挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
非幸福者同盟 作者:相羽裕司

第五話「彼の地よりきたる」

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

121/259

121/宣戦布告

 不思議な世界から帰還すると、水底にいた体は移動していた。宮澤ジョーは、S市一級河川の河川敷に。大地に立っていた。

 周囲は炎と赤い光の明滅。眼前の大巨神テンマは、『ハニヤ』の最後の光の抵抗によりアスミを握りつぶせないことに業を煮やし、いよいよアスミを握りしめたまま口元にもっていっていた。大きく口を開いている。気付いたのだ。この光とこの女をも捕食し、自分の力に取り込んでしまえばイイと。唇は溶岩のようで、あふれるマグマは唾液のようだった。

「俺の強さは『一』より、『二』でいくぜ」

 終末の光景を前に、ハシっと右手首を振って鳴らす。紫の存在変動律が、ジョーを中心に一定のリズムで伝播し始める。両足は地面を噛んで少し大股に開いて、右手をちょっと大げさに天に掲げた。ついでに一言言ってやる。

「テンマ・ソウイチロウ。お前は強いが、なんか醜い」

 そういやアスミ、こういう風にポーズ取ったりとかは中学生の時に卒業したとか、言ってやがったな。だがな、こういうの、カッコつけてるっていうか、儀式なんだよ。ダメな自分はここまでで、ここから先は大事な人を守ってみせる、そんな自分になってやるってな。だから敢えてやるぞ。

 天にかざした右手はあるいは宣戦布告だ。

 ジョーの背骨に、陸奥との繋がりであった紅い線のイメージとは異なる、もう一本の線、蒼い勇壮なる線のイメージが遠くから供給されてくる。

 右手を下しながら、一瞬胸元で両手を交差(クロス)して、バっと左右に広げる。今、ここにいる俺の元へ、彼方より何者か来たる。「構築物の(コンストラク)歴史(テッド・)図書館(ヒストリア)」とのリンク・二系統目がエンゲージ(engage)。胸には何故かあったカァーリッジ(courage)。左手に狂おしいほどに握りしめているのは、誤謬の少女が置いていったリボン。これで全部だ。行くぜ、大巨神。否、行くぜ、世界。

 左腕を90度に曲げて、半身を左に振り抜いた。

 自分達の方が消え去る側だと知ってなお、前に進まなくてはならないのだとするならば、発することができる言葉はこれだけだ。物語の『続き』の言葉だ。決まってる。

 ジョーは叫んだ。

「『共存・(コ・イグジス)開始(テンス・オン)!』」
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ