挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
非幸福者同盟 作者:相羽裕司

第四話「サヨナラの色」(後)

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

104/257

104/ガンディーラ

 長くは明治の時代からS市で交通の要所となってきた愛護大橋は、今や志麻の本質能力『機構的な(リ・エンゲージ)再契約(メント)』の極大行使によって、その存在を「再構築」されてしまった。

 愛護大橋を素材に再構成されて現れたるは、全てを拒絶せんとするような機械の体。暗闇の中でその存在を圧倒的に主張せんと発光する両眼。大きさは大怪人テンマの十メートル級をゆうに超える三十メートル級。その姿は、まさに幼い頃の志麻が世界を壊すために妄想し、絵に描き続けた大怪獣の顕現。尾をふりあげる、直立・竜型機構怪獣『ガンディーラ』であった。

 志麻の姿を表示していた蝶女王の『生物の(クイーンンズ・)宝物庫(トレジャーズ)』の志麻の映像は砕け散った。愛護大橋そのものも無くなってしまった。端の欄干から生成されていたアイアイマン達は橋下へと落下し、鉄の体で水没している。大怪人達も落下し、いずこかへ。今、その存在が確固たるものとして場にいるのは、対峙する巨大機構怪獣と、蝶女王の巨大紋白蝶のみ。

 竜型機構怪獣の肩口には志麻が、巨大紋白蝶の上には蝶女王の姿が見える。

「ガンディーラ、子供の頃の夢はもう終わりにして、苦しい現実の時間を一緒に闘いましょう」  

 綺麗な言葉を口にしているはずなのに、実感が、志麻の魂の奥の本心が、言葉に乗っていない。そもそも、そんなものはあるのだろうか。あったのだろうか。今、志麻の中心にあるものは。

 やがて機構怪獣が暴れ出す。

 ガンディーラはしばし悲鳴のような咆哮をあげると、口を開き、巨大蝶めがけて青く燃え盛る大・放射火炎を吐き出した。

 元・愛護大橋があった空間が、灼熱の煉獄(れんごく)に変わる。

 求めていたのは、穏やかなる平和だったのか、全てを壊し尽くす破滅だったのか。


 志麻の心は、バラバラになった。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ