出会いと危険
羊と狼 03「出会いと危険」
次の朝、探究心の強い羊は出て行く前に豪快な熊に再会を願ってお辞儀をし、豪快な熊を起こさずに出て行きました。
探究心の強い羊も豪快な熊のことを気に入っていたのでしょう。
山を下り、林を抜けると一面に広がる荒地へと出ました。
その荒地をひたすらまっすぐ進みます。
目を輝かせ、次はどんな生き物と出会うのかワクワクしながら、ひたすらまっすぐ歩き続けます。
太陽が真上に差し掛かる頃、お腹がすいてきた探究心の強い羊は大好物の草を探しました。
しかし荒地に草はあまりありません、仕方なくお腹をすかせたまま歩き続けました。
やがて太陽が下へと降りはじめ、荒野の大地が赤く染まり行くころ、荒地の崖の上から「オオーーーン」っと吠える声が聞こえます。
なんだろうと思い崖の上を見てみると、一匹の生き物が太陽に向かって吠えています。
それは牧場にいた犬に形が似ているようで、どこか違う感じの生き物でした。
探究心の強い羊はいつしか足を止め、そのまっ白で美しい生き物に見とれていました。
話し掛けてみようと崖の上へ登る道を探しているうちに、何匹かの犬に出会います、いやこの犬達も崖の上にいる生き物と同じように牧場にいる犬とはどこか違う感じでした、しかし崖の上の生き物とはまた違い、下にいる生き物達は白くもなく、崖の上にいる生き物のように美しくもありません。
崖の上にいる生き物はこの群れの中でも特別なんだとすぐに気づきました。
「やあ こんにちは、ちょっと聞きたいんだけど、この辺りに草が生えてる所知らない? 今日の昼間から何も食べてなくてお腹ペコペコなんだ」
群れの中にいる一匹が、探究心の強い羊の前まで出てきて言います。
「そりゃあ奇遇だなぁ、俺達も今ハラがへってるとこなんだよ」
「君達の好物はなんだい? 魚? それともバナナとかかい?」
「いや、俺達はもっといい物をいつも食ってんだよ」
「じゃあそれを僕にも食べさせてよ」
「いいぜ、じゃあ俺達についてこいよ」
犬に似た生き物はそう言うとあごで今から向かう方向を指し歩き始めました。
その時です、崖の上にいた真っ白な生き物が探究心の強い羊に向かって叫び始めました。
「逃げなさい! あなたはその者達に食べられてしまいますよ!」
探究心の強い羊は「まさか」と思い、もう一度彼らを見ました。
すると先ほどの優しい目はどこかに消え、恐ろしく凶暴な目にスリ替わっているではありませんか。
恐ろしくなった探究心の強い羊は一目散に逃げ出しました。
「逃げたぞ! 追えー!!」
その一言で犬に似た生き物の群れはいっせいに探究心の強い羊を追いかけはじめます。
「こいつらだ!、こいつらがみんな言ってた「狼」に違いない!」
気づくのが遅かったと後悔しながら必死に走ります。
だけど少しずつ差が縮まっていくのを感じた探究心の強い羊は逃げる方向を変え、森の中へと入っていきました。
しかし、その森に入ったことをすぐに後悔することとなるのです。
そう、その森こそがあの「黒い森」だからです。
つづく・・・ |