疑い
羊と狼 06「疑い」
探究心の強い羊は素早く白い狼の方を向き、睨みながら言います。
「狼である君を信じろと言うのか!?」
「確かに私は狼です・・・、でも私の言った通りにしないと・・・また狼が来るし・・・」
白い狼はうつむきながら言いました。
その姿を見た探究心の強い羊は、だんだん白い狼がウソをついているようには思えなくなりました。
しかしそう思うことによって一つ疑問が浮かびます。
「じゃあなぜ君はボクを助けようと思うんだい?」
「それは・・・」
白い狼はまたもうつむいて黙りこんでしまいました。
なぜ助ける理由を言えないのか探究心の強い羊はサッパリわかりません。
でも探究心の強い羊には一つわかっていることがあります、それはこの狼が自分を食べることはないということです。
周りから見れば何の根拠もありませんし、もしかしたら罠かもしれません。
だけど探究心の強い羊は、そのことにまったくの疑いを持ってはいない様子です。
だからといって白い狼の言う通りにするほどの素直さは持ち合わせてはおらず、探究心の強い羊が次にとった行動は、白い狼を頼らずに自分一匹でこの森を抜けるということでした。
「心配してくれてありがたいけど、やっぱり自分でなんとかするよ、一緒に歩いてるとこを他の狼に見つかったら君にも迷惑かけるだろうし」
「そう・・・そこまで言うなら・・・」
「じゃあね」
探究心の強い羊が白い狼の前から立ち去ろうとしたとき、白い狼はもう一度探究心の強い羊を呼び止めました。
「ねぇ、さっき狼達が帰った方向とはまったくの逆に行けば、あなたが入ってきた所に出られるわよ。」
「ありがとう、でも帰っちゃ意味が無いんだ、先に進まないとね」
「何処へ行こうとしてるの?」
「さあね・・・、とにかく前さ!」
「あなた・・・私のこと疑ってないのね・・・ありがとう」
探究心の強い羊はニッコリと笑顔を見せ、狼達が去っていった方向へ見つからないように進んで行きました。
白い狼は探究心の強い羊が見えなくなるまで見送りました。
つづく・・・ |