恐怖と怒り
羊と狼 08「恐怖と怒り」
ジリジリと狼達は探究心の強い羊へと近づいてきます、それにあわすかのように探究心の強い羊も後ろへと下がりました。
「死なないって・・・お前何か俺達から逃れる方法でも思いついたのか?」
狼のリーダーがそう言うと、探究心の強い羊はその狼のリーダーをキッ と睨んで言いました。
「もし僕が死ぬ時は、お前の死ぬ時だよ! 群れをなして安心してるお前になんかに負けはしない!」
「ハァ? なんだと、じゃあオレ一匹なら勝てるって思ってんのかお前は」
探究心の強い羊は大きくうなずくと狼のリーダーは他の狼達をその場に残し、ズカズカと探究心の強い羊の鼻先までやってきました。
目の前に来るなり狼のリーダーは右前足を高く振り上げ、探究心の強い羊の鼻先を「ドカッ!!」と殴りつけました。
探究心の強い羊はガクリと崩れ落ち、立ち上がることができません。
体の奥底から地震のように震えが湧き出てきます。
四本の足はガクガクと震え、殴られた鼻先からは赤い血がしたたり落ち、ジンジンと痛みが走ります。
探究心の強い羊は生まれて初めて「死ぬ」ということを実感したにのです。
恐怖と絶望に犯された探究心の強い羊は、狼のリーダーを見ることが出来ません。
「さっきの勢いはどうした・・・、それで終わりか? 戦ったことのないお前がどういきがったってそんなもんだ、それが現実、それが痛み、それが恐怖ってやつさ、お前もあの熊のようにしてやるよ」
「お前もあの熊のようにしてやるよ・・・」探究心の強い羊はその言葉を聞いた瞬間体中の震えがピタリと止まり、すぐ後にまた体中から震えがおきたのです。
その震えは恐怖から湧き出てくる震えではなく、怒りから出てくる震えでした。
「グアアアアアアアア・・・!!」
大きな叫び声と共に探究心の強い羊は勢いよく立ち上がり、狼のリーダーのあごめがけて体当たりをしました。
「ドカッ!!」っという大きな音と一緒に今度は狼のリーダーがしりもちをつきます。
「テメェー!!」
少し怯んだかと思いきや狼のリーダーは、すぐに怒りをあらわにし探究心の強い羊に吠えました。
「おい! お前ら一気にやるぞ!!」
その狼のリーダーの声と同時に他の狼達全員が飛びかかる体制をとります。
「卑怯だぞ!!」
探究心の強い羊がそう叫ぶと、狼のリーダーは少しにやけた顔で言いました。
「ああ? オレは一度だってお前と一対一でやるなんていってないぜ・・・、覚悟しな、しょせんお前は俺達にとっちゃあただの食料にすぎないのさ」
「チクショー!!」
「おやめなさい!!」
その時です、探究心の強い羊の後ろにある洞窟の上から、声が聞こえました。
探究心の強い羊、狼のリーダー、他の狼達全員が洞窟の上を注目しましす。
なんとそこに立っていたのは一度探究心の強い羊を助けたあの白い狼でした。
狼のリーダーを含めた狼達全員は、白い狼に土下座をするかのようにひれ伏しました。
白い狼はそんな狼達の前でさらに続けます。
「その者を食べてはなりません!!」
つづく・・・ |