王が地の底に響くような声を発した時、エッフェル搭は手にした剣を放して、斜め前方にその身を投げ出し、大王が展開した「何か」から逃れた。

「その存在よりも、我は強い!」

 大王が高らかに叫び、洋剣に拳を撃ち込むと、刀身から柄に至るまで、エッフェル搭が召喚した剣は連続して炸裂弾を受けたように、粉々に砕け散った。

「『地球(ザ・ストロ)最強の(ンゲスト)存在(・マン)』」

 高らかに己の能力名を宣言し、大地に立ち、堂々と胸をそらせる大王を、何とか破壊に巻き込まれるのを逃れたエッフェル塔が立膝になり、下から見上げている。

 表情は変えないながら、エッフェル搭の額には汗が流れ落ちている。抑揚の無い声で、エッフェル搭は敵本人に尋ねた。

「最強のカウンター能力? ってこと?」
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