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非幸福者同盟 作者:相羽裕司

第七話「百色の七夕」(幕間エピソード)

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143/福引

 時間にして正午前。イベント終了時刻の少し前には、ジョーとアスミは町の探索を終え、商店街のゲームショップ前に戻ってきていた。意外なことにスタンプ集めは順調を極め、スタンプはコンプリートしてしまった。

 一方で、その後百色ちゃんには遭遇できなかった。町に事件が起こったというようなニュースもない。結局、このイベント絡みで百色ちゃんが何かしでかすということはなかった結果である。

「とりあえず、良かったってことよね?」
「でもそうなると、俺が朝に感じた存在変動律は何だったんだ?」

 そんな会話を交わしながら二階のイベントスペースまで階段を登っていく。

「スタンプカードを提出して、福引を引いて下さい~」

 相変わらず陽気にイベントの進行を務めるお姉さんがいたが、目に留まったのはその横である。ぬらりとした存在感に、四角い体。煤けた土瓶のような色をした百色ちゃんが、ここにいるけど、何か? みたいな感じで立っていた。

「いつの間に戻って来たのかしら?」
「こういうのってさ。俺らが知らないだけで、着ぐるみで高速で移動するノウハウとかが、プロの間にはあるのかもしれないな」

 そんな会話をひそひそ声で交わしながらスタンプカードをお姉さんに提出すると、スタンプをコンプリートした場合は福引は三回引けるとのことだった。

「ええ。私、こういうの自信ないんだけど」

 ジョーとのジャンケンに勝ったので、幸運を祈ってアスミが福引を引くことになった。カラカラと音を立てながら回して、出てきた玉の色は。

 一回目。白。景品はティッシュペーパー。

 二回目。緑。景品は百色ちゃんストラップ。

 そして三回目である。虹色のいかにも特別な感じの玉が出てきてしまい、同時にお姉さんがカンカンと鐘を鳴らし始めた。

「特賞~。特賞です~。おめでとうございます~」

 自分でも予想していなかったのか、意外な展開にアスミは口をパクパクとして、何やら動揺した視線を送ってくる。

「凄いじゃん。俺もこういうの初めてだ」

 何はともあれ喜ばしいことなので、ジョーも両の掌を開いて、小さく謎の小躍りを踊ってみると、楽しい雰囲気はアスミにも伝播したようだ。アスミは胸の前で両の掌を合わせて上下させることで心の動きを表現した。合掌。

 お客さん向けのスマイルを崩さないまま、それでも明朗な出来事を分かち合うように優しくジョーとアスミの反応を見守っていたお姉さんから、特賞の商品が伝達される。

「特賞は、百色ちゃんとの、一日交友権です~」

 え。と思ってお姉さんの横に居る百色ちゃんを見やると、百色ちゃんは大きな台形の体は動かさないまま、眉毛だけを上下させて反応してみせた。目は、相変わらずボーっとした感じ。

 こうして、ジョー達はこの日の午後を、百色ちゃんと一緒に過ごすことになった。
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