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闇少女

作者: さや

闇少女は闇の中で産まれました。


何も感じない、何も求めない、孤独がお友達。


闇少女は当たり前でした。


ー闇少女は今宵も助けを求めているー


人生、人間らしく、表では生きてきました。


心を持たず、自分だけを大切にして生きました。


闇少女【0~6歳】

あまり記憶がない。楽しかった事なんだろう。

とても悲しい。友達なんていなかった。

名前すら誰も出て来ない。

母はあまり家にいない。いつも独り。

自分の事は自分でやる。

ご飯だけあったりなかったり。

家に帰ると知らない男がいた。暴力された。

憎い、憎い。いつが殺してやる・・・と。

『闇少女は憎しみを覚えた』


ー闇少女は今宵も助けを求めているー


毎度変わる男・・・汚らわしい。ゴミ扱い。

人間が嫌いになった。1人でいいと思った。

そして、絶望の日々を過ごした。


闇少女【7~17歳】

たった1匹大切な存在が出来た。

真冬に捨てられた猫。

ほって置けず家に連れてきた。

名前は"しろみ"。特に理由はない。

不意に浮かんだだけ。

しろみは可愛かった。


ー闇少女は今宵も助けを求めているー


しろみはいつでもどこでも一緒だった。

初めての友達。

しろみがいたから家は寂しくなかった。

『闇少女は愛を覚えた』。

学校の行事、皆が笑っている。楽しそう。

闇少女はそんな姿に

『羨ましさを覚えた』『淋しさを覚えた』。


でも、闇少女はどうしても人間が好きになれなかった。

表では皆と楽しく過ごしています。

笑っています。偽りの笑顔。

汚い世界、信じたものは負けなのです。

そう、いつか裏切られるから。

裏切られる前に裏切ります。

誰も心には近づかせない。

一人で生きると決めたから。

そして、数年でしろみが死んだ。

しろみだけが友達だったのに。

闇少女はまた、独りぼっち。


闇少女【18~25歳】

母から離れたくて東京に出た。

もともと独りで生きてきた。淋しさなどなかった。

闇少女は『自由を覚えた』。

闇少女は汚い世界に飛び込んだ。

誰も信じれない闇少女にぴったりな仕事ばかりだった。

麻薬取引、裏カジノ、ヤミ組織・・・

人間の汚い仕事を沢山した。


ー闇少女は今宵も助けを求めているー


闇少女は罪を犯した。

誰にも必要とされない自分、何でも出来た。

必要とされるのは肉体だけ。心などない。

これからも孤独に生きて一人で死にたいと思った。


闇少女【26~30歳】

私に好意を示す男がいた。

どうやら救いたい、助けたいらしい。

闇少女にとっての日常は絶望する事。

絶望すると何も傷つかず楽だった。

彼は私を何も知らない。汚い哀れな私を知らない。

私に時間を使って欲しくなかった。

罪を犯している私にどうか近づかないで下さい。


ー闇少女は今宵も助けを求めているー


私は彼の前から姿を消した。

それが1番の彼の幸せになる方法だと思った。

闇少女は『思いやり』を覚えた。

勝手な思いやり、きっと彼は求めていなかった思いやり。ごめんなさい。近づかないで下さい。


闇少女【31~38歳】

闇少女は警察に捕まった。

数年ここにいなきゃらしい。別に何も感じない。

ずっと、ここにいてもよかった。


ー闇少女は今宵も助けを求めているー


全てがどーでもよかった。


闇少女【39歳】

闇少女は刑務所から開放された。

仕事もない、お金もない、何もない。

闇少女は夜の世界にまた戻る。

こんな歳になると誰も近づかない。

ずっと独り。もはやこれでいい。望んでた結果。

日々、絶望している。


ー闇少女は今宵も助けを求めているー


また息だけした人形のように過ごす。


闇少女【45歳】

そして、現在。

特に変わった事は無いけれど

生きているのが苦痛になった。

今までの人生何だったのだろう。

私に生きる意味があるのだろうか。

何の為に生まれてきたのか。闇少女は考えた。

そして自殺を考えた。

確実に死ぬ為に殺し屋に頼んだ。

殺されるのは残り3日後。

それまで出来なかった事したかった事しようと

考えたけれど何も浮かばなかった。

やはり、私には何もないみたい。

ただ、いつも通り呼吸している。

生を感じ過ごしてみる。

殺されると分かると身体が逃げたいと

叫んでるような気がした。

足は今にでも逃げだしたいみたい。


でも、もう遅い。頼んでしまったから

確実に殺されるのだから。

心とは別に死にたくない身体が面白い。


本当の事を言うと

1度でいいから本当の愛情を知りたかった。

こんな世界から救い出して欲しかった。

どうか、私を助けて下さい。愛して下さい。


ー闇少女は今宵も助けを求めているー


3日後。

「ぴんぽーん。佐川急便です!」

何か頼んだっけな。ドアを開けた。


マスコミ「えー、どうやら、何者かによって殺されたようです。未だ身元不明、犯人を捜索中。新しい情報が入り次第また報告致します。」






闇少女。2016年1月25日死去。



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― 新着の感想 ―
[良い点] シンプルなタイトルで、その全てを表現されているような、1人の女性の陰鬱な生涯。 しかし、日本社会において、現実にこのような生涯を送っている人が存在しているという事実もあります。 それ故に淡…
[一言] 全てが謎の闇少女。大人になっても少女という所がミステリアスで考えさせられました。面白かったです。
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