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作:亜月 聖


どうしよう・・・。どうすればいいのかな?
私は悩んでいる。この薬を使うかどうか。

「人を殺すなら、絶対これが一番さ」
あの男の声が頭によみがえる。突然現れたあの男。私の心の闇を見抜き、私にこの薬を授けた張本人。
「君の心は強く闇に支配されているね」
夜の繁華街を歩いているときに、いきなり声をかけてきた。そして、私が何も言わないうちに私の手に小さな瓶を手渡した。瓶の中には何かの液体が入っている。
「その瓶の中にはある薬が入っている。もし、殺したい奴がいるのならそれを1,2滴何かに混ぜるといい。薬は体に残らず、1時間後には心臓麻痺と同じ症状で死んでるよ」
そういってその男は立ち去った。

自分でも馬鹿だと思う。そんな変な男に出会ったのは一週間も前だというのに、男からもらった瓶を今でも大切にしまっているのだから。男の話を信じてしまっているのだから。

正直、殺したい奴がいる。あんな奴、死ねばいいと思っている。
そう、あの女。私の兄を破滅に追い込んだあの女。あんな奴死ねばいいんだ。私が殺してやる・・・。
・・・・・・。

でも、ためらいもある。まず、私は殺人犯になりたくはない。あいつを殺したために暗い監獄の中で一生を過ごすなんて、ごめんだ。
そして・・・やっぱり殺す、ということに抵抗がある。
人の命を奪っていいのか。今、私はその質問に自信を持って答えることができない。
本当に、どうしよう・・・。

でも、やるしかない。兄を救うために。私の生活・理性を取り戻すためにも・・・。大丈夫。あの男がくれた薬があるんだから。あの男が何者かは分からないが、一目で私の闇に気づいた。たいした男だ。きっと大丈夫。これ以上見ていられないから。兄があいつのために、金を貢いだり土下座をしたりしている姿を。それを、当然のように振舞うあいつの姿、顔、声、目。すべて、もう見たくない。
兄も兄だ。すきなのか、弱みを握られているからなのか分からないが、あいつの言いなりになりすぎだ。夫婦のくせに、下僕にしか見えない。兄がぺこぺこあいつに頭を下げる姿、気弱でいつもびくびくしている顔。見たくもない。
そして、それ以上に・・・人殺しで悩んでいる私なんか、もう殺したい。見たくない。あいつには、ブス、チビ、陰険といわれてきたこの容姿。どこかに追いやりたい。人殺しを考えている私なんて・・・醜いだけだ。顔だけでなく、心まで醜くなってしまった。

明日、私はあの女がいつも飲む紅茶に、薬を入れようと思う。ばれることはない。いつも、あの女は私に紅茶をいれされるのだから。
そして・・・残りの薬を、すべてコーヒーに入れようと思う。あの女はいつも、私に紅茶とコーヒーを入れさせる。コーヒーは兄の分だ。私はいつもそのときに自分用のコーヒーを入れる。
兄の分と私の分。片方のコーヒーには薬が大量に入っている。私は、兄にコーヒーを選ばせようと思う。兄が薬入りのコーヒーを選べば、私が生き残る。逆に、兄が普通のコーヒーのほうを取れば、兄だけが生き残る。ここまでくれば、確率は同じ。ロシアンルーレットだ。
私は、もう終わりにしたい。こんな生活を。

さあ、生き残るのはどちらでしょう・・・?



一気に書きました。できれば、感想・評価をお願いします。













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