散歩
羊と狼 10「散歩」
お腹を満たした二匹は、白い狼の住んでいる洞窟で寄り添って眠りました。
探究心の強い羊は、深い深い眠りにつきます、これほどまでに安心して眠りにつけたのは牧場を出て初めてでしょう。
探究心の強い羊よりも先に目覚めた白い狼は、その姿を見て探究心の強い羊は眠りながら死んでいるのではないかと勘違いしてしまうほどでした。
白い狼は探究心の強い羊を起こさずに洞窟を出ました。
白い狼が洞窟を出て2時間程たって戻って来ると、ようやく探究心の強い羊は起きました。
「あっ、起こしちゃった?」
「うん・・・、なんだか久々によく眠れたような気がする」
「そう、それは良かったね」
「どこかに行ってたの?」
「うん、ちょっとね・・・、それより散歩しない? 近くには綺麗な湖もあるから、そのひどい顔も洗えるよ」
「えっ!! そんなに僕の顔ってひどい?」
「フフッ冗談、ねっ行きましょ」
それから探究心の強い羊は、白い狼の案内でこの「黒い森」の中を散歩することになりました。
探究心の強い羊は、この森に入って初めてゆっくりと周りを見渡します。
色々な動物達から恐れられたこの森は、今まで見てきた森となんら変わりはなく、穏やかで静かないい森でした。
小鳥が二匹の上でクルクルと周り、木々の間から太陽の光がいくつもの柱を作り、森の中を明るくしています。
その内、キラキラと輝いている光を、探究心の強い羊は見つけました。
探究心の強い羊は光のもとへと、小走りに走ります。
白い狼も後に続いて小走りに追いかけます。
キラキラの正体は湖でした、10分ほどで一周できそうな小さな湖は、「黒い森」という名前からは想像ができないほど美しく、そして穏やかでした。
探究心の強い羊は湖の底が見えそうなほど澄んだ水の中に、頭をザブンッと突っ込みました。
顔を上げ空を見上げます。 雲ひとつない真っ青な空が探究心の強い羊を包み込むようでした。
「フフフ、気持ちいいでしょ?」
「あ〜、なんだか生き返ったような気分だよ、とても黒い森の中だって気がしないね」
「・・・・」
その事に白い狼は返答をしませんでした、何か悪い事を言ってしまったのかと思
い、探究心の強い羊は白い狼に謝りました。
「ゴメン、僕何か悪い事言った?」
「ううん違うの、そういえばあなた私が何者か聞きがっていたわね」
「うん、だけど言いたくなければ別に言わなくてもいいよ」
「あなたには言いたいの、言った後に嫌わないでね・・・」
探究心の強い羊は、何か重い話ということはすぐに感じ取りました。
「この湖の名前はね、「白の湖」っていうの」
つづく・・・ |