挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
非幸福者同盟 作者:相羽裕司

第六話「たとえばそこにいてくれるだけで」

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

124/259

124/蒼い稲妻

 ジョーもまた、自身が呼び出したエッフェル塔の勇姿に目を奪われていた。概念武装で呼び出したオルレアンの聖女の剣を片手に飛翔する姿は、『翼』を連想させた。いつからだろう。大巨神は。あるいは世界は。我々に、地を這え、屈服せよ、と重い鉛を背負わせ、足には奴隷の足輪をはめることを強要してきた。そんな大きな力に対して、彼女は決然とそれは違うと。私は飛ぶのだと、その背中で道を示しているかのよう。

 大巨神が、強大なる自我でエッフェル塔に向かって吼えた。言葉が地鳴りとなり、その場の弱き者達を恫喝(どうかつ)せんとするように。

「這いつくばれよ、女ァッ」

 だが、エッフェル塔の推進は何ら揺らぐことがなかった。彼女は燦然(さんぜん)と言い返えす。

「古いよ、アンタ!」

 テンマ・ソウイチロウを動かす駆動力。己以外の全ての存在に価値はなく、己の意のままに淘汰されてしかり。そんな剛毅(ごうき)の元、本日三度目の凝縮熱線が大巨神の口から吐き出される。

 ところがだ。そんな力に、この身に宿した『意味』は何ら消されはしないさとばかりに、エッフェル搭はヒュウと一息吐いてから銀色の剣を構えると、そのままビーム状に降り注ぐ大凝縮熱線を斬撃で分断し、飛翔を続行する。元愛護大橋の結界空間内の天と地に熱線のビームが分割される中、その中心を大巨神の本体めがけて突き進んでいく。

 天で爆発、地でも爆発の中、揺れる空間でジョーも思わず一人ごちた。

「豪快な、お姉さんだな」

 エッフェル搭はそのまま突撃し、大巨神の熱線の発射元である口にその剣を埋め込もうかという勢いだったが、そこは大巨神が回避行動を取った。スウェーで頭の位置をズラしたために、エッフェル搭の剣は大巨神の肩口に突き刺さる。

 次の瞬間には、先ほどから繰り返されている、いかなる原理の技なのか、大巨神の肩口は()ぜ、そのマグマの筋肉が光の粒子に解体されて吹き飛ばされていた。

 めくるめく攻防、もといエッフェル塔の突進を横目に、ジョーもとりあえず移動を開始する。まずは、エッフェル搭が助けてくれた向こう岸にいるアスミと志麻と合流しよう。

 マグマの大巨神と蒼い稲妻のエッフェル塔がぶつかり、天に雷鳴響く中、ジョーはS市一級河川に飛び込み、改めて自分にとって大事な人間だったんだと気付いた二人の元へ向かって泳ぎ始めた。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ