一緒
羊と狼 13「一緒」
少し考えた後、白い狼は探求心の強い羊の希望に応える事にしました。
「でもやっぱり案内した方が早いから・・・、それに散歩にもなるしね」
「そっか、それもそうだね、じゃあ行こうか」
白い狼に案内されたどり着いた先は、なんと探求心の強い羊が迷い疲れて一日を過ごした洞窟でした。
「この森はね、北、南、西の方角は全て崖で覆われてるの、だから森から出たとしても、必ず自分は東の方角を向いてるってわけ」
「だからあの時いくら歩いても同じ場所に帰って来たんだ」
「そういうこと、この洞窟の奥には抜け穴があって、その抜け穴をず〜っと進むと崖の向こうに出れるよになってるのよ」
「なるほどね」
探求心の強い羊は、それを聞いた後すぐに洞窟の中に入りました。
一番奥へ行くと厚い毛皮でできた扉があり、それをめくると白い狼が言っていた通りの通路がずっと向こうまで続いていました。
「なんだかこの毛皮、他の岩と同化してて言われて初めて気がついたよ」
探求心の強い羊が白い狼の方に振り向くと、白い狼は洞窟へは入ってこずに座り込んでいます。
そしてなんだか暗い雰囲気を漂わせていました。
洞窟の外へ出て白い狼に近づき聞きます。
「どうかしたの?」
「なぜ・・・? なぜ今になってこの森の出る方法を聞いてきたの? あなたがこの森をいつか出て行くことはわかっていたわ、その時私はそれを止めようとも思っていない」
「・・・ありがとう」
探究心の強い羊は微笑みながら白い狼にお礼をしました。
しかし白い狼はそれにかまわずに質問を続けます。
「あなたを他の狼から助けた次の日、もしこの森を出る方法を聞いていれば私はきっと教えたはず、だけどあなたは聞かなかった・・・なぜ?」
「それにはとくに大きな意味は無いよ、ただあの時は君といたいと思っただけさ」
白い狼はお尻を上げ、さっきよりも強く探求心の強い羊に聞きます。
「じゃあ今はもう私と居たくないってこと?」
「その逆さ!」
その探求心の強い羊の予想もしなかった返答に、白い狼は力が抜けたかのようにまた座り込みました。
「逆・・・? 全然わからないわ、あなたの言ってる事は矛盾してる」
「今は言えないんだ、その内わかるからさ」
白い狼はそう言われて何も言えず、ただ胸のどこかに一つしこりが残った感じで、そのまま前足も地面に着けて、顔をうつむいてしまいました。
「これだけは信じておいて」
探求心の強い羊の声に反応した白い狼は、うつむいていた顔を探求心の強い羊の方へ上げます。
「僕は君とこの先も一緒に居たいってことをさ」
そう言うと探求心の強い羊は、白い狼の方を向いてニッコリと笑顔を見せました。
そしてその笑顔は、白い狼には自由そのもののように思えました。
つづく・・・ |