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非幸福者同盟 作者:相羽裕司

第九話「サヨナラの音」

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182/聖女の能力

 アスミはフェラーリの助手席に飛び乗り、志麻に指示を出して発進させると、そのまま走るジョーの横につけさせた。アスミの方も、大王がまずジョーを狙っていることを理解する。とはいえ、ジョーの行動には難色を示す。ジョー一人が走って大王を引きつけるというのは無茶である。

(走る方向は東で合ってるけどね)

 アスミとしては、大王を大白(おおしろ)山から遠ざけたい。だとするならば、東の海岸方面に大王を引きつけるのは理にかなっていた。

 フェラーリの後ろにジョー、そして高速の跳躍を繰り返して戻ってきた陸奥とか飛び乗った所で、アスミは志麻に尋ねる。

「東で一番近い、防衛領域ってどこだっけ?」
「四号公園」

 短いやり取りで、自分たちが向かうべき場所を決定する。残るは。

 いよいよ、四人が集まっているフェラーリに向かって進行を開始せんとする大王を前に、アスミは少し離れた所に駐車しているジープの横でこちらを見守っている女に視線を送った。聖女・中谷(なかたに)理華(りか)。わずかに残っていた、こちらの好材料。現在の状況は、彼女の本質能力(エッセンテティア)の発動条件に合致している。結界が張れないのならば、せめて。

 アスミの意図は理華に伝わり、彼女は自身の左瞳に手をかざした。

 フェラーリがギアを入れ替えて高速走行に入ったのと、大王がそれを追って疾走を開始したのと、理華が能力を発動させたのは、ほぼ同時であった。

「『(ザ・チャーチ)(・オブ・ザ)(・ワールド)(ハーツ)』」

 理華の左瞳が怪しく光ると、ジョー、アスミ、志麻に陸奥。そして大王の頭上に、緑色の光の粒子が降り注ぎ始める。

「『(ブレイク・)(ザ・ワールド)』!」

 理華の澄んだ声が響き渡ると、光の粒子はアスミたちを巻き込むように収束した。その瞬間、アスミたちと大王は、「認識上」この世界の誰からも消えてしまった。

「この街を、君たちに託す」

 守人(もりびと)たちの戦いが、「誰にも分からない」領域に移動した中、理華の祈りだけが、喧騒の場に残留した。
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