神楽が銀時のために焼いたケーキ。彼が大好きな甘い甘いチョコレート味の。
「できた!……けどなんだか焦げてるみたいネ」
オーブンレンジから出したチョコレートケーキは黒すぎで、僅かに焦臭い。
神楽は眉根を寄せてしばらくケーキを睨みつけ、恐る恐るフォークを差し入れた。それを口に運ぶと、腕を組みじっくり吟味する。
「……無しだナ」
「それ、神楽ちゃんが焼いたの?」
神楽の背後からケーキを覗き込む新八。神楽は慌ててケーキを隠すように両手で囲う。
「なんで隠すの?」
「……美味しくない……失敗しちゃったネ焼きすぎヨ」
せっかく作ったのにと、しゅんと肩を落とす神楽。新八は優しく微笑み、神楽の頭をあやすようにぽんぽんと軽く叩いた。
「大丈夫銀さんなら食べてくれるよ味なんか関係ないんだから」
「だ、だれが銀ちゃんにあげるなんて言ったネ!」
「違うの?」
全て見透かしたようににんまりと笑う新八に、神楽は言葉を詰まらせる。そこへタイミングよく銀時が帰宅した。
「うおーい帰ったぞ」
「やべっ!」
「えっ!ちょっとなんで隠すのさ!」
ケーキを隠してしまおうとする神楽を新八が止めようとする。銀時が二人を見たとき妙な格好でピタリと止まり、二人そろって銀時を見たため銀時は思わず後退る。
「な、なんだよお前ら二人して……」
「銀さん、神楽ちゃんがチョゴォッ!」
言ってしまおうとする新八を神楽は殴りつけてしまった。新八は全く悪くないのに気絶するほどの衝撃を受け、その場に倒れこんだ。
「……おいおいバイオレンス娘どうしたってんだよ」
神楽は状況を飲み込めずにいる銀時の眼前に、思いきってチョコレートケーキを差し出した。
「コレ、お前が焼いたのか?」
直接見れずに、うつ向いたまま黙って頷く神楽。
銀時は神楽が持っているケーキを取り、フォークも使わずにかぶりついた。
神楽が味見をしたときはただ甘過ぎるだけでチョコレートの味はなく、表面は焦げて苦かった。銀時はそれらを全く気にした様子もなく食べ続ける。
「銀ちゃ……」
「おう、不味いな。食えたもんじゃねーよ」
愛さえあれば味なんて関係ないとは言うけれど、不味い物は不味い。
銀時は不味い不味いと言いながら結局は全て食べてしまい、神楽はそれをずっと嬉しそうな笑顔で見ていた。
「銀ちゃん今度はプリン作ってみたネ!」
「え……勘弁してください俺最近ずっと下痢なんですけど」
fin |