三時限目
キーンコーンカーンコーン…………
三時限目開始のチャイムが鳴った。
なお、ドラゴンの放つ雷の拳が決まるシーンをとった写真は、『永久保存版』と書かれたUSBメモリに保存された。
「ところで今日って何限目まであるんだ?」
「うーん、ちょっとわからないね。普段だったら6限目までだけど、この状況下だからねぇ」
「…………ま、そうだよな」
実際『生き残った時限数✕10点』という話だって怪しいものだ。途中で帰って、何限か終了してから戻ってくる生徒だっているかもしれない。
「ああ、それについては大丈夫だよ」
「え? なんでだ?」
「どれだけ外に出ようとしても気がついたら元の場所に戻ってしまう結界がかけられているから」
そういうのは学校よりももっと優先的にしかけるべき施設があるだろうに。
俺達は今体育館に来ている。
40人を超える異能者たちが、炎や雷などを出して戦う光景はかなり派手で、ちょっとテンションが上がってしまう。
ちなみに最初はこの二倍近くの生徒がいたのだが、そのうちの40人は、
「ち、畜生、こんな時に右腕が疼きだしやがったッ…………!」
「み、右目の封印があッ!!」
「やはりこれほどの副作用が…………ッ!」
と言っているうちに20人が撃破され、もう20人は撃破されはしなかったものの、封印を維持できずに自爆した。馬鹿か。
「右手の暴走に苦しむ生徒」という説明文がつきそうな写真は撮れたものの、まあ使わないだろう。
「うーん、この構図だと奥の方がいまいち良く映らないな…………ちょっと仲人そこどいてくれ」
「いや、今まさに君に盾にされて、体で極太ビーム防いでるところなんだけど。避けたら間違いなく君に当たるよ?」
「…………チッ、仕方ねえな」
「そのリアクションおかしくない?」
《『カメラのバッテリー』が『雷封じる天の鎚』に変化した》
電池ケージが一つ減るほどの電気を使うから、あんまり使いたくなかったのだが…………役立たずめ。
「外道だね弥舞。ていうかなに僕に向かって構えてんのちょっと止め」
ズバジィッ!!という空気が爆ぜる音ともに、仲人がまっすぐビームを放っている男子生徒の方に飛んでいき、そのまま男子生徒をノックアウトした。よくやった仲人。お前のことは忘れないかもしれない。
空いた空間で写真を撮っていると、五十センチぐらいある鉄球が、十個ほど飛んできた。
……………………。
《『ベルト』が『捕らえ痛ぶる悪魔の鞭』に変化した》
起き上がって、こちらに向かって来ていた仲人を元ベルトの鞭で捕らえ、近くに持ってくる。
「『矛盾の盾のほう』!!!!」
「それ僕の能力名!」
仲人に攻撃をかばってもらい、射線上から離脱、それと同時に横の構図から写真を撮る。
この時の写真は、「他生徒を撃破する女子生徒」の説明文が付けられ、それなりに大きく掲載された。
※※※※※
「いや、撃破されてないから」
「見た目的には撃破だろ」
「いやそうだけども。というかさっきから僕の扱いがひどすぎる気がする」
「お前だけ確実に生き残るとか気に食わないんだよ」
「ただの僻みじゃんか!」