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非幸福者同盟 作者:相羽裕司

第八話「夢星」(後編)

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168/Aドライブが必要

 早朝、ジョーが志麻の家を訪れると、まずは解析を依頼していた百色(ひゃくいろ)ちゃんから貰った四角い物体について、志麻から報告があった。

「フロッピーディスクよ」
「何だ、それは?」
「うーん。十年前くらいまではまだ見かけたらしいのだけど。PC用の記録媒体。その後、CDになったりMOってのがあったり。今だとDVDとかUSBメモリに相当するものよ」
「へー」
「で、オークションでAドライブ付きの古いノートPCを落札して、中身を見てみたんだけど……空っぽだったわ」
「マジで?」
「そ。魂のない器。百色ちゃんの話、やっぱり夢でも見てたんじゃないの?」

 百色ちゃんとの顛末(てんまつ)は、アスミには話さず志麻にだけ話していたが、志麻は未だに半信半疑のようである。ジョーとしてもあの夜のことは何だかフワっとしていて、積極的に論証する意欲も湧いてこなかった。

「じゃあまあ、この件はこの件で。それは志麻が持っててくれ。Aドライブ付きのパソコンなんて家にないし」
「いいけど。これ、1.4メガくらいしか入らないから。使い道はあんまりないかも」

 そこで話題は次に移った。

「志麻も、アスミの誕生日に何かプレゼントとかするのか?」
「するわよ。私なりに、アスミが今一番欲しいものを準備してるつもり」
「へぇー」

 それが何なのか。直接は聞かなかった。ジョーとしては、自分で考えてそこに辿り着かないといけないと思ったから。

「私。アスミの裸の写真いっぱい持ってるんだけど、隅々まで凝視して今考えてるの」

 その言動には、ジョーはちょっと引いた。

「し、志麻は本当にアスミが好きなんだなぁ」
「好きよ。宮澤君が考えてるような意味とは違うかもしれないけれど」

 穏やかな語り口だが、志麻の言葉には内に秘めた熱情のようなものがこもっている。その熱は、少しジョーにも伝播した。

「じゃ、ま、俺も考えてみるわ」
「宮澤君は」

 そこで何故か、志麻は目を伏せた。

「お母さんに愛されてきた人だから、アスミが本当に欲しいものは分からないかもしれない」

 ジョーも欧州に行っているというアスミの母・アリカ小母(おば)さんのことは気になっていたのだが、母親に関して事情がある志麻の前ではその話は避けていた。志麻の方から「母」の話を振ってきたのは意外だ。

 志麻はジョーと視線を合わせないまま、こう告げて話を打ち切った。

「でももし、宮澤君がアスミの本当の願いに気づいたら。その時は、一人で叶えようとしないで、私にも連絡頂戴ね」
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