旅立ち
羊と狼 01「旅立ち」
ある牧場の羊の群れの中に、一匹狼で探究心の強い羊がいました。
探究心の強い羊はなぜみんな同じ行動をし、みんなが同じような生活をしているのかさっぱりわかりません。
ある日その羊の群れの長にそのことを聞いてみようと思い、長のもとを訪れました。
長のもとへたどり着くと、探究心の強い羊はおもむろに長に聞きます。
「長、なぜ僕らは同じことをして生活しているんですか? 誰かが違うことをするとどうなるのですか?」
長の周りにいた他の羊達はいっせいに騒ぎ出します。
「何言ってんだお前! 俺達が生きていく上で必要なことだからだろうが!」
ものすごい罵声が質問をしに来た探究心の強い羊に浴びせられます、それでも怯まず質問をみんなにも出しました。
「僕達が生きていく上ってどんなことですか?」
「何生意気いってんだよ!」
さらに他の羊が言ってきます。
「まぁ 待て」
そこへ割り込んできたのは、長でした。
「お前の言いたいことはわかった・・・、じゃがわし達は何十年間ずっとそうやって生きてきたのじゃよ・・・、それをたった一匹の勝手な考えによって潰さすわけにはいかんのじゃ・・・、もしそれでもわしらのような生き方ができないと言うのなら、ここから出て自分で共に生きていくヤツを探すしかないのぉ・・・、どうじゃお前にそれができるか?」
長のその言葉の後、他の羊達は何も言いませんでした、いや何も言う必要がなかったのかもしれません。
だが探究心の強い羊の目は、長のその言葉を聞いて落ち込むどころか、さらに目を輝かせ言いました。
「わかりました長、確かに長の言う通りです・・・、僕は外へ出ます、今までお世話になりました、長の最後の言葉はすごく嬉しかったです。」
そう言い残し、長の側を離れ、自分の場所へ帰って行きました。
次の日の朝探究心の強い羊は、今からピクニックにでも行くような表情で牧場から姿を消しました。
つづく・・・ |