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またも大ピンチに陥ってしまった探究心の強い羊、今度は逃れることが出来るのでしょうか?
羊と狼
作:hakaru



恐怖の後


羊と狼 09「恐怖の後」

白い狼はもう一度言います。

「その者を食べてはなりません!」

狼のリーダーは伏せていた顔を上げ、白い狼に聞きました。

「なぜです、この者は仲間と共に我々の仲間を何匹も殺したやつですぞ!!」

白い狼はその質問に対して答えることはしませんでした、ただ首を横に振るだけです。
そして白い狼は一つ狼達に言い聞かせました。

「あなた方はこんな所で羊一匹を相手しているヒマはないはず、帰ってするべきことをしなさい」

白い狼がそう言うと、狼のリーダーは「わかりました・・・」としぶしぶ返事をし、他の狼達を連れて帰って行きました。
探究心の強い羊は何が起こったのかサッパリわからないといった表情で、ただ狼達が帰って行く姿を眺めていました。
狼達が見えなくなってから、白い狼は洞窟の上から降りてきましす。

「大丈夫ですか?」

白い狼がそう聞くと、探究心の強い羊は ハッ っと我に返り慌てて白い狼にお礼をしました。

「あっああ、大丈夫です、後少しで食べられるとこでしたけど・・・、ありがとう、君にはまた助けられたね」

「そうですか、それは危なかったですね・・・、その鼻・・・血が出ていますよ、大丈夫なのですか?」

探究心の強い羊は白い狼にそう言われると、狼のリーダーに鼻を殴られた事を思い出しました、殴られた事を思い出すと探究心の強い羊はあの時の恐怖や絶望感をも一緒に思い出します。
そして体中から震えが蘇り、その場にペタンッと座り込んでしまいました。

「はぁ〜・・・、死ぬかと思った〜、もうだめだと何度も思いました・・・、あれ?」

探究心の強い羊の目からは、気づかないうちに涙があふれ落ちていました。
それを見た白い狼は、プッと噴出し、アハハハハと声を上げ笑い出しました、それを見た探究心の強い羊も同じように笑い出します。
白い狼は笑いながら探究心の強い羊に聞きました。

「あなた本当は怖かったのね」

「うん! 怖かった、だってあんなに囲まれたり、殴られたりしたの初めてなんだもん」

探究心の強い羊も笑いながら答えました。

「私はあなたが怖がってるようには見えなかったわ、むしろ怒ってるように見えたけど?」

「怖かったさ! だけどあいつが熊さんの事を言った瞬間、どう逃げようとか、どうやって生きようとかって考えがまっ白になっちゃって・・・、それからは自分でもよくわかんないんだ・・・、熊さんを土の中に埋めてあげることもできなかった・・・、僕は無力だ」

探究心の強い羊が豪快な熊の事を思い出すと、先ほどまであった笑い声はピタリと止まり、空気が何倍も重くなったようになりました。
白い狼はその重い空気を吹き飛ばすように明るく話しかけます。

「ねぇ、私の家に来ない? あなたケガしてるし、ここ何日もろくなもの食べてないでしょう、とりあえず私の所でゆっくり休んで行けば? もうあの狼達もあなたを襲ったりしないと思うし」

「怖くて聞くの忘れてた! 君はいったい何者? なぜ僕を食べないんだい、なぜ僕を助けてくれるんだい?」

「フフフ・・・、聞きたい事が一杯あるみたいね、私もあなたに聞きたい事あるの、だけどまずはさっきからグゥグゥ鳴ってるあなたのお腹をどうにかしましょ」

探究心の強い羊は恐怖を忘れると、次はお腹を空かせている事を思い出しました。
グゥグゥと鳴っているお腹を見ながら二匹はまた笑います、その内大きな音で「グゥ〜」と一度鳴り、二匹は顔を向き合いました、その音は探究心の強い羊からではなく、白い狼からだと探究心の強い羊が気づくと、白い狼の頬は少し赤くなりながらうつむいてしまいました。



つづく・・・







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